ArkMS株式会社

2026年1月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

新たなスタートとして変革を実行するための移転を実施

医療・ヘルスケア分野における治験や臨床研究、製造販売後調査、DB研究などで社会に貢献するArkMS株式会社(アークメディカルソリューションズ)。前身組織から30年以上にわたりCRO事業を担ってきた同社は、2024年に新会社として再スタートを切った。その節目として、2025年11月に大規模複合ビルへ本社を移転。さまざまな変革と新しいスタートを目指した今回のオフィス移転について、その経緯を詳しくお聞きした。

ArkMS株式会社
水尾 斉 氏

代表取締役社長
水尾 斉 氏

海野 猛 氏

経営管理室 総務グループ 兼
事業戦略室(特命担当)
海野 猛 氏

守谷 真由美 氏

経営管理室
総務グループ
守谷 真由美 氏

三幸エステート株式会社
山本 和章

第五営業部
山本 和章

坂本 寿々子

ワークプレイスコンサルティング室
坂本 寿々子

Contents
  1. 30年以上の実績をもとに、新会社としてさらなる医療貢献を目指す
  2. 広すぎる空間が生んだ、コミュニケーションの希薄化
  3. オフィス環境の改善と社員満足度の向上を目指し、本社移転を決断
  4. 課題を解決し、将来を見据えたオフィスを設計した
  5. ガラスパーテーションの採用で、光が差し込む風通しの良いオフィスへ
  6. 自然に人が集える場で企業文化を育んでいく

カフェエリア

カフェエリア

30年以上の実績をもとに、新会社としてさらなる医療貢献を目指す

ArkMS株式会社は、医薬品・医療機器・再生医療などの分野を対象に、臨床試験・臨床研究、製造販売後調査、安全性情報管理、データベース研究支援などを提供するCRO(医薬品開発業務受託機関)として、質の高いソリューションを展開している。

同社の起源は、1992年設立のIBRD JAPAN株式会社に遡る。事業統合などの組織変更を経て2019年より株式会社インテージヘルスケアのCRO部門としてサービスを提供してきた。そして、20249月、インテージヘルスケアのCRO部門が会社分割(新設分割)によりArkMS株式会社として設立され、医薬品サプライチェーンを支える医療用医薬品卸売事業トップシェア「アルフレッサ」グループの一員として仲間入りし、新たな取り組みに挑戦している。

広すぎる空間が生んだ、コミュニケーションの希薄化

同社の旧オフィスは、東京メトロ有楽町線「東池袋」駅を最寄りとするオフィスビルに2013年頃から入居。当時は約600人が在籍していた。しかし、その後のグループ再編などで人員は全社で約300人、東京本社に常時出社する社員は200人ほどとなっていた。さらにコロナ禍以降にリモートワークが定着し、出社率は50%以下に低下。社内コミュニケーションが希薄化し、結果として広すぎるオフィスが最大の課題となっていた。

「当時は1人で4席が使えるほどのスペースがあり、デスク1島に1人しかいないことも珍しくありませんでした。出社しても人と関わる機会が少なく、オフィスに来る意味そのものが薄れていく一方で、使われていない空間に固定費を払い続けるという経営上の課題も生じていました」(水尾氏)

また、旧オフィスは入居以来大きなリニューアルが行われておらず、昨今の働き方の変化に十分には対応しきれない環境となっていた。窓のない執務エリアには、長年蓄積された紙資料を収めたキャビネットが整然と並び、空間の多くを占めていたため、フロア全体としてやや圧迫感のあるレイアウトになっていた。

オフィス環境の改善と社員満足度の向上を目指し、本社移転を決断

移転の契機は、20249月のアルフレッサグループ入りとともに、水尾氏が代表取締役社長に就任したことだった。

「就任後、水尾社長が最も危惧していたのは、 "長年手を付けずにいた、変わり映えのしないオフィス環境"でした」(海野氏)

「これらを解消するには、働く環境を抜本的に見直す必要があると感じました。以前、若手社員を対象に意見交換を行ったところ、『窓のあるオフィスで働きたい』と言う声が多く寄せられました。その結果、業務環境の中でも、"オフィス環境の改善"が不可欠だと判断しました」(水尾氏)

こうして移転に向けて動き出し、三幸エステートの山本和章にも声がかかる。移転先の条件としてまず挙がったのは、池袋以外のエリアだった。

「新しい会社としてのインパクトを出すために、場所の変更は重要だと考えたのです」(水尾氏)

山本は細かな要望をヒアリングしながら物件選定と提案を進め、テストレイアウトの作成や通勤シミュレーションは、ワークプレイスコンサルティング室の坂本寿々子が担当した。

「社員のエンゲージメントを重視されていたため、シミュレーション結果を通じて、現状からどのような変化が生まれるのかが伝わるように意識して取り組みました」(坂本)

「提案にあたっては、綺麗なビルであることに加え、女性社員が多い点を踏まえ、トイレの数が十分に確保されているかを重視しました。その条件を満たす、エントランスが広く築年数の浅いオフィスビルを中心にご提案しました」(山本)

「我々は移転を担当するのが初めてだったため、机上の検討ばかりに終始し、なかなか行動に移せない状況でした。行動を起こすきっかけとなったのは、山本さんの『まずは見に行きましょう』という一言でした」(守谷氏)

検討した物件は資料ベースで約100棟。その中から20棟ほど内覧した結果、麹町や新宿の物件が有力候補となったが、スケジュール面の希望と合致しなかった。

202511月中に移転完了、12月に業務をスタートすることが、我々に課せられた絶対条件でした」(海野氏)

候補物件がなかなか決まらない中で、当初は検討対象外だった池袋の物件が候補に挙がる。築浅の綺麗なビルで、高層階からは池袋の街を一望でき、晴れていれば富士山が見える。駅からのアクセスや入居までのスケジュールも問題ない。また2014年、豊島区が日本創生会議において「消滅可能性都市」と指摘されたが、国際アートと芸術の融合による街づくりを進め、見事に持続的な発展を目指す都市へ変貌を遂げた点も後押しとなった。

「新会社としてスタートしている私たちの考えと重なりました。同じ池袋でありながら、これまでと異なる雰囲気を感じられた点も決め手の1つでした」(水尾氏)

「三幸エステートさんにお願いして本当に良かったです。何よりもスピード感と熱意があり、提案の早さが際立っていました」(海野氏)

「見学希望を伝えた翌日には内覧が実現するなど、要望に迅速に応えてくれたこともありがたかったです」(守谷氏)

課題を解決し、将来を見据えたオフィスを設計した

移転先が決定し、オフィスづくりのフェーズへ。まずは内装デザイン会社を45社の中から比較検討して選定をした。

「入居先ビルの工事経験があったことや、タイトなスケジュールに対するリスクを丁寧に説明してくれたことが決め手となりました」(海野氏)

スケジュールの兼ね合いから、オフィス機能の検討は最小限のメンバーで進められた。

「席数やキャビネット数、会議室数のバランスが最も悩ましい点でした。席数不足は避けたい一方で、どこまで余裕を持たせるべきかの判断が難しく、将来的な事業拡大による再移転の可能性も考慮しながら、終始緊張感を持って検討を進めました」(水尾氏)

そして、不要なものを整理することで、キャビネット数を約4分の1まで削減。内装デザインについては「開放感」「風通し」「オープン」を重視し、「物理的な距離は取り、人の距離は濃密にする」という考えを軸に設計された。

ガラスパーテーションの採用で、光が差し込む風通しの良いオフィスへ

それでは、完成した新オフィスを紹介しよう。近未来的なデザインのエントランスから室内へ入ると、奥まで見渡せる広々とした1フロア構成となっている。3面が窓に面しており、ブラインドを開ければ明るい光がフロア全体へ差し込む。

広さは約360坪。勤務体制は従来同様に出社とリモートのハイブリッド型とした。一部の部署はフリーアドレスとし、ベンチデスクを採用した執務エリアには150席を用意。加えて、窓際のカウンター席やソファ席カフェエリアなどを設けることで、多様な働き方へも対応している。約300人の社員全員が出社しても問題なく座れる席数を確保した。

エントランス

エントランス

執務エリア

執務エリア

ソファ席

ソファ席

カフェエリア(ソファ席)

カフェエリア(ソファ席)

「カフェエリアにはこだわりました。近隣のカフェにも引けを取らないデザイン性の高い什器を選び、抜群の眺望を備えています。自然と人が集まる場でありながら、ひとり静かにリラックスもできる。昼食を取ったり、仕事の合間に息抜きをしたりと、さまざまなシーンで活用できる空間を目指しました」(水尾氏)

会議室は、各室の広さを改めて見直すとともに、1室増設した。部屋の名前は、若手社員のアイデアを採用。「Ark(ノアの方舟)で、みんな(ArkMS)が楽しみながら、広い海を航海(挑戦)しよう!!」という思いを込めて「横浜」「パナマ」「アレキサンドリア」など、世界の寄港地の名前が付けられている。また、WEBブースは1人用・2人用の両タイプを新たに導入した。

会議室「横浜」

会議室「横浜」

役員会議室

役員会議室

そして、新オフィスで最も特徴的なのが、ガラスの使用だ。

「風通しの良いオープンな環境を目指し、会議室などのパーテーションには、透明なガラスを選びました。社長室も同様に全面ガラスとしています」(水尾氏)

また、新たにオフィスBGMUSEN)を導入した。カフェエリアと執務エリアで異なる音楽を流すことで気持ちの切り替えにもつながり、集中して心地よく働ける環境づくりに寄与している。

社長室

社長室

自然に人が集える場で企業文化を育んでいく

新オフィスへの移転後、社内には確かな変化が生まれているという。

「外光が多く入るので社内の雰囲気が明るくなりました。フリーアドレスの導入で偶発的なコミュニケーションも生まれています。『ドラマに出てくるような素敵なオフィスですね』と言われることも増え、今後、社員採用の面でもプラスになると感じています」(海野氏)

「富士山が見えることが想像以上に好評で、気持ちを前向きにする要素になっているようです。天気の良い日の朝などは、写真を撮る社員も見かけます」(水尾氏)

社内環境の整理とペーパーレス化も一気に進んだ。

「目指したのは"整っている"会社です。キャビネットの上に物を置かないなどの小さなルールを少しずつ共有し、これまで当たり前だった"置ける場所に物を置く"という習慣を見直していきました」(水尾氏)

今回の移転を通じて、社内コミュニケーションの活性化と社員のモチベーション向上を目指した同社。最後に改めてオフィスの必要性について伺った。

「オフィスは人と人が集まり、隣にいるからこそ生まれる気づきや思いやりを通じて、信頼関係を築く場だと思っています。信頼があれば困難な仕事にも前向きに取り組める。だからこそ『今日会社に来て良かった』『明日も行きたい』と思える場所として、大切にしていきたいですね」(守谷氏)

「『オフィスが必要かどうか』ではなく『どんなオフィスが必要か』を考える時代になってきていると感じています。業務によってはリモートでも対応できますが、一方で、集中したい作業、偶発的なコミュニケーションの創出、気分転換が必要な場面など、それぞれに合った最適な場所を自分で選べる柔軟性は、ますます大切になっていくと思います。また、企業文化を育み、社員のエンゲージメントを高めるためには、対面での密な対話や交流も不可欠です。今後も、オフィスはお互いの価値観を共有できる"場"として、重要な役割を担っていくでしょう。今回のオフィスも、ArkMSの新たなスタートにふさわしい"場"に仕上がったのでないかと思います」(海野氏)

「図書館のように静かで"集中できる場"と、対話や交流が生まれる"融合の場"。一般的にこれらは相対するものですが、オフィスにはその両方が必要です。二つが共存することで人と人が出会い、新しい価値が生まれる。新会社としてスタートしたタイミングでの移転は、企業文化を改めて育むために適していました。文化は上から押し付けるものではなく、日々の関わりの中で醸成されていくものです。新しいオフィスを社員一人ひとりが自由に使いこなし、新しい化学反応が生まれることを期待しています。出社かリモートかは自由としつつ、このオフィスが、自然に人が集まる拠点になればと考えています」(水尾氏)

ArkMS株式会社

CRO事業として30年以上にわたる実績を背景に、腫瘍領域や循環器、糖尿病など多様な領域で数多くのプロジェクトの対応実績があるArkMS株式会社。新しい会社、新しいグループ、そして新しいオフィスとともに、多様なニーズに応える最適なソリューションの提供にこれからも力を注いでいく。


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