日本リージャス株式会社

2017年5月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

世界最大級のスケールメリットを活かし、フレキシブル・ワーキングを推進

スイスに本社を置き、世界約120ヵ国に約3,000拠点を展開するリージャスグループ。その日本法人・日本リージャス株式会社は、ユーザーのニーズに合わせた4つのブランドから成るレンタルオフィス・バーチャルオフィス・ビジネスラウンジ等を運営しています。日本政府による"働き方改革" の提唱以前から「フレキシブル・ワーキング」を提案してきた同社の事業について、代表の西岡真吾氏にお話を伺いました。

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日本リージャス株式会社
代表取締役カントリーマネージャー

西岡 真吾 氏

レンタルオフィスプロバイダーとしてフレキシブルな働き方を提案する

1989年4月、ベルギーの首都ブリュッセルに最初のビジネスセンターを開設したリージャスグループは、今や自他ともに認める世界最大級のレンタルオフィスプロバイダーに成長しました。同グループの日本法人として1998年9月に設立された日本リージャス株式会社は、日本ではまだなじみの薄かった "レンタルオフィス" という新しいシステムの普及に努めるとともに、新しい働き方について常に模索してきました。

「リージャスグループが目指しているのは、ユーザーである契約企業とワークスペースを提供する私たちオペレーション、そして実際にそこで働くオフィスワーカーの三者が、それぞれメリットを享受できる体制を構築することです。そのために、数年前から『フレキシブル・ワーキング』を標語に掲げ、お客様に対して『より柔軟性のある・融通の利く』働き方を提案して参りました」(西岡真吾氏)

日本でのレンタルオフィス事業スタート当初は、ベンチャー企業のスタートアップオフィスや外資系企業の日本進出拠点、個人事業主のオフィスといった使われ方が多くを占めていました。そのため「リージャスといえばベンチャー」「リージャスといえば外資」というイメージがある程度できあがっていました。現在もこれらのユーザーからは根強いニーズがありますが、これに加えて、近年はサテライトオフィスの需要が増加傾向にあるといいます。

「リージャスグループでは、全世界約4万人の経営者に対するサーベイを定期的に実施しています。たとえば、直近の調査結果を見ていくと、多数の企業でフレキシブル・ワーキングのメリットに理解を示しており、特に日本企業の経営者層では回答者の70~80%が、フレキシブル・ワーキングを導入することで『働きやすい環境をつくることができる』『従業員の士気を高める』『生産性を向上させる』と回答しています(※1)」(西岡氏)

*1)リージャスグローバルビジネス調査結果より

*1)リージャスグローバルビジネス調査結果より

規模や価格帯の違う4つのブランドを展開し、ユーザーのニーズに対応

 フレキシブル・ワーキングを実現するための環境として、リージャスでは4つのブランドを展開しています。まず、メインブランドであるレンタルオフィス「リージャス ビジネスセンター」、2012年にM&Aで事業取得した無人管理方式のレンタルオフィス「オープンオフィス」。そして、2016年から新たに「SPACES」と「リージャス・エクスプレス」という2つのブランドがスタートしました。「SPACES」はコワーキングスペースで、「リージャス・エクスプレス」は空港やターミナル駅など交通ハブに設けられる小型のサービスオフィスです。

「こうしたブランド展開は、起業家から国内外の大企業のプロジェクト利用など、さまざまなターゲットとする層のポートフォリオに合わせて使い分けができるようにとの狙いからです。私たちはユーザーに対して業種・サイズ(規模)・売上高などいろいろな切り口から分析していますが、サテライトオフィス利用というのはそのどれにも当てはまらない、純粋に『使い方』の問題になります」(西岡氏)

リージャスのユーザーが「サテライトオフィスとして」上記の各種ブランドを利用する場合、さまざまなパターンがあります。例えば、都心であれ郊外であれ、会社が特定の場所にサテライトオフィスを常設し、社員に対して「週に2日は必ずそちらへ出勤するように」といったルールを決めているところがあります。また、「今日は大阪、明日は札幌、来週は香港へ......」など、毎日のように長距離移動する出勤形態の場合、行く先々の都市にある最寄りのリージャスブランドをモバイルオフィスとして利用する、という使い方もあります。前者は営業所や分室に近く、後者はタッチダウンオフィスに近い使い方と言えるでしょう。

「4つのブランドはそれぞれ、規模や施設のサービス内容から価格帯まで大きく違いますが、それだけ幅広い選択肢の中から最適なものを選ぶことができるというのが、私たちリージャスの持つ強みであり、優位性です。国内だけでなく、世界中どこの国でも、リージャスグループが進出している都市であれば、同じサービスが受けられます。これができるのは、グローバル展開しているリージャスだけだと自負しております」(西岡氏)

「こうしたブランド展開は、起業家から国内外の大企業のプロジェクト利用など、さまざまなターゲットとする層のポートフォリオに合わせて使い分けができるようにとの狙いからです。私たちはユーザーに対して業種・サイズ(規模)・売上高などいろいろな切り口から分析していますが、サテライトオフィス利用というのはそのどれにも当てはまらない、純粋に『使い方』の問題になります」

SPACES

SPACES

住宅地や工業地域、交通ハブなど、従来なかったエリアへの出店攻勢

 常設型サテライトオフィスとして利用可能なリージャスブランドには「リージャス ビジネスセンター」や「オープンオフィス」があり、従来は大都市圏に集中していました。しかし、これだけでは多様化するユーザーのニーズに対応しきれません。そこで近年同社が力を入れているのが、新ブランド「リージャス・エクスプレス」です。2016年から2017年にかけて、関西圏を中心に複数の拠点が相次いでオープンしています。

「2016年4月にオープンした『リージャス・エクスプレス関西国際空港』を皮切りに、2017年2月には阪急電鉄とのコラボレーションで『同 阪急千里中央』『同 阪急茨木市駅』『同 阪急伊丹駅』の3拠点が一気にオープンしました。この阪急線沿線の拠点は、従来はほとんど出店のなかった住宅地への展開となっています。さらに、5月31日には満を持して関東圏進出第1号となる『同 羽田空港第1ターミナル』がオープンを迎えます」(西岡氏)

こうして「リージャス・エクスプレス」は順調なすべり出しを見せています。その一方で、あえて使用料金は低めに設定しているとのこと。空港などの交通ハブへの出店料にあわせて、料金設定を高くしてしまうと限られたユーザーしか使用することが出来ません。そのため、サテライトオフィスの利用料金は無理のない水準に抑えたということです。

「関西国際空港や羽田空港と、ようやく空港とのコラボが実現できました。私自身、以前から空港を利用するときには『待ち時間を有効活用したい』と考えていましたが、それが空港側の『ビジネスでの利用客を増やしたい』というニーズとうまく合致した形です」(西岡氏)

また、使い方の選択肢として、従来の「スペースを借りる」という利用法だけでなく、「1時間~1日単位で利用できる」というメンバーシッププログラム「ビジネスワールド」も用意されています。「ビジネスワールド」は、ゴールド・プラチナ・プラチナプラスというカードの色に合わせた3段階の料金設定になっていて、それぞれ月定額でビジネスラウンジやカフェなどさまざまなサービスの利用ができます。これらのメンバーシップカードを持っていれば、世界約3,000拠点のリージャスグループの施設が利用可能となります。

「テレワークやモバイルワークを実践するためのツールとして、『ビジネスワールド』は大きな潜在需要を見込んでおります。また、7月に愛知県刈谷市でオープン予定の『オープンオフィス刈谷』は工業地域への初出店となります。このほか小型のコワーキングスペースである『SPACES』なども、リージャスが他社より先行しているプロダクトであるといえます」(西岡氏)

リージャス・エクスプレス「羽田空港第1ターミナル」

ージャス・エクスプレス「羽田空港第1ターミナル」


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