株式会社coly
2025年9月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
居抜き物件の特性を最大限に活用し
個性と魅力あふれるオフィスを構築
2014年に創業し、女性向けモバイルオンラインゲーム事業を中心に人気タイトルを次々と生み出している株式会社coly。成長を続ける中でオフィスが手狭となり、この度本社移転を実施。前テナントのオフィス内装を一部承継することで、コストを抑えながらも自社らしいオフィスの構築に成功した。今回はその全容を紹介する。なお、本案件は三幸エステートが提供する「オフィス総合コンサルティングサービス」を活用した事例となる。

株式会社coly
執行役員
管理本部長
村上 寛奈 氏

株式会社coly
管理本部 総務法務部
部長
諏訪 功 氏

三幸エステート株式会社
国際営業部
井ノ上 貴之

三幸エステート株式会社
ワークプレイスコンサルティング室
中嶋 美穂

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部
永田 佳大
Contents
- 作品の世界観を、今ではリアルイベントにも展開。業務拡大に伴ってオフィスが手狭に
- コストを抑えつつ、より快適なオフィス環境を。出会えたぴったりの居抜き物件
- 外部デザイナーと自社デザイナーのタッグで居抜きオフィスにcolyらしさを
- コミュニケーションはより活発に、作業はより集中して。さまざまな魅力を持つオフィスへ
- オフィスに集まることで従業員一体となって新たなIPの創出へ

メインエントランス
作品の世界観を、今ではリアルイベントにも展開
業務拡大に伴ってオフィスが手狭に
株式会社colyは、主に女性向けのオリジナルキャラクターを生み出し、そのIP(Intellectual Property、知的財産)を軸にしたスマートフォン向けオンラインゲーム、グッズ等を開発・展開している企業だ。代表的なタイトルに「ブレイクマイケース」「魔法使いの約束」「スタンドマイヒーローズ」があり、2022年には公式グッズを取り扱う常設店舗「coly more!」、2023年には自社IPとのコラボレーションメニューなどを提供する「coly cafe!」を池袋にそれぞれオープン。キャラクターたちが持つ魅力と世界観をリアルでも提供する総合エンターテインメント企業として、順調に成長を続けている。
「創業して間もない頃、代表が『お客様が本当に求めるものを提供したい』と考える中で、ノベルゲームにたどり着きました。初めはゲームのみの展開でしたが、包括した世界観を届けたいというメンバーの強い想いがお客様にも受け入れられ、今では舞台やリアルイベントの実施にも力を入れています」(村上氏)
同社はマンションの一室から事業をスタート。2017年に東京メトロ「赤坂見附」駅近くのオフィスビルに移転した後、増員と増床を繰り返してきた。
「執務席を増やしたり、出社人数の調整のために座席のシフトを組んだりしてどうにかやりくりしてきましたが、限界を感じていました。また、中期的なキャッシュフローを考えた時に、面積とコストのバランスを考慮したいという思いもありました」(村上氏)
「従業員から『ネットワーク環境が弱い』と指摘されていたことも移転の大きな要因でした。機器を更新するには業務を止める必要があり、時間もコストもかかります。それならばいっそのことオフィスを移転して、課題を一気に解決してしまおうという結論になったのです」(諏訪氏)
コストを抑えつつ、より快適なオフィス環境を
出会えたぴったりの居抜き物件
初めに移転を検討したのは2022年。相談に応じたのは三幸エステート 国際営業部の井ノ上貴之だ。希望の条件は、平均通勤時間が大きく変わらず、休憩スペースを十分に取れる面積があり、できれば1フロアに集約したいというものだった。
「その際は条件全てに合致する物件がなかったため、一旦は移転を見合わせ、旧オフィスを再契約されました。これにより、次の期限まで余裕が生まれますので、じっくり検証をされてはいかがでしょうかと、当社のコンサルティングサービスを提案しました」(井ノ上)
「ずっと快くご対応いただいていたので、再度移転を検討する際も、早い段階で井ノ上さんにお願いすることを決めました。そんなご縁から、三幸エステートさんに現状分析や必要面積の策定、その他各種調査をお願いすることになりました」(村上氏)
調査・分析を担当したのは、三幸エステート ワークプレイスコンサルティング室の中嶋美穂だ。将来的な増員計画も踏まえて必要面積を算出し、それに見合う物件を井ノ上が選定。最終候補となったのは同社のショップやカフェがある池袋エリアの物件と、前テナントの内装をそのまま使用できる麻布エリアの物件だった。
「池袋の物件は立地が魅力的でしたが、やや賃料が高いのが懸念点でした。居抜きでのオフィス構築費も含めてコスト検証を重ねた結果、やはり麻布の物件はコストメリットが非常に高いことが分かりました」(中嶋)
「通勤シミュレーションも非常にありがたかったです。最寄り駅が変わっても通勤時間の差異は平均10分以内に収まることが分かり、安心材料となりました」(村上氏)
こうして、移転先は麻布エリアのオフィスビルに決定した。洗練された外観が高級感を醸し出す物件だ。
「従業員のモチベーションに関わりますから、坪単価を抑えることと、ビルのグレードとをトレードオフすることは避けたいと思っていました。希望にかなう素晴らしい物件をご紹介いただき、感謝しています」(諏訪氏)
外部デザイナーと自社デザイナーのタッグで居抜きオフィスにcolyらしさを
移転先の決定後、オフィス構築のフェーズに移る。移転プロジェクトは村上氏・諏訪氏の両名に、総務部と人事部から各1名を加えた計4名で進められた。さらにプロジェクトマネージャーとして三幸エステート プロジェクトマネジメント部の永田佳大が参加。まずは、前テナントの内装をどこまで残すかの検討が行われた。
「オフィスレイアウト上、残せない部分は削っていきましたが、最終的に間仕切りはほとんど壊さずに進めることになりました。承継する部分については会計処理が発生しますが、その整理のための監査法人との質疑応答や、前テナントからの資料取り寄せなどは永田さんが仲介してくださり、ノンストレスで進めることができました」(村上氏)
内装会社は4社コンペで決定。決め手はデザイン力だったという。
「エントランスのデザインがずば抜けて良かったです。その他の提案からも『最大限良いオフィスを目指そう』という気概が感じられ、この会社と一緒にオフィスをつくりたい、と強く思いました」(村上氏)
オフィスコンセプトは「enjin」。力強く走り続ける、動力源としての「エンジン」と、仲間が集う「円陣」の二つの意味が込められている。承継した設えを生かしながら、必要な設備とcolyの想いをレイアウトに落とし込んでいった。
「会話やコミュニケーションが促進されるようなスペースをしっかり確保したいとお伝えしました。家具や壁の色選びなどは、当社デザイナーの意見も取り入れています」(村上氏)
「執務席をかなり増やす必要がありましたので、事前に整理した承継要件を変えずに進められるかが不安材料でした。内装会社と連携を取りながら上手くやりくりしていただき、無事に当初の要件のまま進めることができました」(永田)
「各業者とのやり取りの大部分を永田さんが引き受けてくれたおかげで、新たな働き方の創出や解決すべき課題など、当社として悩むべきところに注力できました。レスポンスも早くて正確。非常に助かりました」(諏訪氏)
こうして出来上がった同社の新オフィスは、2025年6月に無事稼働を開始した
コミュニケーションはより活発に、作業はより集中して
さまざまな魅力を持つオフィスへ
それではオフィスを紹介しよう。メインエントランスは白を基調とした空間。左右の花壇にはゴムの木やドラセナ、ウチワサボテンなどのワイルドな植物が茂り、静寂の中に芯の強さを感じる。
「『会社が繁栄していくイメージを感じられる空間にしたい』という想いを植栽で表現していただきました。根元には大きめのサイズの化粧石を敷き詰めて、力強さを感じられるようにしています」(村上氏)
執務エリアとの境界は全面ガラスで、ビルの外の景色まで見渡すことができる。入ってすぐに広がるリフレッシュエリアは、今や同社のコミュニケーションの中心だ。

リフレッシュエリア
「移転後、一番活用されているエリアです。社内セミナーや研修だけでなく、同業者の方や取引先の方など、多様な方との交流会も開催しています」(村上氏)
「今まで貸会議室でしかできなかったことが社内のオープン空間でできるようになり、非常に活発になりました。お昼時には従業員が一緒にランチをしながら、盛り上がっている様子もよく目にします」(諏訪氏)
右手に進むとコーヒーサーバーや軽食類が並ぶカフェスペースがある。壁や通路のカーペットには、コーポレートカラーのグリーンを用いた。執務席は約400席ほど用意され、今後の大幅な増員にも対応可能だ。そのうち、主にイラストレーターやデザイナーが使用する120席ほどは、集中して作業ができるよう、高さのあるパーティションで1席ずつ囲われている。
「業務環境には特にこだわりました。デスクやパーティションのサンプルを何度も確認し、皆が集中して、快適に業務に臨めるよう配慮しています」(諏訪氏)

カフェスペース
社内会議室の外側の壁には、天井まである木目の棚がずらりと並んでいる。専門書籍から同社IPが特集された雑誌、綺麗に並べられた関連グッズまで、バラエティーに富んだラインナップだ。
「棚はIP毎に管理しています。旧オフィスではいろいろな物が室内に点在していたのですが、今回は必要な物をきちんと収納できるだけの倉庫や棚を用意し、上手く整理整頓ができるようになりました」(諏訪氏)
メインエントランスの反対側には来客会議室へと続くサブエントランスがある。メインエントランスとは対照的に、高彩度のカラーグラデーションが通路の奥まで続いており、その場にいるだけで気持ちまで明るくなる。
「色選びから会議室名サインのフォント選定まで、当社のデザイナーが一番こだわったエリアです。当社のIPが持つさまざまな個性のように、さまざまな魅力を持つ会社でありたい。そういった願いを込めています」(村上氏)

サブエントランス
オフィスに集まることで従業員一体となって新たなIPの創出へ
新オフィスは従業員に大変好評で、社内サーベイでは、全体の満足度はもちろんのこと、課題だったネットワークの満足度も格段に上昇したという。
「お客様からもたくさんのお褒めの言葉をいただいています。従業員が誇らしげにオフィスを案内している様子を見ると嬉しくなりますね。ハード面は整ったので、今後はソフト面の充実を図り、個々のパフォーマンスの向上、ひいては会社の業績に繋がるように仕掛けていきたいと考えています」(諏訪氏)
「このオフィスをさらに良くし、会社の発展に繋げていくのが私たちの役目だと思っています。管理本部では週に1回、『ふきふきタイム』という時間を設けました。ウェットティッシュ1枚が汚くなるまで各自でオフィスの掃除をする、というルールですが、これが自分の働く環境について考えるきっかけになり、オフィスへの愛着に繋がればと思っています」(村上氏)
最後に、同社にとってのオフィスの存在意義を伺った。
「会話やコミュニケーションももちろん大事ですが、オフィスで『見かける』『すれ違う』ことが非常に重要だと思っています。それだけで、面と向かって話をしなくても繋がりや信頼が生まれるからです。同じ目標に向かう一体感をより強くする場が、みんなが集まる『オフィス』という場所だと思います」(諏訪氏)
「新オフィスにはホワイトボード仕様の壁があり、その前に集まって、書き出しながらミーティングをする光景をよく見かけるようになりました。書き出すことでそれぞれの脳内が『見える化』されて業務が捗るようになったという声もあり、こうしたコミュニケーションはオフィスならでは。顔を合わせることで生まれる価値ですね」(村上氏)

「もっと、面白く」をビジョンに掲げる株式会社coly。2024年5月にリリースされた最新タイトル「ブレイクマイケース」も公開後わずか2日で100万ユーザーを突破するなど、快進撃を続けている。colyらしさを詰め込んだ新オフィスで、従業員一人ひとりが夢中になって取り組むことで、「もっと面白い」世界の実現を目指す。






