株式会社コーアツ 東京支社

2025年12月取材

この事例をダウンロード
バックナンバーを一括ダウンロード

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

努力・信頼・実績が「重なる」
人も仕事も見える、フレキシブルなオフィスへ

ガス消火設備のパイオニアである株式会社コーアツ。同社の東京支社が、2025年9月にオフィス移転を実施した。エリアを限定した物件探しから、働き方が異なる各部署に適したオフィスの在り方の模索など、その移転の全容を紹介する。なお、本案件は三幸エステートが提供する「オフィス総合コンサルティングサービス」を活用した事例となる。

株式会社コーアツ
田頭 雄二 氏

取締役執行役員
東京支社長
田頭 雄二 氏

君塚 正樹 氏

東京支社 業務グループリーダー
部長
君塚 正樹 氏

深田 将 氏

東京支社 業務グループ
業務チームリーダー
課長
中井 圭吾 氏

深田 将 氏

東京支社 業務グループ
業務チーム
深田 将 氏

三幸エステート株式会社
大沼 英司

品川支店
大沼 英司

中嶋 美穂

ワークプレイスコンサルティング室
中嶋 美穂

草野 真

プロジェクトマネジメント部
草野 真

Contents
  1. "大切なもの"を濡らさず、汚さず、火災から守るガス消火設備のパイオニア
  2. ゼロからのオフィス移転こそプロの力で綿密に計画
  3. 従業員の意見も取り入れながら要件を固めていった
  4. シンプルでありながら使いやすいさまざまな仕掛けを施したオフィス
  5. 職種横断の連携が可能な環境が、より良い仕事を生み出していく

エントランス

エントランス

"大切なもの"を濡らさず、汚さず、火災から守るガス消火設備のパイオニア

株式会社コーアツは、1930年創業。炭酸ガス製造業に従事していた創業者の野副孝二氏が、その経験を活かして消火装置の研究・設計・製作に着手したことから始まった。1933年には、野副氏が開発した差圧容器弁が特許を取得。この容器弁は当時としては非常に画期的で、今もなお多くのガス消火設備メーカーが採用している。

そして1951年、大阪府大阪市に高圧瓦斯工業株式会社を設立。1964年に本社と生産工場を兵庫県伊丹市に移し、1991年に社名を現在の株式会社コーアツと改めた。2026年現在、生産拠点は兵庫県三田市に移転。ショールーム機能も備えた同拠点には、機器開発棟や研修センターも併設されている。

初期の炭酸ガス消火から1970年代~80年代にかけてのハロンガス消火、1990年代からは大気中の78%を占める窒素ガスを消火ガスとして採用し、人と地球にやさしいガス消火設備を実現化。時代の変化に合わせたガス消火設備を開発・製品化し続け、数々の特許も取得。「消火設備のパイオニアとしての使命に徹し、人の生命、財産を守り、社会の安全に貢献する」を社是に、今日に至るまで、火災の脅威から人々と社会を守り続けている。

ゼロからのオフィス移転こそプロの力で綿密に計画

同社の東京支社は、市ヶ谷エリアに事務所を構えて50年余り、事業拡大とともに市ヶ谷エリアにて拠点を移してきた。2012年からは200坪強の1フロアのオフィスビルに入居していたが、今回もやはり業務拡大に伴って手狭感が生まれ、2022年頃には移転の構想があったという。そんな中、2023年に別フロアに空きが出たため増床を行い、最終的には2フロアの約360坪を使用していた。

「旧オフィスでは約100名弱が執務をしていました。追加で借りたフロアは、あくまで移転までのつなぎとして考えていたのでつくり込みはせず、簡易的な会議室と更衣室、さらに一部を倉庫として使用していました」(君塚氏)

三幸エステートに声がかかったのは20245月のことだった。品川支店の大沼英司は、一度訪問して状況を把握すると、物件提案の約束とともにトータルサービスの提案も行った。

「ゼロからオフィスを構築するにあたり、プロの目線でオフィス要件を検証いただけるのは非常にありがたいことでした。また、旧オフィスのリニューアル工事の際に業者さんとのやり取りで苦労した経験から、次にオフィスの構築を行うときはプロジェクト管理ができる会社にお願いしたいと考えておりましたので大変良いご提案をいただいたと思っております」(君塚氏)

基本方針の策定はワークプレイスコンサルティング室の中嶋美穂が担当。まずは現状の出社率や将来の増員計画などをヒアリング。それから会議室利用調査や現地での収納量調査、テストレイアウトなどを経て、適正面積の算出を行った。

「最終的な適正面積は300坪強となりました。出社率の低い施工部門はフリーアドレスにするという案もありましたが、アンケート調査の結果、採用しない方が良いという結論になりました」(中嶋)

「業務上、紙を扱うことが多いため、現段階でのフリーアドレス化は時期尚早であり、段階を踏む必要があると判断しました。実施の可否に関わらず、経営陣・従業員の双方に納得していただくためには根拠が重要です。調査を実施したことで、良い方向に向かうことができました」(君塚氏)

並行して、大沼は希望に見合う物件探しを進めた。

「グループ会社との連携を考え、エリアの候補は市ヶ谷周辺としました。また、従業員間のコミュニケーションの取りやすさを考慮し、可能な限り1フロアで入居できるビルを移転先の条件としました」(田頭氏)

全ての条件に合致するのは今回入居した1棟だけだった。だが、比較のため、多少条件が異なるビルも数棟内見したという。

「大沼さんにご提案いただいた物件が、まさに当社の希望通り。この物件以外には考えられませんでした」(君塚氏)

「すでに空室になっている区画でしたので、入居スケジュールの調整が重要でした。当然、貸主様の希望とコーアツ様の希望には隔たりがあります。何度も双方と調整を行い、コーアツ様にも歩み寄りいただいたことで、無事に契約を締結することができました」(大沼)

こうして、JR線・地下鉄「市ヶ谷」駅至近、約320坪の1フロア。運命ともいえる物件への入居が決定した。

従業員の意見も取り入れながら要件を固めていった

オフィス構築のフェーズから、プロジェクトメンバーに同社業務チームの深田氏が合流。三幸エステートからはプロジェクトマネジメント部の草野真が参加した。新オフィスのコンセプトは、①人も仕事も見えるオフィス、②さまざまな働くシーンに対応するフレキシブルなオフィスの2つに決定した。

「周囲の状況を把握しやすく、何かあった際に声をかけやすいオフィスであることはこれまでも重視してきました。そのため、継続事項として①のコンセプトを定めました。②については、今後の増員や新事業立ち上げに備え、柔軟に対応できる環境にしたいという想いから生まれています」(君塚氏)

「デザイン面でもイメージを掴んでおきたいという希望があったため、当社が携わったオフィス構築事例をいくつかお見せしながらすり合わせを行いました」(草野)

設計会社はプロポーザル方式で決定。その後は設計会社とより詳細なすり合わせを行い、同社が努力・信頼・実績によってこれまで積み重ねてきた「安心・安全」なイメージをオフィスで表現すべく、デザインコンセプトを「重ねる」に決定。従業員の意見を取り入れながら、週に一度の定例会で要件を詰めていった。

「全ての方の意見を聞くことは難しいので、根幹の部分はプロジェクトメンバーで方針を決め、それをベースに従業員からの意見を反映する形で進めていきました。紙を使う文化が根強いので収納量を懸念していましたが、移転に向けて溶解ボックスを導入したところ相当量の書類が廃棄され、今ではキャビネットにもかなりの余裕があります」(中井氏)

「せっかくのオフィスを綺麗に保つにはある程度シンプルにした方が良いと考え、手入れのしやすい設計にしていただきました」(君塚氏)

完成したのは、明るい木目とホワイト、そしてコーポレートカラーのグリーンを基調とした、清潔感と温かみが共存するフレキシブルなオフィス。移転は20259月に無事完了し、新オフィスでの業務が始まった。

シンプルでありながら使いやすいさまざまな仕掛けを施したオフィス

それでは順番にオフィスを紹介していこう。エントランスは、その広さに対して什器や装飾が最小限に抑えられており、整然とした印象を与える。3色のカーペットを用いた床のデザインは、デザインコンセプトの「重ねる」を表現。壁にも特段の装飾はなく一見シンプルだが、上から覗き込むとバルブや透過型表示灯など、同社の製品が展示されている。

「デザイナーさんのご提案でこのような形式にしましたが、まるで美術館の展示品のようで気に入っています。横のボタンを押すと表示灯が点灯する、というちょっとした仕掛けも施しました」(君塚氏)

先へ進むと会議室エリアに入る。応接室1室と、12名用会議室4室を設けた。会議室の仕切りは可動間仕切りとなっており、全て開放することで48名が着席できる大会議室としても使用可能だ。執務エリアは、島型にデスクを配置。今後の採用計画を見越して、増員分のスペースも確保している。エリア中央付近には1名用のテレブース2台設置することで、オンライン会議にも対応した。

応接室

応接室

大会議室

大会議室

執務エリア

執務エリア

テレブース

テレブース

「執務席は単体デスクではなく、ベンチデスクを採用しました。現時点では固定席ですが、将来的にはフリーアドレスにすることも可能です」(中井氏)

「テレブースは、どのくらい使ってもらえるのか不安な気持ちもありました。ですが、導入してみるとかなりの頻度で使用されており、必要な要素をきちんと提供することができたんだな、と感慨深くなりました」(深田氏)

このエリアには、掲示スペース3ヵ所設けられている。建設業の現場では、必須掲示物に加えて安全のための啓発ポスターやお知らせが掲示されることが多く、それに倣った形だ。

掲示スペース

掲示スペース

「あちこちに貼り出してオフィスが雑然とした印象にならないように、貼る場所を決めました。白色だと壁と一体化してしまうので、あえて木目のボードを採用しています」(君塚氏)

執務エリアの奥には、20席ほどのカフェラウンジを設けた。当初はエントランス付近に設ける案もあったというが、陽当たりが良く、落ち着いて休憩できるこのエリアに決めたという。

カフェラウンジ

カフェラウンジ

「これまではこうしたラウンジがなかったため、デザイナーさんからは『定着するには少し時間がかかるかもしれません』と言われていました。しかしいざ蓋を開けてみるとここで昼食を取る方が多く、適度に休憩を取ったり、軽い打ち合わせを行ったりする様子もよく目にします。あっという間に定着しました」(中井氏)

職種横断の連携が可能な環境が、より良い仕事を生み出していく

「旧オフィスより天井が高く、窓も多いのでたっぷり光が差し込み、開放的な気持ちで仕事ができます。等間隔で全部署を見渡すことができるようになった点も素晴らしいです」(中井氏)

「オフィスが綺麗になったことで従業員のモチベーションも上がりました。生産拠点である三田工場も綺麗ではありますが、都内にこうしたオフィスがあることはリクルートの観点からも非常に有用だと思っています」(田頭氏)

最後に、同社にとってのオフィスについて、その想いをお聞きした。

「みんながオフィスにいることで、頼りになる先輩や同僚たちとすぐに相談ができ、安心して仕事に取り組めます。成長の場所としても、こうしたオフィスがあるのはありがたいです」(深田氏)

「当社は一般の方の目に触れにくい業界のため、採用活動において、『学生さんと対面でお会いする』ことを重視しています。面接時の従業員同士のやり取りの雰囲気が良かったという声をいただくことも多く、これは普段オフィスで活発にコミュニケーションを取っているからこそだと思います」(中井氏)

「どこでも仕事ができる時代ではありますが、オフィスに出社することでオンオフを切り替えられ、仕事のリズムができるという方は多いのではないでしょうか」(君塚氏)

「営業が居て、設計が居て、施工を行う人が居る。それぞれが必要な情報を共有し、協力することが、より良い仕事につながります。コミュニケーションを取るためにもオフィスという場所は不可欠です。今回新たな事務所になったことで、今まで以上に全体と将来を見据えた仕事がしやすい環境を提供できたのではないかと感じています」(田頭氏)

株式会社コーアツ

企業全体で職場の健康づくりに取り組む株式会社コーアツ。各都道府県の健康保険組合連合会が認定する「健康優良企業『銀の認定』」を更新し続けており、オフィス整備以外の面でも従業員が心身ともにすこやかに働ける環境づくりに努めている。ソフトとハードの両面で従業員を支援しながら、人々の暮らしを火災から守る技術のさらなる進化を目指す。


この事例をダウンロード
バックナンバーを一括ダウンロード