- 元々、職場環境の変革を目的とした活動を全国で展開していた
- 「働き方変革」の一環としてオフィス移転を具現化させる
- 移転先を決定後、施策アイディアをグルーピングし、分科会を組成する
- 社員からの意見や要望を理想のシーンとしてイラストで表現する
- 明らかにワーカーの働き方そのものが大きく変わった
- 移転がもたらした具体的かつ定量的な効果
- 永遠に進化を続けるスパイラルアップフェーズ
元々、職場環境の変革を目的とした活動を全国で展開していた
コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社は、ビジネスシーンに欠かすことのできないデジタル複合機やプリンタ、FAXなどのオフィス関連製品を扱う国内販売会社の最大手である。近年は、機器販売という範疇に収まることなく、オフィスデザイン、ICT、ドキュメントマネジメントといったオフィス・ソリューション事業に注力。「Work Style Design Company」というビジョンのもと、情報機器や関連ソリューションを提供。快適なオフィス環境の実現をサポートしている。
「元々当社は、以前から風土変革を目的とした小集団活動『維新の会』を全国で展開していました。職場内で改善すべき問題をピックアップし、自らの手で解決し風土そのものを変えていく取り組みを実施。その成果を全国大会で発表・共有しながら水平展開をしてきたのです」(宮本 晃氏)
ところが抜本的な改革を行うには「維新の会」に許された予算の都合上、難しい局面もあった。例えば、オフィスレイアウトに起因する諸問題。環境自体を変えるには経営戦略の面からのアプローチが必要であった。目の前の課題になかなか手を付けられないもどかしさがあったという。それでは旧本社ビルでのオフィス環境を振り返ってみよう。
「働き方変革」の一環としてオフィス移転を具現化させる
旧本社ビルはビジネス街の一等地である日本橋に立地していた。ワンフロア面積200坪×11フロア。そのため部門ごとにフロアが分かれており、部門間を超えたコミュニケーションが取りにくかった。
「ワーカーの行動範囲が狭まる傾向にあり、同じ会社にいながら他部門の業務が全く見えていない状況に。コミュニケーションロスが問題視されていました」(藍 隆幸氏)
さらに同じようなコミュニティスペースが存在するという問題もあった。例えば、自動販売機を設置したオープンスペースや会議室、複合機ゾーンなど、同じ空間が11フロア全てに存在。スペース効率が非常に悪かったという。
「それらの『課題』を解決し、『働き方』そのものを変革していこうという機運が高まっていました」(土志田 宏人氏)
当時の経営課題を下記にまとめてみた。
経営課題
- コミュニケーションロスの削減 ? 的確な意思疎通のできる環境づくり
- コスト削減 ? 時間・労力・設備・空間などの見直し
- 働き方の改革(生産性向上) ? 効率性の高いオフィスづくり
そうして「働き方の変革」の一つの手段として、オフィス移転の話が具体化。正式なプロジェクトの発足に先立ち、まずは移転先探しからスタートした。
東京駅近くのオフィスビルに入居しているコニカミノルタ本社との連携、全国の支店支社との行き来を考慮し、新幹線や羽田空港を含めた交通アクセスが利便であること。それに加えて、分割フロアの統合を考えて、いわゆる「メガプレート」のオフィスを探し求めた。2014年1月のことである。
移転先を決定後、施策アイディアをグルーピングし、分科会を組成する
いくつもの候補ビルを見て回った。その中で条件を満足させ、なおかつ現在、大規模な再開発が進んでいる浜松町エリアに注目した。そして当地が「都心サウスエリア」のランドマークとして今後、広く認知されるであろうと予測。候補ビルは築年数も経っていたが、リニューアルによる耐震補強を実施しており安全性も問題はない。コスト面の評価もあり、入居先を決定した。決定したビルはJR浜松町駅から徒歩5分の距離にあり、ワンフロア面積は816坪。移転前の11フロアから移転後は3フロアに集約できる。
「旧オフィスの使用面積が2,214坪だったのに対して、新オフィスは1,828坪。集約によるスペースの効率化により、面積の大幅な削減にも成功しています」(宮本氏)
移転先が決まり、施策を具体化させるフェーズが2014年4月から開始した。そのため営業、業務統括、総務人事などといった全ての部門からメンバーを集結させ、施策アイディアを具体的に推進させるための分科会を組成する。
移転プロジェクト名は新住所である芝浦1-1-1にかけ、「111(トリプルワン)プロジェクト」と命名された。
「そこには『お客さま満足度No.1』『従業員満足度No.1』『みんながNo.1』など社員の思いも込められています」(藍氏)
組成した分科会では、オフィスデザインの検討に入る。
「まず全国の社員から現状のオフィスに関する意見を収集。その総数は実に405件。それらの意見や要望を一つひとつ精査し354件に。最終的には25項目に分類しました。それを7つの戦略課題と紐づけていったのです。経営層に提出する前に、意見を発案した方々にインタビューを実施した。その思いをプロジェクトメンバーがしっかり受けとったうえで、オフィスの将来像をイメージ付けしていったのです」(宮本氏)
