ビー・ブラウンエースクラップ株式会社
医療機器の製造販売などを通じて、日本の医療を支えるビー・ブラウンエースクラップ株式会社。同社は、創立40周年を見据え、長年入居してきた旧東京本社からの移転を実施。複数フロアのオフィスから、部門を超えた連携を促す1フロアへ。今回は、移転の背景や新オフィスに込めた想い、完成までのプロセスについて紹介する。なお、本案件は三幸エステートが提供する「オフィス総合コンサルティングサービス」を活用した事例となる。

ビー・ブラウンエースクラップ株式会社
人事総務本部
コーポレートコミュニケーションズ
Ku Hyeyoung(ク ヘヨン)氏

三幸エステート株式会社
神田支店
三木 孝洋

三幸エステート株式会社
ワークプレイスコンサルティング室
小林 悦子

三幸エステート株式会社
ワークプレイスコンサルティング室
稲川 あい

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部
中島 啓太
Contents
- 約40年使用した複数フロアから、次の働き方を見据えた1フロアへ
- 「Stay or Move」を見極め、移転方針と必要面積を具体化
- 多様な条件を踏まえ、幅広い候補から移転先を選定
- グローバルとの調整を重ね、理想のオフィスを構築
- 人がつながり、「B. Braunらしさ」を体現する新オフィス
- 直接会い、信頼を育み、会社の文化を体感する場所へ

エントランス
約40年使用した複数フロアから、次の働き方を見据えた1フロアへ
同社は文京区本郷エリアに旧東京本社を構え、約40年にわたり同地を拠点としてきた。一方、会社の成長やその時々の必要に応じて4、5フロアを利用していたため、部署や機能は複数フロアに分かれていた。また、長年の使用に伴い、内装や設備には経年変化も見られるようになっており、今後のオフィスの在り方を考えるうえでは、防災やセキュリティ、非常時対応についても重要な要素として検討する必要があった。
「働き方の多様化や部門間連携の重要性が高まる中で、これからのオフィスの役割を改めて見直す必要があると考えました。新しいオフィスでは、従業員同士のコミュニケーションやエンゲージメントを高めるとともに、会社のブランドや価値観を日常的に感じられる環境づくりを目指す必要がありました」(ヘヨン氏)
同社の検討が本格的に始まったのは2024年3月頃。三幸エステートの三木は、2019年頃から国内拠点再編を支援しており、長年にわたる関係の中で本社移転について相談を受けた。複数フロアから1フロアへの集約によるコミュニケーションの活性化を見据え、検討がスタートした。
「Stay or Move」を見極め、移転方針と必要面積を具体化
最初のフェーズを担当したのは、ワークプレイスコンサルティング室の小林と稲川だ。現オフィスにとどまる「Stay」と、移転する「Move」の両面から検討を進め、出社率や会議室の利用状況、収納量などを調査。必要面積を算出するための要件を整理していった。
特に時間をかけて取り組んだのが収納量調査だった。複数回に分けて対象部署ごとに現地調査を実施。キャビネットや倉庫の数が多いことに加え、模型やカタログなど、一般的な書類とは異なる業界特有の物品も数多く保管されていた。
「物品の種類が多く、正確に分類するためにはお客様のご協力が欠かせませんでした。何度もお立ち会いいただいたことで、実態に即した分析ができたと思います。その結果を踏まえ、最終的には倉庫を大幅に削減する方針が決まり、各部署でも保管物の整理を進めていただきました」(小林)
さらに、同社には「エースクラップアカデミー」や「ショールーム」など、通常の執務以外の機能も必要だった。コンサルティングチームは、それぞれに必要な面積を繰り返し協議。業務上必要な機能を確保しながら全体の面積を適正化するとともに、求めるグレードやコストについても整理していった。
「ご予算と求めるグレード感のバランスを見極め、コストをどの水準に設定するかということも重要なポイントでした。海外拠点のオフィス写真も拝見し、目指すオフィスのイメージを共有しながら、お客様と一緒に検討を重ねました」(稲川)
外資系企業ならではの視点から、移転に伴う投資効果についても検証が行われた。グローバルの方針を踏まえ、フロア返却を含む複数のパターンでシミュレーションを実施し、コスト面を含めて多角的に比較した。BCPについても、地震や津波のリスクを踏まえ、海抜なども併せて調査。こうしたさまざまな検証を重ねながら、「Stay」と「Move」を比較し、移転の方向性を見極めていった。
多様な条件を踏まえ、幅広い候補から移転先を選定
移転方針と必要要件が固まり、プロジェクトは物件調査・選定フェーズへ。コンサルティングフェーズで算出した必要面積をもとに、エリアを限定せず、大規模オフィスビルを中心に幅広く候補を提案した。
「全国から来訪される医療関係者様のアクセスはもちろん、海外からのお客様を迎える環境も重視しました。そのため、ビルグレードだけではなく、車寄せや周辺のホテル、貸し会議室の有無なども含めて検討しています。求める環境とご予算のバランスを見ながら、条件に合う物件を幅広くご提案していきました」(三木)
その後、2日間で約11棟を内覧し、候補物件を比較検討。最終候補となったのは、港区に位置する物件だった。地下鉄「御成門」駅、「神谷町」駅から徒歩圏内にあり、求めるビルグレードや来訪者を迎える環境を備え、条件面でもバランスが取れていた。その後、条件面での調整を重ねながら検討を進め、諸条件が整った段階で契約手続きへと移行。無事に同ビルへの移転が決定した。
グローバルとの調整を重ね、理想のオフィスを構築
オフィス構築のフェーズでは、プロジェクトマネジメント部の中島が加わった。同社からは、人事・総務を中心に、購買、コミュニケーション、ファイナンス、ITなど複数部門のメンバーが参画。定例会では、それぞれの専門性を踏まえ、設備やシステム、コスト、社内への案内、移転後の運用など、さまざまな観点から検討を重ねていった。
設計会社については、複数社を比較検討したうえで選定。設計費用と家具調達費用を含めたコスト面に加え、豊富な実績をもとに、デザインや家具、空間コンセプトまで具体化した提案内容も決め手だった。設計では、コンサルティングフェーズで整理した要件を反映しつつ、具体的な利用シーンを想定した空間づくりを進めていった。
一方、オフィス構築にあたっては、グローバルで定められた予算やブランドの考え方を踏まえながら、日本法人側の要望を反映していくことも重要なポイントだった。
「特に意匠については、日本法人側での確認をスムーズに進め、グローバルとも連携しながらスケジュールを管理しました。予算についても、各項目を綿密に確認しながら、プロジェクト全体のバランスを見て調整を進めていきました」(中島)
また、オフィス構築と並行して、従業員への情報発信も継続的に行われた。四半期ごとに本社移転について説明する機会を設け、タウンホールミーティングでも進捗を共有するなど、新オフィスの目的や目指す方向性を丁寧に伝えていった。
「単に勤務場所が変わるという案内ではなく、新しいオフィスを通じてどのような働き方やコミュニケーションを実現したいのか、その目的や方向性を従業員に伝えることを大切にしました」(ヘヨン氏)
こうした準備や調整を重ね、2026年4月に本社移転が完了した。
人がつながり、「B. Braunらしさ」を体現する新オフィス
完成した新オフィスは、執務エリアにはデスク席のほか、カウンター席など多様なワーキングスペースを配置。業務内容やその時々の状況に応じて、働く場所を選べる環境を整えた。
「1フロアへの集約とフリーアドレス制の導入によって、部門を超えた交流を促すことを意識しました。多様なワーキングスペースに加え、気軽に立ち寄れるカフェスペースも設け、従業員がその時々の目的に応じて場所を選びながら、自然に交流できるよう工夫しました」(ヘヨン氏)

執務エリア

カフェスペース

ボードルーム

会議室への通路
新オフィスの大きな特徴となるのが、「エースクラップアカデミー」と「ショールーム」。エースクラップアカデミーは、海外拠点のメンバーが集まるイベントや大人数での会議など、複数の用途に対応。ショールームでは、同社が取り扱う医療機器のデモンストレーションを行い、来訪者に技術やソリューションを直接伝えることが可能だ。日々の執務に加え、人が集い、交流し、同社の専門性を伝える機能を1フロアに集約した。

エースクラップアカデミー

ショールーム
同社はこうした空間づくりに加え、日々のオフィス運用にも工夫を取り入れている。環境面では、エネルギー使用の効率化や省エネルギーにつながる運用にも配慮した。
「日常的なオフィス利用の中でも、よりサステナブルな働き方につながる環境づくりを意識しました。また、出退勤時に使用するパスと勤怠システムを連携させ、出退勤記録をスムーズに管理できる仕組みも取り入れています。従業員の使いやすさと、管理面での効率的な運用の両立も大切にしました」(ヘヨン氏)
内装は、グローバルのブランドガイドラインを基本としながら、日本法人ならではの個性を取り入れた。執務エリアにはコーポレートカラーのグリーンをアクセントとして取り入れ、柱の一部にも同色を採用。さらに木目を組み合わせるなど、色や素材にも変化を持たせている。「日本法人が40周年を迎える節目に、これまでの歩みを大切にしながら、新たなステージへ進んでいくという想いを込めています。従業員や来訪者にとって明るく前向きな印象を持てるオフィスを目指しました」(ヘヨン氏)
直接会い、信頼を育み、会社の文化を体感する場所へ
移転後の新オフィスについては、従業員から前向きな声が寄せられている。
「明るく整った空間になり、部門間の接点も自然に生まれやすくなったという声があります。新しいオフィスが、業務を行う場所にとどまらず、人と人が出会い、つながる場として活用されていることに大きな意義を感じています」(ヘヨン氏)
こうした変化が生まれる一方で、同社は改めてオフィスに人が集まる意味にも目を向けている。働く場所や時間の選択肢が広がる中、これからのオフィスにどのような役割を持たせていくのか。その考えについて、ヘヨン氏は次のように語る。
「今回の移転によって、コミュニケーションや業務効率、従業員体験の面で、さらに前向きな変化が生まれることを期待しています。オフィスは単に仕事をする場所ではなく、直接会って信頼関係を築き、アイデアを共有し、会社の文化や方向性を体感する場所です。今後も従業員の利用状況や意見を踏まえながら運用を改善し、従業員と来訪者の双方にとって、B. Braunのブランドや価値、会社の方向性を自然に感じられる場所として育てていきたいと思います」(ヘヨン氏)
創立40周年という節目に誕生した新たな東京本社。これまでの歩みを大切にしながら、新たなステージへと進む同社を支える場所となっていくだろう。

ビー・ブラウンエースクラップ株式会社は1986年の設立以来、B. Braunグループの日本法人として、安全で高品質な製品・サービスを医療現場へ提供してきた。栃木県に外資系医療機器メーカーとしては稀な国内製造拠点を有し、その強みを生かして国内外へ製品を供給し、日本と世界の医療に貢献している。コンプライアンスを徹底し、社員の健康・安全を大切にしながら、挑戦を後押しする職場環境を通じて、持続可能な医療と社会に貢献していく。

