株式会社アルマード

2025年9月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

リモートワーク中心の働き方だからこそ
コミュニケーションを重視したオフィスを構築

「世界の人々の人生に健康と美しさをもたらす 卵殻膜とバイオテクノロジーで。」を理念に、卵殻膜を配合した自社ブランドの化粧品・サプリメントの企画・開発・販売ならびにOEM(受託製造)の企画・開発・製造を展開している株式会社アルマード。同社は20253月に旧オフィスビルの建て替えを機に移転を実施。リモートワーク中心の働き方が多い同社に、新オフィスでのコミュニケーションの活性化を重視したその背景や想いを伺った。

蕨 博雅 氏

株式会社アルマード
常務取締役

蕨 博雅 氏

阿曽 勇一郎 氏

株式会社アルマード
取締役

阿曽 勇一郎 氏

小山 友佳 氏

株式会社アルマード
営業企画室
次長

小山 友佳 氏

Contents

  1. 大学との産学共同研究による独自技術で「卵殻膜」を配合した自社製品を提供
  2. 建て替えを機に、開放感のあるオフィスビルへの移転を決意
  3. 従業員の幸福度を最優先に綿密な計画のもと移転先を選定
  4. 「卵殻膜」をイメージした白を基調とし柔らかく居心地のよいオフィスへ
  5. 開放感のあるオフィスでコミュニケーションの活性化を叶える
  6. 対面が生み出す「余白」こそ従業員が働きやすい環境をつくる

メインエントランス

メインエントランス

大学との産学共同研究による独自技術で「卵殻膜」を配合した自社製品を提供

株式会社アルマードは200010月に創業し、卵殻膜を主原料とした化粧品と健康食品の企画・開発・販売ならびにOEM(受託製造)の企画・開発・製造を行っている。卵殻膜とは、卵の殻の内側にある約0.07mmの非常に薄い膜のことを指し、若々しさと健康維持に最適なⅢ型コラーゲンの分泌を高める効果を持っている。同社は東京大学や帝京大学などとの共同研究のもと、医療・食品・化粧品の各分野に適用できるバイオマテリアル素材としての開発を進めており、女性向けのみならず男性向けのスキンケアやヘアケア製品なども自社開発し、世に送り出している。また、あえて自社で工場を持たずに、製品ごとに優れた技術を持つOEM企業(他社製品を設計図に基づいて製造する企業)と提携することで、常に高品質を維持している点も特徴である。

「当社は今年で創業25周年を迎えました。主な販路として直販EC事業が約60%*を占めておりますが、今後は従来から強みを持つTV通販事業に加えて、外販事業(店頭流通など)の拡大、OEM事業での新規開拓に注力するとともに、海外市場への進出も目指す予定です」(阿曽氏)

*2025年3月期実績

建て替えを機に、開放感のあるオフィスビルへの移転を決意

同社は中央区のオフィスビルに約10年間入居。2018年には約100坪に対し、30名ほどの従業員が勤務していた。コロナ禍だったこともあり、業績拡大に伴う増員へはリモートワークなどで対応してきた。オフィス移転は急務ではなかったが、エリアの大規模開発に伴うオフィスビル建て替えのため、今回移転を実施せざるを得なかった。

「旧オフィスはコの字型の形状で、誰がどこに座っているかが見えない状況でした。次のオフィスでは、みんなの顔が見渡せるような開放的な部屋型のオフィスを望む声がたくさんありましたね」(小山氏)

建て替え期日が迫る中、2023年から本格的なオフィス移転計画が始まった。

従業員の幸福度を最優先に綿密な計画のもと移転先を選定

移転先の要件は、従業員アンケートに基づく綿密な人員計画のもとで策定された。まず各事業部に対し、売上成長見込みや人員計画に対するアンケートを実施。その結果をもとに、1人あたりの必要な面積を算出し、最適なオフィス面積を導き出したという。

「エリア選定では、オフィスエリアのイメージと従業員の幸福度を重視しました。また、従業員の通勤経路も移転前後で大きく変わらないように配慮しました」(蕨氏)

その後、約200棟の物件情報を収集し、3040棟を実際に内覧。最終的な移転先はコアメンバーだけで決めるのではなく、従業員アンケートの結果も踏まえたという。

「オフィスは従業員の幸福度を高める重要な要素です。コアメンバーで『立地・フロア形状・賃料』の3要素から3棟の最終候補を選出し、従業員投票で移転先を決定しました。みんなの合意と納得のうえで決めることが、最も幸福度が高まると思ったのです」(蕨氏)

そうして選ばれた新オフィスは、旧オフィスと同じエリアにある約160坪の1フロア。JR線「新日本橋」駅が最寄りの新築ビルだ。東京駅から近い点も、出張者が多い同社にとって非常に魅力的だった。

「当社の出社率は2030%ほどです。交通アクセスが不便であればますます出社に対する意欲が下がってしまう懸念がありました。ここであれば神田駅・三越前駅・新日本橋駅が利用でき、便利です。この立地の優位性が一番の決め手です」(蕨氏)

「卵殻膜」をイメージした白を基調とし柔らかく居心地のよいオフィスへ

オフィスづくりのフェーズでは、女性メンバーを中心にコンセプトに対するアンケートを実施。木材を多用した柔らかく居心地のよい空間を目指した。

その後、上記のコンセプトをもとに設計会社4社へコンペを依頼。デザインはもちろんのこと、旧オフィスの課題であった壁の薄さによる音漏れや、室内の至るところが雑然とした状況を改善するレイアウト案などを評価し、最終的に1社を選定した。

「旧オフィスの課題に対し、設計会社さんからサウンドマスキングやリフレッシュエリアへの防音対策などをご提案いただきました。さまざまな工夫が施されており、そういった諸々の配慮が決め手でした」(蕨氏)

「コンセプトをもとに、設計会社さんからデザインマトリクスを提出いただきました。それを経て、最終的に白を基調とした洗練されたオフィスデザインになりました。白は当社のキー素材である卵殻膜をイメージしたカラーです」(小山氏)

開放感のあるオフィスでコミュニケーションの活性化を叶える

それでは、新オフィスを紹介していこう。

エントランスに入ると、卵をイメージした白くて丸みを帯びたテナントサインとソファが出迎える。これらの壁面塗料には斬新にも卵の外殻が含まれている。受付電話には来客者と担当者が直接繋がるシステムを採用。右手には3箇所の会議室が並び、通路の壁には自社製品を陳列したディスプレイが設けられている。どれも旧オフィスにはない新しい試みだ。

エントランス

エントランス

会議室への通路

会議室への通路

会議室

会議室

ディスプレイ

ディスプレイ

「以前は固定席と固定電話を使用していました。そのため、出社していない人宛ての電話が全て管理部に回り、在席を確認してから折り返す点が非効率でした。その反省もあり、新オフィスでは直接担当者に繋がるようにしたのです」(蕨氏)

「お取引先様が商品を見てコメントくださることもあるので、以前から『商品を飾りたいね』という声が社内からありました。しかし、旧オフィスでは適したスペースがなかったため、今回のオフィスでは陳列することを前提にデザインしていただきました。足を止めて見てくださるお取引先様も多く、ディスプレイは本当に作ってよかったです」(小山氏)

「当社は販売チャネルによって商品と担当部署が異なります。そのため、従業員もお取引先様も、当社全体の商品ラインナップを見る機会がほとんどありませんでした。ディスプレイを設置したことで、ブランド全体に対する理解が深まっているようです」(阿曽氏)

会議室のドアノブにも卵をイメージした丸みのあるデザインと、深みのあるゴールドを採用。室内はビル特有の全面ガラスから入る自然光を活かし、より一層開放的でゆったりとした印象をもたせてくれている。

卵をイメージしたデザイン

卵をイメージしたデザイン

エントランス左手の扉を開くと執務エリアが広がる。今回から新たに採用されたフリーアドレス席は60席ほど用意され、「集中」と「会話」のエリアに分かれている。モニターがデフォルトで設置されている席は「集中」したい時に利用し、それ以外の席は「会話」ができるよう、ゆるやかなゾーニングを意識している。窓際にはソファのABW席*が設けられており、仕事だけではなく、ちょっとした休憩にも利用が可能だ。また、最奥には別途コールセンター用の個室が併設されているが、ガラス壁を採用しているため開放感も感じられる。そして、入口右手には社内でのショートミーティングやランチにも活用できるリフレッシュエリアも新設された。

*Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略。仕事の内容に合わせてオフィス内外の最適な場所を自由に選んで働く働き方を指す

執務エリア

執務エリア

集中ブース

集中ブース

リフレッシュエリア

リフレッシュエリア

「全体を見渡せる開放的なオフィスになったことが良かったです。部署の垣根なく喋りやすく、居心地のいい空間になったという声はよく聞きますね。デザイン面も当社の事業内容や想いと合致していますので、働いていて気持ちが良いです」(阿曽氏)

「移転後にも従業員満足度アンケートを実施しました。リフレッシュエリアで会議やランチの際に会話することで、部署間を超えたコミュニケーションが取れるようになったと好評です。今では誰かが困っている姿を見て、『それってこの件?』と声をかけ、助け合う場面も実際に生まれています」(小山氏)

対面が生み出す「余白」こそ従業員が働きやすい環境をつくる

化粧品・健康食品を扱う同社らしく「美」を意識した清潔感ある新オフィスは、最近入社した若手従業員からも好評な様子。今後のリフレッシュエリアの運用として、さらに交流を深められるようなイベントも検討中とのことだ。また、同社はリモートワークにより地方で勤務する従業員もおり、新オフィスを通じた交流を促進していきたいという想いもある。

「非常に良いオフィスができましたが、出社を前提としない働き方のため、札幌や大阪、九州などの地方在住の従業員には実際に体感してもらえていません。オフィスに来てもらえるような仕掛けをつくり、従業員同士がウェブ上だけではなく直接会えるような接点をどう増やせるかが、今後の我々の課題です」(阿曽氏)

最後にオフィスの必要性についてお聞きした。

「当社は工場を持たないため、従業員同士が空間共有できる場所はこのオフィスしかありません。従業員の働く環境は多種多様ですが、オフィスに来れば顔を合わせられる。『今日は少し様子が違うな』といった変化だけではなく、会話を重ねる中で、相手の意外な背景に気が付くこともあります。ウェブやメールだけでは伝わらない部分があり、そうした全体の雰囲気や一人ひとりの表情を感じ取るうえで、オフィスは欠かせない空間です」(阿曽氏)

「会話にも『余白』が必要だと思っています。ミーティング後のちょっとした会話からアイデアが生まれることもありますので。効率やクオリティを高めるうえでもこの余白は欠かせません。また当社は化粧品や健康食品を扱うメーカーですから、実際に『触れる』『見る』といった体験も重要です。出社して実物に『触れる』『見る』ことでしか得られない気付きはこれからも重要視していきたいです」(小山氏)

「オンラインでは会議が終わるとすぐ接続を切ってしまいますが、リアルなら執務室に戻るまでの廊下で雑談が生まれる。そうした何気ない会話から人間関係が生まれ、会議で言えなかった本音も聞ける。リアルと変わらないコミュニケーションが取れるバーチャルの世界が到来すれば話は別ですが、現代の技術レベルならば、そういった『オフラインの余白』を生み出すオフィスはマストですね」(蕨氏)

株式会社アルマード

先進諸国に到来する高齢化社会において、「卵殻膜」の力で人々の健康・若さ・美しさを支え、生活の質の向上に貢献する株式会社アルマード。バイオテクノロジーに基づくこだわりの製品で、美容と健康の新しい価値を継続しながら社会に展開していく。


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