The Breakthrough Company GO
2026年3月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
「世界でいちばん気がいいオフィス」をコンセプトに
挑戦するための新たな"秘密基地"をスタート
顧客の事業に変化をもたらす企業として「The Breakthrough Company」を掲げるGOは、2025年8月に六本木から元麻布へオフィス移転を実施した。従来の広告・プロモーション領域という枠を超え、事業クリエイティブまで手がける同社が、なぜ移転を決断し、どのような想いを込めて新オフィスをつくりあげたのか。その背景から新オフィスの特徴、今後の展望まで詳しくお話を伺った。

The Breakthrough Company GO
一級建築士
山内 信 氏

The Breakthrough Company GO
Creative Director
MBA
松田 健 氏

The Breakthrough Company GO
Ground Control
Leader
福万 千宥 氏
Contents
- クリエイティブの力で、社会のあらゆる変化と挑戦を推進
- 出社重視の方針とオフィス環境に乖離があった
- 創業の地として選んだ場所「六本木」にこだわった
- コンセプトは「世界でいちばん気がいいオフィス」
- 用途に応じた空間設計で、創造性を引き出すオフィスへ
- "秘密基地"で広がるコミュニケーションと、さらなるクリエイティブ創出へ

エントランス
クリエイティブの力で、社会のあらゆる変化と挑戦を推進
2017年に設立されたThe Breakthrough Company GOは、クリエイティブソリューションファームを掲げている。
「クリエイティブの会社というと、TVCMや新聞広告、グラフィック制作といったイメージを持たれることが多いのですが、私たちは事業をつくる、売上を上げる、事業を推進するところにこそクリエイティビティを活用し、貢献できると考えています」(松田氏)
同社の主力事業は大きく3つ。1つ目は「クリエイティブパートナー事業」。広告制作やプロモーションの企画・実行に加え、新規事業の立ち上げ支援やブランディング、さらには経営層との対話を通じた中期的な戦略支援や組織づくりの伴走など、企業活動の上流から下流まで一貫して関与する点が特徴だ。単なるアウトプットの提供にとどまらず、事業そのものの成長に踏み込んだ支援を行っている。2つ目は、投資事業「The Creative Fund事業」である。LP(Limited Partner)から預かった資金をもとにスタートアップへ資本提供を行い、資本提供にクリエイティブと経営面の支援を組み合わせることで、事業成長の加速を図る。クリエイティブカンパニーならではの視点で投資先の価値向上に関与する点を強みとしている。3つ目は、教育事業「The Creative Academy事業」。著名な経営者やクリエイター、起業家などを講師に迎え、実務に根ざした講義や課題提供を通じて、ビジネスにおけるクリエイティビティを実践的に学ぶ機会を提供している。次代の事業を担う人材育成を視野に入れた取り組みとして位置付けられている。
同社はこれらのクリエイティビティを軸に、幅広い領域で伴走型支援を行っている。
出社重視の方針とオフィス環境に乖離があった
旧オフィスは六本木のオフィスビルに2019年1月から入居。コロナ禍の2021年に隣接区画を拡張し、合計168坪の広さとなっていた。
「増床した理由の1つは人員の増加、もう1つはイベントスペースの確保です。『The Creative Academy事業』では、50名ほどが参加するイベントのために外部会場を借りていましたが、費用がかかるため社内で実施できる環境を用意する必要がありました」(松田氏)
従業員は約50名で、原則出社としていた。しかし、その方針に対してオフィス環境が十分に追いついていないという課題があった。
「私たちが扱っているものは人の感情に関わる領域です。そのため対面でのコミュニケーションを大切にしています。しかし、その方針とオフィス環境の実態が乖離していました。出社を前提としながらも働きやすい環境が整っていなかったのです」(福万氏)
広さとしては100名規模にも対応できる余裕があった一方で、実際にはフリーアドレスに近い運用となっており、集中して作業できる個人用デスクは10席ほどにとどまっていた。また、増床により統一感がなくなり、動線が複雑化したことも課題の1つだった。こうした背景から、オフィスの在り方を見直す議論が本格化していった。
「旧オフィスは定期借家契約だったため、契約満了のタイミングはあらかじめ決まっていました。2023年頃から移転の検討を始め、同年中に意思決定を行い、物件選定を進めていきました」(山内氏)
創業の地として選んだ場所「六本木」にこだわった
同社は創業時から、デザイン会社が多く集まる青山や赤坂ではなく、街そのものにエネルギーが感じられる六本木を拠点として選び続けている。今回の移転においても同エリア内での移転はマストだった。また、オフィスビルに「格」を感じられることも重視した。
「他社様にブランディングを提供する立場として、建物の外観も含めてそれなりの水準が必要だと考えました」(山内氏)
旧オフィスは「革命軍の秘密基地」というコンセプトで、スケルトン化した内装デザインだったが、新オフィスでもその概念は踏襲された。
「平面の広さはもちろんですが、スケルトン化が可能であること、天井高を確保できることが条件でした」(山内氏)
物件選定にあたっては、約50棟の候補から資料選定を行い、そのうち約30棟を実際に内見。さらに約10棟に絞り込んだうえで、代表をはじめとする意思決定者とコアメンバーによって移転先を決定した。
「望んでいたエリアにおいて、先に述べたハード面での条件を満たす貴重な物件だった事に加え、共用部を含めた管理体制にも安心感がありました。管理会社が迅速・柔軟に対応して下さる事は契約後の内装工事などに大きく影響するため、その点も重視しました」(山内氏)
「ここはエリア内でも住宅が多く、落ち着いた雰囲気です。スタッフが帰宅する際の安全面を考えると、治安が良いことは重要な要素でした」(松田氏)
コンセプトは「世界でいちばん気がいいオフィス」
移転先が決定し、オフィスづくりの段階に入る。一般的には内装設計会社をコンペで選定するケースが多いが、今回はタイトなスケジュールを理由に選定プロセスを省略。特定の一社へ依頼を行った。
「ブランディングを行う能力は社内にあり、私も建築士として設計から実施まで関与できる体制にある。選定に時間をかけず、スケジュール管理に長けたデザイン会社に依頼するのがベストと考えました」(山内氏)
最も重視したのは、従業員が快適に業務に取り組める環境づくりだった。
「管理部門として移転の実務全般を担当し、従業員全員の働きやすさを担保するための検討を重ねました」(福万氏)
「現場の立場から、どのような環境が働きやすいかを考え、椅子の選定や1人1台のモニター設置など、さまざまな改善策を提案しました」(松田氏)
こうした検討を経て、新オフィスのコンセプトは「世界でいちばん気がいいオフィス」へ決定。新たな拠点に変化と挑戦を求め、動き続ける人々の秘密基地「GO元麻布BASE」と位置付けた。
「これは代表の三浦が考えたコンセプトです。多くの人が集まり、コミュニケーションを通じて良いものを生み出してほしいという想いが込められています。そのためにアートやグリーンをふんだんに取り入れ、間口は広く設けるなど、風通しが良くスタッフがクリエイティビティを発揮できる空間を目指しました」(福万氏)
物件選定は2024年1月に開始し、2025年2月に契約を締結。8月末には新オフィスで稼働開始というスピード感ある移転だった。
「設計から移転に関する実務作業まで、社内のあらゆる知見を集約することで、求めるコンセプトを実現した上で工期と予算を当初想定された半分程度に抑える事が出来ました」(山内氏)
用途に応じた空間設計で、創造性を引き出すオフィスへ
それでは新オフィスを紹介しよう。広さはやや拡大して約175坪となった。まず目に入るのが、まっすぐ伸びる参道のような中央通路。奥まで見通すことができ、すっきりとした開放感がある。コンクリートが剥き出しになった室内には各所に植物が配置され、天井からは山内氏が自ら仕入れて製作した流木とフェイクグリーンのオブジェが吊るされた。さらに壁には武田鉄平氏や猪瀬直哉氏、落合陽一氏など現代アーティストの作品が20点以上配置されている。まるでギャラリーとも言えるような、クリエイターの「秘密基地」だ。

参道のような中央通路
エントランスからすぐ左手には、50名規模のセミナーが可能なアリーナが設けられた。
「『The Creative Academy』の講義や、週1回の全社定例会はここで行っています。音響設備が整っているため、クライアントやパートナーの全社集会などに貸し出すこともあります。そのほか、月1〜2回の社内イベントでも活用しています」(福万氏)

アリーナ
アリーナの反対側には5つの会議室が並ぶ。それぞれに名前が付けられ、用途に応じた空間設計になっている。
「一番手前にある『メタル』は、銀と白を基調とした緊張感のある空間で、プレゼンテーションなどに利用しています。その奥に社長室『ターフ』を挟んであたたかみのある木目の『ウッド』という打ち合わせスペース、さらに奥に黒を基調とした『ストーン』を配置し、リラックスから集中へと段階的に切り替わるグラデーションを意識しています」(松田氏)

会議室
そして、最奥には執務エリアを配置した。
「従業員全員に固定席を用意しています。モニターと個人ロッカーも設けており、出社して快適に仕事をするために必要な環境を揃えました」(福万氏)

執務エリア(入口)

執務エリア

『GO』をかたどったテーブル
"秘密基地"で広がるコミュニケーションと、さらなるクリエイティブ創出へ
新しいオフィスは社内外から非常に好評で、外部の方が訪れる機会も増えたという。
「前のオフィスも評価は高かったのですが『より良くなりましたね』と言っていただけます」(山内氏)
「社内の満足度調査でも、ほぼ100%が満足という結果でした。出社率も1.5〜2倍ほどに上がり、会話も増えてオフィス全体がより活気づいています」(福万氏)
「従業員同士での映画鑑賞やゲーム大会なども開催しています。先日はある海外ドラマの最終回をみんなで観るなど、交流の場としても活用されていて嬉しいです」(山内氏)
採用面においても変化が見られ、オフィスが企業理解の一助となっているようだ。
「アートやグリーンを飾ることでリラックス感が生まれ、『働きやすく気持ちが良いオフィス』という印象につながっているようです。採用面においても、ここで働きたいと思っていただけるきっかけになっていると感じています」(福万氏)
「以前のオフィスは増築を経て作り上げた空間で、それ故の遊びや楽しさがありましたが、実務面でやや要求を満たせていない点がありました。今回機能面の整備が出来た事で、スタッフはもちろんクライアントにもより安心してご利用頂ける空間になったと感じています」(山内氏)
移転により、斬新さと働きやすさを兼ね備えた新たな"秘密基地"が完成した同社。最後にクリエイティブ会社にとってのオフィスの重要性について伺った。
「私たちの仕事は対面が基本だと考えています。リモートワークでは得られる情報量が限られますが、対面では表情や仕草、空気感といった細かな部分まで感じ取ることができます。社内外ともに深いコミュニケーションがあってこそ、チームとしての力が発揮されると考えています。だからこそオフィスは非常に重要です」(松田氏)
「新オフィスに移ってから、会話量が格段に増えました。人と人が近くにいることで、仕事で困った時や辛い時に助けを求めやすくなり、心理的な安心感も向上したと感じます。働きやすく、行きたくなるオフィス。そんな場所であることが非常に大切だと考えています」(福万氏)
「パソコンひとつで在宅勤務ができる時代に、あえてオフィスに意味があるとすれば、出社することで周りからパワーを得られることだと思います。家ではリラックスや集中ができますが、ここでは従業員や来社する方々から刺激を得られます。また、同時に自分たちがそれを発信できる場所にもなってほしい。月曜日の朝、オフィスに来たらみんながいて楽しいと思えるような、そんな気持ちで出社することができる空間をこれからも目指していきます」(山内氏)

クリエイティブを軸に、クライアントとワンチームで課題解決に向き合うThe Breakthrough Company GO。理想論にとどまらない実行力と柔軟な発想力は国内外で高く評価されており、同社が企画した食品ロス削減ツール「涙目シール」は「Spikes Asia 2026」デザイン部門でゴールドを受賞。今後も領域にとらわれない独自のアプローチで、新たな価値創出への挑戦を推進していく。

