デジタルリユース株式会社
2025年11月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
コミュニケーションの活性化を目的に
多様な機能を備えたオフィスを構築した
デジタルリユース株式会社は、IT機器をメインにしたリユースおよびリサイクル事業を中心に業務を拡大してきた。人員増加に伴い増床で対応してきたが、働く環境のさらなる整備を目的にオフィス移転を決断。今回の取材では、移転の背景と新オフィスに込めた狙いや想い、具体的な機能や運用についてお話を伺った。

デジタルリユース株式会社
代表取締役社長
及川 信之 氏

デジタルリユース株式会社
取締役 経営管理本部長
兼 経営企画室長
兼 総務部長
長田 圭 氏

デジタルリユース株式会社
経営管理本部
総務部 副部長
兼 総務課長
鎌形 やよい 氏

三幸エステート株式会社
法人一部
久保田 英嗣
Contents
- 時代を捉えたリユース事業をメインにサステナブル社会の形成に取り組む
- オフィス移転が正式に決定し、適正面積を求める作業に入った
- 「コミュニケーションの活性化」をテーマに内装デザイン構築のフェーズに入る
- 旧オフィスの「継承」と「改善」。その両面でオフィスを構築した
- 想定外のコミュニケーションも生まれ、業務効率の高い空間をつくりあげていく

オープンスペース
時代を捉えたリユース事業をメインにサステナブル社会の形成に取り組む
2001年3月、IT機器の再利用ニーズの高まりに伴い、デジタルリユース株式会社が誕生した。以降、データ漏洩事故やそれに伴うセキュリティ強化といった社会的背景を追い風に業務を拡大している。
「2000年に、『大量生産・大量消費・大量廃棄』からの転換を目指し、環境負荷の低減を目的とした循環型社会形成推進基本法が公布されました。それから、日本でも『3R』(『Reduce(リデュース)』『Reuse(リユース)』『Recycle(リサイクル)』)の考え方が浸透し、今ではサーキュラーエコノミーを支えるエコシステムとしてリユース・リサイクルが注目されています。当社は、それらのニーズに合わせた多くの事業を展開してきました」(及川氏)
同社が取り扱うIT機器の台数は年間50万台以上。リユース業界トップクラスの処理能力を誇り、サステナブル社会の形成に向けて積極的な取り組みを見せている。
オフィス移転が正式に決定し、適正面積を求める作業に入った
「会社設立時は品川区大崎に150坪超のオフィスを構えていました。当時は拡大路線を思い描いていたため広めのオフィスを用意していました。結局、そこまでの増員が及ばず、次の契約更新のタイミングで面積の縮小を決定しました」(及川氏)
移転先(旧オフィス)となったのは、東急目黒線「不動前」駅を最寄りとするオフィスビル。5階の63坪への入居だった。
「その後、事業が順調に推移する中で、オフィスの手狭さが課題となりました。タイミング良く1階の33坪に空室が出て、居抜きで利用が可能という条件にも魅力を感じ、増床を行いました」(鎌形氏)
コロナ発生以降、本社ではリモートでの働き方を採用した。コロナの収束後も、オフィスが手狭になっていたため出社率を70%に抑え、リモートと出社のハイブリッドを選択した。
「実はかなり前から、『手狭』と『フロアの分散』という課題解決の必要性を議論していました。それらは『社内コミュニケーションの低下』を招く大きな要因となっていたからです」(及川氏)
そんなオフィスの悩みに応えたのが三幸エステートだった。その存在を知ったのは3年近くも前のことだったという。
「当社の株主である株式会社JECC出身の担当者に、三幸エステートの久保田英嗣さんをご紹介いただきました。それからは、定期的に不動産市況などをテーマにした勉強会を通じ、長いお付き合いをさせていただいています」(及川氏)
「旧オフィスには20年近く入居していました。入居条件に不満はなかったのですが、働き方の課題は改善しなければならない。また、今後の事業拡大のための人員増員も進めていかなければならない。そのためには、面積だけではなく、立地も検討すべきと考えました。当社にとってオフィス移転は、必要な経営課題の一つになっていたのです」(長田氏)
それらを背景に、久保田が訪問する。
「最初は、事業内容や企業理念、パーパスなどを理解することから始めました。いろいろと伺う中で、環境型社会につながる有意義な事業を行っている企業ということを再認識しました。続けて質問を重ねることで、働き方の課題が明確に見えてきました。その後はオフィス移転のプロとして、長年の経験や知識を使って行動あるのみでした」(久保田)
「当時の東京本社の従業員は約40名。今後60名程度まで増やす計画でした。移転計画を成功させるためには、当社の適正面積を把握する必要がありました」(及川氏)
「分散フロアでの働き方は、コミュニケーションの低下を招きかねません。1フロアに集約することで、無駄な面積の削減も可能です。そこで、移転候補ビルの平面図に、執務机、家具什器、会議室、コミュニケーションエリアなどを配置したテストレイアウトを作成しました。そのレイアウトをベースにすることで、本当に必要な機能や広さ、働き方のイメージを掴んでもらえると思ったのです」(久保田)
全体のスケジュール感や希望する立地条件も、移転先の提案には欠かすことのできない重要な要素となる。
「当社は設立以来、東京の西側にオフィスを構えていました。しかし、エリアにこだわっていたわけではありません。今回はもっと広範囲で探してもらうため、山手線の内側という大まかな要望だけをお伝えしました」(及川氏)
そうした条件を整理した上で、移転先候補リストが提出された。
「それはエリアごとに50棟弱の候補物件が一覧表になっていました」(長田氏)
その中から数棟に絞り込み、周辺環境を含めて内見。条件通りの1棟と契約を締結した。
「実は、契約したビルは最初の段階でお薦め物件としてご紹介いただいていたビルでした。その時はタッチの差で、他の会社が優先交渉をしているということで半ば諦めていましたが、久保田さんから優先権が外れたという連絡があったのです」(及川氏)
「このビルに興味をお持ちでしたので、諦めることなく状況確認を続けていました。貸主側の担当者とは旧知の仲で、最新情報を真っ先にいただくことができ即座に対応できました。もちろん他の企業からも問合せがあったようですが、最後はお客様の堅実な業務内容が評価されて、契約に結びつけることができました」(久保田)
「何よりも最大の魅力は、秋葉原の電気街に近い立地でした。IT関連の最新情報にアンテナを張ることができますし、販売店の集積は今後の営業活動にもプラスになるでしょう。さらに、採用活動でもPCやITに関心の高い方にアピールしやすくなったと感じています。今まで以上に応募者が増えることに期待しています」(鎌形氏)
新オフィスの面積は約135坪。旧オフィスより約40%の面積拡張となり、出社率は90%近くまで上昇した。そして2026年3月からは100%出社を目指すという。
「コミュニケーションの活性化」をテーマに
内装デザイン構築のフェーズに入る
その後、内装デザインのフェーズに移る。デザイン構築に向けて5社コンペを行った。各社各様で甲乙つけがたい提案ばかりだった。最後は、同社が目指す『コミュニケーションの活性化』というテーマに、一番親和性を感じたデザイン会社が選ばれた。
その後は、内装デザイン会社との定例会を毎週開催。同社からは鎌形氏を含むプロジェクトメンバーが参加し、議論を重ねながら進めていった。
「旧オフィスでリニューアルプロジェクトを担当した経験を生かし、今回も検討段階から関わりました。社内関係者の意見や自社として目指す方向性を踏まえながら調整を行い、社内外をつなぐ役割を果たせたと思います」(鎌形氏)
旧オフィスの「継承」と「改善」。その両面でオフィスを構築した
そうして構築した新オフィスは、落ち着いた木目調のデザインを採用しながら、清潔感あふれる仕上がりとなった。旧オフィスでは、コーポレートカラーの青を基調色としていたが、今回はあえて白を多用したという。
それではエントランスから順に見ていこう。
エレベーターを降りると、正面にガラスブロックを配置したエントランスが現れる。
「ガラスブロックを効果的に使用することで、お客様を明るい中でお迎えできると考えました。受付台の上に飾られたロゴのパネルは旧オフィスでも使用していたものです。最適な場所に再利用できたと思います」(鎌形氏)

エントランス
その奥に会議室が配置されている。旧オフィスの会議室はガラス面の割合が多く、遮音性の面で課題があった。そこで今回は、メインの会議室を執務室と動線を切り分け、廊下側に配置し、セキュリティと遮音性に配慮した設計とした。
「会議室は、『GYU』『TEN』『KATSU』といったように丼ものの名前が付けられています。これは旧オフィスから受け継いでおり、社内公募で決定したものです。馴染みのある名前でしたのでそのまま継承しました」(鎌形氏)

会議室
会議室の奥が執務室となる。中央のコーヒーカウンターを境に、机を配置したエリアとゆったりとしたオープンスペースのエリアとに分けている。フリーアドレスを全部署対象にしている点は、旧オフィスと同じだ。
「オープンスペースに配置した家具は、自由に並べ替えることができます。イベントの開催も視野に入れ、プロジェクターとスクリーンを装備しています。ここから今までと違った交流が生まれることに期待しています」(及川氏)
「執務エリアは、天井の一部をスケルトン仕様にし、さらにパーティションを一切使用しないことで開放感を演出しています」(長田氏)

コーヒーカウンター

机を配置したエリア
1on1用の小部屋にはソファを置き、体調不良時の救護室としての運用も想定している。その他、スタンディングで働きたいというニーズにも対応できるハイデスク席、数名で打ち合わせを行うためのファミレス席、集中を目的としたソロカウンター席など、働く場所を自由に選べるABWを取り入れている。

ハイデスク席

ファミレス席

ソロカウンター席
移転初日、働く環境が大きく変わったこともあり、全従業員を前に「新オフィスの使い方」についてのレクチャーを行った。
「各機能の用途や、つくった目的などを具体的に説明しました。それによってフリーアドレスの意義を再認識してもらえたと感じます。また、前日とは異なる席に座るというルールを新たに設けました。それはきちんと守られているようです」(長田氏)
想定外のコミュニケーションも生まれ業務効率の高い空間をつくりあげていく
「新オフィスの周辺にはたくさんの飲食店が立ち並んでいます。それも周辺環境の改善といえるかもしれません。驚いたのは、いつの間にかイントラネットにオリジナルの飲食店マップが作成されていたことです。その内容は日増しにアップグレードされ、お店の感想なども書き込まれています。従業員が自らつくりあげたコミュニケーションといえるでしょう」(長田氏)
1フロアでのオフィス環境は、社員教育の面でも優位になると語る。
「社員研修やOJTを見ても、従業員の理解度が大きく向上しています。特に新入社員の場合、細かい配慮やちょっとした心遣いが必要になるものですが、フルリモートでは十分に補えない部分があったように感じています。今後は部署を横断した連携が増えていくことでしょう。それによって、意思決定のスピードや業務効率の向上につながればと思っています」(鎌形氏)
「当社の場合、自己完結で進められる業務は限られています。リモートの良さは否定しませんが、やはりチーム内で顔を合わせ、協働による課題解決がベストだと考えています」(長田氏)
「どれだけ時代が進化しようと、プライベートもビジネスも人との結びつきが最も重要です。今回の新オフィスでは、気軽に会話を楽しむためのエリアをたくさん用意しました。ここから会社の第2のスタートが踏み出せたら良いと思っています」(及川氏)
IT機器のリユース、リサイクル事業を通じてサステナブルな未来を牽引してきたデジタルリユース株式会社。SDGsや地球環境に配慮しようという昨今の考え方が、同社の存在価値をより一層高めている。今後もこれらの業務を継続し、循環型社会の発展を支えていく。

