ディーブイエックス株式会社
ディーブイエックス株式会社
ディーブイエックス株式会社
2025年4月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
旧オフィスの課題を解決し、未来を拓く
約20年ぶりに本社移転を実施した
ディーブイエックス株式会社は、2025年4月、JR品川駅徒歩圏内の大規模オフィスビルへ本社を移転した。今回の移転は、長年抱えていた旧オフィスの課題を解決し、さらなる成長を目指すための重要なプロジェクトである。単なる移転ではなく、「働く場所の再定義」と位置付けられたこのプロジェクト。その背景や新オフィスへのこだわりについて、関係者の皆様にお話を伺った。

ディーブイエックス株式会社
執行役員 経営管理 経営戦略担当
兼 経営管理部長 兼 経営戦略室長
池田 蓮 氏

ディーブイエックス株式会社
経営管理部
総務課長
木村 雄太 氏

ディーブイエックス株式会社
社長秘書
T 氏

三幸エステート株式会社
虎ノ門支店 営業部
前田 有泰

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部
草野 真
Contents
- 医療機器の総合商社として、進化し続けるディーブイエックス株式会社
- 新たなステージへ。オフィス移転が意味するもの
- 移転からオフィス構築まで。ワンストップでサポートできるパートナーとの出会い
- 人材獲得を最重要課題に。品川エリアへの移転を決断
- 偶発的な出会いと創造性を生み出す。理想のオフィスが完成
- 細部にまでこだわり抜いた、新たなオフィスの全貌
- 「出社したくなるオフィス」。未来へ繋がるオフィスづくり

エントランス
医療機器の総合商社として、進化し続けるディーブイエックス株式会社
1986年4月、株式会社ヘルツ(現ディーブイエックス株式会社)は設立され、以来約40年にわたり、豊島区池袋周辺を本社所在地として事業を展開してきた。 当初は心臓ペースメーカーの販売を主力としていたが、その後、医療用機器および関連周辺機器の製造、売買、修理、保守点検、賃貸、リースなど、事業領域を拡大し、成長を続けている。2013年7月には、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場を果たし、医療機器専門商社としての地位を確立した。
「現在、全国23箇所に営業所を設け、全国の医療現場を幅広くサポートしています。大田区南蒲田のオフィスビルには、製品開発のための研究施設を設けています」(池田氏)
新たなステージへ。オフィス移転が意味するもの
旧本社オフィスは豊島区高田のオフィスビルに約20年入居していたため、本社で従事する従業員の多くが近隣の埼玉県や練馬区などに住居を構えている。そのような事情もあり、仮に移転をするとしても立地を大きく変更することは困難だと考えていたという。
「近年、人材採用が非常に難しくなっており、現状のオフィス環境が採用活動の障壁になっているのではないかという懸念がありました。より幅広い人材を獲得するためには、思い切って全く別のエリアへの移転も視野に入れる必要があると考えたのです」(池田氏)
また、旧オフィスは、会議室の不足や手狭な空間など、働く環境として快適とは言えない状況だった。
「約240坪のオフィスに会議室が3室しかなく、会議を行う場所の確保に苦労していました」(木村氏)
「会議室が足りないため、近隣の貸会議室を利用したこともありましたが、費用がかさむだけでなく、会議日程の調整など、本来業務とは関係のない手間も発生していました」(T氏)
「40周年を機に、これからの会社のあり方を改めて見つめ直す必要がありました。そして、導き出した答えが『働く場所の再定義』だったのです」(池田氏)
移転からオフィス構築まで
ワンストップでサポートできるパートナーとの出会い
「当社にとって、オフィス移転は初めての経験です。そこで、移転業務全般をサポートしていただける企業を数社探し、問い合わせをしました」(池田氏)
その中で、三幸エステートの営業部、前田有泰が対応することになった。
「すぐに前田さんからご連絡をいただき、説明にお越しいただけることになりました。その迅速な対応はもちろん、サービス内容や具体的なサポート体制について、非常にわかりやすく説明していただき、その時点で『この方にならお任せできる』と感じました」(池田氏)
「初めての訪問でしたので、当社のサービスメニューを丁寧にご説明するとともに、お客様にとって最適なサポートプランをご提案させていただきました」(前田)
「今回のプロジェクトを依頼するにあたって、ポイントは二つありました。まず、豊富な物件情報を有していること。そして、オフィスづくりから引越しまで、移転に関わる全ての業務をワンストップでサポートしていただけることです。移転に関するノウハウがない当社にとって、これは非常に重要な条件でした」(池田氏)
「三幸エステートさんは、物件情報が豊富なだけでなく、オフィス構築の実績も多数お持ちでした。オフィス移転の入口から出口まで、一貫してサポートしていただける『総合オフィスコンサルティングサービス』は、まさに理想的な提案でした」(T氏)
人材獲得を最重要課題に。品川エリアへの移転を決断
「今回の移転計画において、最重要課題として掲げたのは『人材採用』対策です。そのためには、『働く環境』を大きく変革する必要があると考えました。調査を進める中で、人材獲得を目的として、品川駅周辺に本社機能を移転する企業が多いことを知り、品川エリアの魅力に惹かれるようになりました」(池田氏)
「ヒアリングを重ねる中で、『これまでとは異なる切り口で採用活動を行いたい』『新幹線や羽田空港へのアクセスを向上させたい』といったご要望をいただきました。そこで、品川エリアを中心に、移転候補となるオフィスビルをご提案させていただきました」(前田)
「その後も、三幸エステートさんには取締役会議用の資料を作成していただきました。品川エリアの利便性、候補となるオフィスの比較表、コストシミュレーション、テストレイアウトなど、64ページにもおよぶ非常に完成度の高い資料を作成していただきました。専門の会社にお願いして本当に良かったと感じました」(池田氏)
「取締役会では、三幸エステートの柴田常務にご説明いただき、スムーズに承認を得ることができました」(T氏)
そして品川エリアを中心とした移転先の検討が本格的にスタートした。
「最終的に、ご提案いただいた候補の中から5棟のオフィスビルに絞り込み、前田さんに一日でまとめて内覧できるようにスケジュールを調整していただきました。代表の柴﨑も参加したのですが、そのうちの一つのビルに強く惹かれ、内覧に同行したメンバー全員の意見が一致しました」(池田氏)
そして、JR品川駅から徒歩圏内にあるハイグレードオフィスビル、約250坪との賃貸借契約を締結するに至った。交通アクセス、面積、コストなど、全ての条件が同社の希望に合致する理想的なオフィスだった。
「私自身は物件選定には一切関わっていなかったのですが、正直なところ、オフィスが品川に移転すると聞いて、通勤時間が大幅に延びることに不安を感じていました。しかし、実際にこのオフィスを見た瞬間、そのようなネガティブな感情は完全に払拭されました。このオフィスなら、間違いなく従業員のモチベーションが向上すると確信しました」(木村氏)
偶発的な出会いと創造性を生み出す。理想のオフィスが完成
「それからオフィス構築のフェーズに入りますが、当社側のメンバーはわずか3名でスタートしました。部署を横断した大規模なプロジェクトチームを編成することが一般的ですが、あえて少人数に絞り、迅速な意思決定と密な連携を目指しました」(池田氏)
三幸エステートからは、プロジェクトマネジメント部の草野真が加わり、共にオフィスづくりを進めていくことになった。 まずは、オフィスデザインを担う内装デザイン会社を選定するため、4社によるコンペが実施された。
「過去の実績などを参考に、今回の案件にふさわしいと思われる会社をリストアップし、プロジェクトメンバーで協議の上、4社に絞り込み、コンペの日程を調整しました」(草野)
「コンペに参加する企業には、『洗練』『機能的』『清潔感』というキーワードをお伝えし、取締役会で使用したレイアウト案をベースに、デザイン案を作成していただくようお願いしました」(池田氏)
各社から提案されたデザイン案の中で、1社から提出された案は、他社とは一線を画す、想像を超えるものだった。しかし、その提案内容を詳しく聞いてみると、奇抜さを狙ったものではなく、ビルの特性を深く理解した上で、綿密に計算されたデザインであることがわかった。
「それは、スタンダードでありながらも、斬新さを兼ね備えた素晴らしいデザイン案でした。プロジェクトメンバー全員が、その提案に心を奪われました」(池田氏)
「他社のデザインも魅力的でしたが、当社としては、そこまで大胆なデザインに振り切ることは難しいという判断に至りました」(木村氏)
「プロジェクトが進むにつれて、メンバー同士の価値観や美意識の方向性が非常に近いことを認識しました。限られた時間の中でプロジェクトを進めるためには、迅速な意思決定と一貫した判断が不可欠です。このメンバーとなら、スムーズに進められると強く感じました」(T氏)
「代表からは、『社員が出社したくなるオフィス』という明確なビジョンが示されていました。それを軸に、意思決定の方向性を定めていきました」(木村氏)
「とはいえ、メンバーだけで独善的に決めていったわけではありません。常に意識したのは『最大公約数』です。全員を100%納得させることは難しいので、できるだけ多くの従業員に『いいね』と言ってもらえるオフィスを目指しました」(池田氏)
細部にまでこだわり抜いた、新たなオフィスの全貌
それでは細部にまでこだわり抜いて完成した、新たなオフィスの全貌を見ていこう。
「エレベーターホールからエントランスに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、正面に配置された会社のロゴマークです。その奥には、お客様をお迎えするための美しいレセプションフラワーが飾られています。開放感あふれる眺望と一体となったデザインは、訪れる人に深い印象を与えます」(木村氏)
「壁面には、本物のタイルを使用しました。タイルの色味や素材については、プロジェクトメンバーで何度も議論を重ねました。元々はデザイナーさんのアイデアでしたが、私たちの意見も積極的に取り入れていただき、理想的な空間を実現することができました」(池田氏)
「デザイン案は素晴らしかったのですが、素材にこだわることで、全体のスケジュールに影響が出る可能性がありました。そこで、全体のスケジュールを改めて調整し、タイルの選定に時間をかけることにしました。完成したオフィスを見て、本物のタイルにして本当に良かったと感じています」(草野)
新オフィスには、8つの会議室が設けられている。4人用、6人用、8人用をそれぞれ2室ずつ、その他に大会議室と役員用会議室を用意し、旧オフィスと比較して大幅に増室した。 また、新たに先進的なディスプレイと会議室予約システムを導入し、Web会議の利便性向上や会議室予約の効率化を図った。デザイン性だけでなく、使いやすさと機能性にもこだわった。

会議室
執務室内は、北欧スタイルを基調とし、優しいグレーカラーをベースに、ベージュや木目素材をアクセントとして取り入れ、全体的に落ち着きと清潔感のある空間に仕上げた。
「他社のオフィス事例を参考にしながら、具体的なイメージを固めていきました。旧オフィスは、パーティションによる仕切りが多いレイアウトでしたが、新オフィスでは、開放感を重視し、部署間のコミュニケーションが活発になるような空間を目指しました」(木村氏)

執務室内
モノが少ないことも新オフィスの特長の一つである。
「スペースを有効活用するために、できる限り物を置かないようにしました。移転にあたり、キャビネット約40本分の書類を廃棄したり、外部倉庫に移したりするなど、徹底的な整理整頓を行いました」(池田氏)
「廃棄作業は徹底的に行いました。所有者不明の古い物品などは、画像を共有して『期日までに申し出がない場合は廃棄する』というルールを設け、半ば強制的に整理を進めました」(木村氏)
そして新オフィス最大の特長は、オフィス中央に配置した「カフェスペース」である。
「カフェスペースを、あえて従業員の動線上に配置しました。コーヒーを飲みながら気軽に立ち話をしている姿をよく見かけます。部署を超えた偶発的なコミュニケーションから、新たなアイデアが生まれることを期待しています。カフェスペースの設置により、社内コミュニケーションは間違いなく活性化していると感じます」(池田氏)

カフェスペース①

カフェスペース②
「室内の植栽にもこだわりました。働く空間に『緑』を取り入れることは、『おもてなし』や『癒やし』に繋がると考えたからです。今後は、季節ごとに生花を入れ替え、従業員がリフレッシュできるような空間づくりを目指していきたいです」(木村氏)
「出社したくなるオフィス」。未来へ繋がるオフィスづくり
「おかげさまで、移転後、採用希望者からの応募が増えているようです。『人材採用』対策は、今回の移転プロジェクトにおける最重要目標でしたので、大変嬉しく思っています。今後は、採用だけでなく、新たな効果も生まれてくるのではないかと期待しています」(T氏)
「会社である以上、人と人との繋がりは欠かせません。オフィスは、その繋がりを育むための重要な場所だと考えています。今後も、部署の垣根を越えた、風通しの良いコミュニケーションが生まれる場所にしていきたいです」(木村氏)
「一つの空間の中で、共に何かを生み出していく。それが会社の役割であるならば、一人ひとりがその一員であることを実感できる場、それが『オフィス』であるべきだと考えています。『出社したくなるオフィス』。このテーマを、これからもずっと大切にしていきたいです」(池田氏)

循環器疾病分野を中心に、医療機器の開発・販売で事業を拡大してきたディーブイエックス株式会社。医療現場の声に耳を傾け、数多くのソリューションを提供してきた。これからも、医療機器業界のさらなる発展に貢献するため、挑戦を続けていく。