株式会社HBA 創成イノベイティブオフィス

株式会社HBA 創成イノベイティブオフィス

2024年11月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

大規模オフィス移転の実施で
抱えていた課題を一気に解決した

札幌市に本社を置き、ITソリューションを提供している株式会社HBA。事業拡大による増員がオフィスの「手狭」をもたらしていた。その解決策として、本社ビル周辺に分室を設けて対応していたが、ロケーションの分散によるコミュニケーション分断という新たな課題を生むことに。それらを背景に約1,200坪の大規模集約移転を決断した。その後、三幸エステートプロジェクトマネジメント部をサポートメンバーとして加え、オフィスを構築。現在、創成イノベイティブオフィス(以下、創成オフィス)への移転が完了し、順調に稼働している。今回の取材では、創成オフィス開設の背景やデザインコンセプトなどを伺った。

細島 匡智 氏

株式会社HBA
技術本部 副本部長


細島 匡智 氏

沼田 真吾 氏

株式会社HBA
エンタープライズソリューション本部
コーポレートソリューション部
第一ソリューション課 課長

沼田 真吾 氏

浦川 美妃 氏

株式会社HBA
札幌移転プロジェクト


浦川 美妃 氏

滝口 恵貴

三幸エステート株式会社
札幌支店長

滝口 恵貴

板羽 尚大

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部


板羽 尚大

中島 啓太

三幸エステート株式会社
プロジェクトマネジメント部


中島 啓太

Contents

  1. 手狭の解消に分室を設けたがそれが新たな課題を生むことになった
  2. 先進オフィスのコピーではなく自分たちの色を出したいと考えた
  3. 目指したのは『北海道初』のオフィス。こだわり抜いたフロアごとのレイアウト
  4. 「繋がり」のある場の構築。それこそがオフィスの役割と考えている

8階ABWエリア

8階ABWエリア

手狭の解消に分室を設けたがそれが新たな課題を生むことになった

1964年4月、株式会社HBA(旧北海道ビジネスオートメーション株式会社)が設立した。当初は、自治体向けコンピュータの受託計算サービスが主業務だったという。その後、新たな価値の創造を掲げて業務を拡大。現在はシステムインテグレーション事業、ソフトウェア開発事業、クラウドサービス事業、アウトソーシングサービス事業を軸にITソリューション企業として成長し続けている。

20076月にHBA本社ビルが竣工。その後、事業拡大に伴い人員が増加し、次第に「手狭」という課題を抱えるようになっていた。

「近隣のオフィスビルを借りて対応していました。まずは早急に手狭さを解消したかったです」(細島氏)

分室はいつしか札幌市内6ヵ所に。それが「コミュニケーション分断」という次なる課題を生みだしていた。

「以前から札幌エリア内に分散しているオフィス集約の相談をいただいていました。しかし、札幌の中心部では大量の面積を確保しにくいという現実がありました」(滝口)

「最適な物件さえあればいつでも集約移転を実施していたと思います。何しろ2023年にも賃貸フロアを増床したばかりです。それくらい急激に人員が増加していました」(細島氏)

そんな中、札幌駅東側で進行している大規模ビルの紹介を受ける。

「面積と場所の面で当社の希望条件に合致していましたので、すぐに検討しました。その後、賃料などの諸条件を交渉していきました」(細島氏)

「ここまで大量の空室を確保できる物件は中々ありません。この周辺エリアは北海道新幹線駅が開業する予定になっており、間違いなく大きな発展が見込めます。今後も成長を続けるHBAさんに相応しいオフィスのご提案ができたと思っています」(滝口)

そうして創成クロスの5階、7階、8階で賃貸借契約が締結された。

先進オフィスのコピーではなく自分たちの色を出したいと考えた

2024年1月、新組織「札幌移転プロジェクト」が誕生。創成クロスへの移転プロジェクトが正式にスタートした。

「私は何度か技術本部の増床に携わってきました。今回のプロジェクトでも、その経験を活かしてもらいたいとの理由でメンバーに選ばれました」(細島氏)

「私は部署内でちょうど中間のポジションに位置しています。そのため、さまざまな階層のメンバーとの連携に適任ということで声がかかりました」(沼田氏)

「私は、『札幌移転プロジェクト』立ち上げのタイミングで配属になり、プロジェクトに参加することになりました」(浦川氏)

 20234月、東京でも同様の課題を抱え、オフィス移転を実施した。それが、「品川コラボレーションオフィス(以下、品川オフィス)」である。「共創」をテーマとした品川オフィスは首都圏市場でのソフトウェア開発拠点として、同社を支えている。

(参照:https://www.sanko-e.co.jp/case/hba/

「『品川オフィス』は社内外から非常に良い評価を得ています。その構築に貢献いただいた三幸エステートさんに今回もプロジェクトマネジメントを依頼しました」(細島氏)

三幸エステートからは、マネジメントを効率良く行うために板羽、中島の2名がサポートメンバーとして加わった。

「定例会では色々な角度からの意見交換ができました。無駄のない有効なアイデアを次々といただきましたので、確認作業に専念できました。その取り組みが短期間で完成できた要因の一つだと思っています」(板羽)

「二人体制ではありますが、ただ並走するのも効率が悪いと考えて、お互いに役割分担を決めて移転プロジェクトに臨みました。そして当初に定めたスケジュールだけは遅れてはならない。そのことを強く意識してプロジェクトに参加しました」(中島)

そうして、同社で構成されたプロジェクトチームと三幸エステートのプロジェクトマネジャー、内装デザイン会社が一体となってオフィスづくりを進行していった。まずは他社の先進オフィスを参考にした。

「品川オフィスは『部署を超えたコミュニケーション』が自然に生まれるように設計されていて、非常に魅力的でした。創成オフィスでは、品川オフィスの考え方を参考にしつつ、『イノベーション』をテーマとしました」(細島氏)

「移転プロジェクトへの参加が決まってから、多くの先進的なオフィスを見学させていただきました。見学時に印象に残った部分をメモしたり、写真で残したりと参考になる箇所は記録しました。その中で、単なる先進オフィスのコピーではなく、自分なりのアイデアを融合させて『自分たちの色を出す』ということを意識して形にしていきました」(浦川氏)

目指したのは『北海道初』のオフィス
こだわり抜いたフロアごとのレイアウト

その後、フロアごとに将来的な働き方を見据えながらレイアウトを考えていった。

「『先進性・シック』という共通コンセプトがありましたので、フロアが異なっても統一感はあると思います。ただし各フロア内に設けたABWエリアは、各部署の想いを表現していて、個性があります」(沼田氏)

「『北海道初』というキーワードにもこだわりました。例えば、造作什器を数多く使用したり、北海道産の木材にこだわったりなどと、他社の先進オフィスでも例がないと思います」(細島氏)

「ようやく北海道でも、『オフィスは、働き方や採用活動に大きな影響を与える』ことが認知されるようになってきました。今回構築した創成オフィスは北海道でフロントランナー的な役割を果たす存在になると思っています」(滝口)

それでは具体的に各フロアを紹介していこう。

5階の430坪は技術本部のフロアで約300名で使用する。執務室内は固定席とABWエリアで構成されている。

「開発や設計には大画面のディスプレイが必要になるため、固定席を採用しました。加えて、余裕のあるオフィス環境にしたかったため打合せ等で利用できるABWエリアを用意しました」(細島氏)

5階 ABWエリア

5階 ABWエリア

7階はエンタープライズソリューション本部のフロアとなる。430坪を約200名で使用する。5階のオフィス同様、固定席とABWエリアで構成されている。

「営業部門はHBA本社を拠点にしているため、部署の全員がここに移ってきたわけではありません。しかし、創成オフィスに魅力を感じるのか、移転後は隣駅の苗穂にあるオフィスや札幌本社の従業員が頻繁に立ち寄る姿を見かけるようになりました。きっと生産性の向上といった効果も出てくるのではないでしょうか」(沼田氏)

フロア全体は、旧オフィスの反省から壁をつくらずにフラットなレイアウトでまとめたという。

7階 ABWエリア

7階 ABWエリア

8階の360坪は、受付、応接・会議室エリア、ABWエリアを中心に構成。エンタープライズソリューション本部と経営企画本部の計約150名が使用する。

「受付はプロジェクトメンバー考案の木材を活用した案を採用しました。『親しみやすさ』を全面に表現しています」(板羽)

「タイトなスケジュールでしたが最後まで妥協はしませんでした。例えば、受付に使用した木材はまっすぐな一本の木にこだわりました。それも杉と檜のどちらが適しているのかも含めて。また、木材の種類だけでなく、什器の色や形についても、何度も検討を重ねて決めました」(浦川氏)

「実際に完成するまで、品川オフィスよりもはるかに多くの時間を要しています」(中島)

受付から入室するとまず応接・会議室エリアが広がる。大きさを変えた8室が用意されていて、景観が楽しめる窓側は来客用、廊下側は社内打合せ用とした。各室内の什器も新品と転用品を織り交ぜ、予算のバランスを保っているという。

8階 受付

8階 受付

「予算を考えながらのデザイン調整は大変な作業でした。全てを高級品で揃えるのではなく、ネットなどで安価に購入した什器も取り入れながら調整しています」(浦川氏)

「現場フェーズでのデザインや設備、予算に関してはプロジェクトメンバーがある程度の決定権を持っていました。それも全体のスケジュールを妨げることなく進行できた要因の一つになっています」(中島)

応接・会議室エリアを抜けるとスケルトン天井のABWエリアが広がる。中央には変わった形をした木材の造作什器、部屋の一角には2脚の揺りかご型チェアが置かれている。揺りかご型チェアはリラックス効果の提供を目的としている。

8階 ABWエリア

8階 ABWエリア

8階 ABWエリア

8階 ABWエリア

「揺りかご型チェアは、東京ビックサイトのオルガテック東京2024に出展されていたものです。創成オフィスのコンセプトイメージにピッタリだと思い採用しました」(浦川氏)

そうして202410月、「創成イノベイティブオフィス」が開設する。札幌市内に限っていえば、HBA本社、HBAシステムビル、苗穂クリエイトスポットに次ぐ、4つ目の拠点となる。

「繋がり」のある場の構築。それこそがオフィスの役割と考えている

「短期間のプロジェクトであっても数多くの問題が発生しました。三幸エステートさんには、解決に向けてアクションアイテムの整理やステークホルダーを交えた打合せなどを効率よく行っていただきました」(細島氏)

オフィス開設後は、来訪者からの評価も高いという。

「創成オフィスはHBAらしくないと言われることも多いですね。遊び心を持つ会社には見えなかったみたいで。間違いなく会社のイメージがいい方向に向かっています。今後も、想定していなかった部分でプラスの効果が表れてくると感じています」(沼田氏)

今回の札幌移転プロジェクトは、メンバーにとっても多くの学びの場になったようだ。

「どんなに詳細な文章を作成して伝えても、理解度は対面の会話より劣ってしまいます。そのことを創成オフィスで実感していますね。今後も、オフィスは『人と会うための重要な場所』ということを忘れずに、オフィス運営をしていきたいと思います」(浦川氏)

「もともと画面越しだけで行うビジネス環境というものに疑問を感じていました。今後は、人材採用や育成が企業の経営課題としてより重要視されていくでしょう。そうしたことからも、対面を重視したオフィスの必要性はさらに高まっていくと思っています」(沼田氏)

「コミュニケーションとは、言葉だけではなく声色や表情を含めたものだと思っています。今までも対面での会話が最も重要だと考えていました。創成オフィスでは、従業員に自由な会話を楽しめる場所を提供する。それが『イノベーション』に繋がり、ゆくゆくは企業の成長を進化させる要素になると思っています」(細島氏)


株式会社HBA
ITという言葉が浸透していなかった時代からイノベーションを起こし、ビジネス領域を拡大してきた株式会社HBA。設立後60年で積み重ねてきた実績を礎に、今後も社会全体の課題解決を目標に掲げていく。そしてより付加価値の高い提案を続けていくという。


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