大倉工業株式会社・株式会社KSオークラ

大倉工業株式会社・株式会社KSオークラ

2025年11月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

「縮小」から「拡張」へ方針転換し
人・情報・知識をつなぐ新オフィスを構築

包装用や光学用のフィルム、建築資材などの製造・販売を行う大手加工メーカーの大倉工業株式会社。2025年9月、グループ会社である株式会社KSオークラとともに、東京支店の移転を実施した。当初は面積縮小を検討していたが、世の中の潮流を捉え、拡張移転に踏み切った。今回は移転の契機やその背景、構築したオフィスの詳細について紹介する。なお、本案件は三幸エステートが提供する「オフィス総合コンサルティングサービス」を活用したオフィス移転事例となる。

大倉工業株式会社
和氣 宅哉 氏

合成樹脂事業部 東京支店
支店長
和氣 宅哉 氏

坂上 健一 氏

合成樹脂事業部 東京支店
業務課
課長
坂上 健一 氏

小野 速 氏

合成樹脂事業部 東京支店
ライフスタイルチーム
課長代理(リーダー)
小野 速 氏

坪井 悠祐 氏

合成樹脂事業部 東京支店
プロセスマテリアルチーム
主任
坪井 悠祐 氏

中島 悦子 氏

合成樹脂事業部 東京支店
業務課
課長代理
中島 悦子 氏

矢島 美菜 氏

合成樹脂事業部 東京支店
業務課
主任
矢島 美菜 氏

株式会社KSオークラ
芥 禎男 氏

営業部 東京本店営業課
課長
芥 禎男 氏

長渡 崇臣 氏

営業部 東京本店営業課
主任
長渡 崇臣 氏

三幸エステート株式会社
黒川 真也

新宿支店
黒川 真也

中嶋 美穂

ワークプレイスコンサルティング室
中嶋 美穂

草野 真

プロジェクトマネジメント部
草野 真

Contents
  1. 合成樹脂フィルム事業と建材事業、新規材料事業を中心に人々の快適な暮らしの実現に貢献
  2. コロナ禍でのテレワークの導入が働き方を見直す契機になった
  3. 「縮小」から「拡張」へ。3年の歳月を経て理想的な物件にたどり着いた
  4. さまざまな要望を集約し、オフィスコンセプトは「人・情報・知識が集まる東京支店へ」
  5. 「アクセス」と「業務効率」の劇的な向上を実現した
  6. コミュニケーションをさらに改善し、一人ひとりに最適な働き方へ

エントランスのサウンドパネル

エントランスのサウンドパネル

合成樹脂フィルム事業と建材事業、新規材料事業を中心に
人々の快適な暮らしの実現に貢献

大倉工業株式会社は1947年に香川県で創業。住宅事業からスタートしたが、1956年からはポリエチレンフィルムの加工事業を主軸に展開し、現在では食品包装用のフィルムをはじめ、スマートフォンやテレビに使用される光学フィルム、自動車・医療部材向けのウレタンエラストマーフィルムなどを製造。また、廃棄木材をリサイクルしたパーティクルボード(加工ボード、加工合板)や、住宅・家具向けの建材なども製造販売し、人々の快適な暮らしの実現に貢献してきた。2025年現在、香川県の丸亀市に本社とR&Dセンター、各種工場を置き、東京、大阪に支店、本社敷地内に営業所を展開している。

一方、株式会社KSオークラは、大倉工業グループの経営理念や社訓、根幹となる創業精神など普遍的な価値観をベースにしながら、分社化によって誕生した。本社所在地は滋賀県東近江市で、合成樹脂製品の製造販売が主な事業内容だ。

コロナ禍でのテレワークの導入が働き方を見直す契機になった

両社とも2010年から東池袋のオフィスビルに東京支店を構えてきたものの、立地については課題を感じていたという。

「最寄り駅から徒歩圏内ではありましたが若干の距離があり、営業担当者の移動効率が課題でした」(和氣氏)

「上層部からは、『池袋は若者の街というイメージが定着しており、当社のビジネスに適さないのではないか』という声も上がっていました」(坂上氏)

本格的な移転検討の契機となったのはコロナ禍だった。社会全体でテレワークが急速に広がり、同社でも働き方の見直しが議論されるようになっていた。

「出社率が100%から半分以下となり、働く環境は大きく変化していました。そこで面積縮小の検討を始めることになったのです」(和氣氏)

ちょうどその頃、KSオークラも移転へ向けて動き始めていた。

KSオークラでは三幸エステートの黒川さんに物件紹介を依頼していました。対応が丁寧で、誠実な人柄だと評価が高かったこともあり、大倉工業も移転計画に加わらせていただいたのです」(和氣氏)

「縮小」から「拡張」へ。3年の歳月を経て理想的な物件にたどり着いた

そうして、神田や秋葉原エリアを中心に、旧オフィスよりも縮小した面積で移転先探しをスタート。しかし、コロナ禍の実質的な収束に合わせて、社会は再び大きく変わり始めた。

「黒川さんからも、『多くの企業がテレワークから出社の方針に変わりつつあります』とお聞きし、オフィスの存在意義を改めて考え直すきっかけになりました」(和氣氏)

そこから方針を見直し、縮小ではなく拡張移転へと切り替えた。現状分析をもとに適正面積を策定したのは、三幸エステート ワークプレイスコンサルティング室の中嶋美穂だ。

「収納量、必要な設備、働き方などについて詳細なヒアリングを行い、テストレイアウトを作成しました。加えて通勤やコストのシミュレーションも行うことで、より満足いただける移転につながるよう意識しました」(中嶋)

実に、物件探しから約3年、比較検討した物件は30棟以上にも及んだ。

「黒川さんは何度も足を運んでくださり、物件を案内していただきました」(坂上氏)

最終的に決定したのは、麹町に建設中の新築オフィスビルだった。

「埼玉県所沢市にある社宅とのアクセスも考慮しました。大倉工業グループと街のイメージとの親和性も感じ、自信を持って提案しました」(黒川)

「別の物件で契約を検討していた中でのご提案でした。代表と一緒に見学したのですが、耐震強度が非常に優れている点が決め手となりました。東京メトロ「麹町」駅から至近という立地も当社の課題を払拭してくれます。このビルでしたら、オフィスを価値創造の拠点へ転換できると確信しました」(和氣氏)

さまざまな要望を集約し、オフィスコンセプトは
「人・情報・知識が集まる東京支店へ」

移転先が決定し、オフィスづくりのフェーズへ進む。若手従業員を含めたプロジェクトチームが結成され、三幸エステート プロジェクトマネジメント部の草野真とともに定例会を実施。必要に応じて業務課のメンバーも参加し、実務に沿ったさまざまな声をまとめていった。

「部署を超えてコミュニケーションを活性化させるという目的のため、些細なことでも書き出し、優先順位を整理していきました」(小野氏)

新オフィスのコンセプトは「人・情報・知識が集まる東京支店へ」と決定した。

「麹町という新たな場所に移転することで、さまざまな人や情報が集まります。それを知識として会社の利益につなげていこう、という想いを込めています」(和氣氏)

人と人との交流を促進するために、一部の課を除いて新たにフリーアドレスを導入することとなった。内装会社の選定では3社によるコンペを実施。提案内容だけではなく各社のオフィス見学も行ったうえで1社を選定した。

「最終的に決定した内装会社さんのオフィスは、働き方に応じた多彩なスペースが揃っており、システム・什器・予約機能なども先進的でした。当社業務との相性が最も良いと思ったのです」(小野氏)

「小野様と坪井様には週1回の定例会以外にもさまざまな打ち合わせにご参加いただきました。関係者が実際に集まって何度も議論を重ねたことが、プロジェクト成功の大きな要因です」(草野)

「アクセス」と「業務効率」の劇的な向上を実現した

それでは完成した新しいオフィスを紹介しよう。1フロア約207坪、2社合わせて60名程の従業員が出社している。

エントランス正面には、重厚感あるサウンドパネルに大倉工業とKSオークラのコーポレートロゴが掲げられ、BGMとともに上品な存在感を放っている。左側のスペースには社長直筆の「志」の書とともに、香川県産の檜で作られたベンチが設けられており、洗練されていながらどこかぬくもりを感じさせるデザインとなっている。奥へ続く右側通路の壁には会社のヒストリーパネルを設置した。

「志」の書と香川県産檜のベンチ

「志」の書と香川県産檜のベンチ

「受付のサウンドパネルは大切なお客様とのコラボ製品です。当社のフィルムへお客様が印刷加工したものを採用しています」(坪井氏)

会議室4人用から16人用まで、広さの異なる6室を設けた。オンラインミーティングでの使用も想定し、全ての部屋にモニター、カメラ、マイクを完備。部屋の入口には予約システムと連動したタブレット端末が設置され、その場で空き状況の確認や予約の追加・キャンセルが可能だ。

会議室

会議室

「会議室の前の端末で予約状況を確認できるので、急な打ち合わせの際にも空いていればすぐに利用が可能です。KSオークラにとっても、場所が近くなりましたので非常に便利です」(坂上氏)

執務エリアは両社ともフリーアドレス固定席のハイブリッド型を採用。フリーアドレスは、最初こそ戸惑いの声が上がったが、今ではすっかり定着しているという。

執務エリア(フリーアドレス)

執務エリア(フリーアドレス)

 執務エリア(固定席)

執務エリア(固定席)

「フリーアドレスを導入したことで、他部署のメンバーであっても積極的な会話が生まれているようです」(和氣氏)

「フリーアドレスでの働き方を考慮して個人ロッカーを設置し、個人宛ての書類などはそこへ投函するルールに変更しました」(矢島氏)

また、ABWActivity Based Working)を推進するため、一般的な執務デスクのほか、窓際のカウンター席、カジュアルな打ち合わせもできるファミレス席と音が漏れにくいボックス席、集中しやすい個人ブース、オンライン会議が可能なテレブースまで、多様な働く場を揃えた。旧オフィスと違ってインターネット回線を無線にしたため、ノートPCを自由に持ち歩き、どこでも業務ができる。業務効率は劇的に高まった。

窓際のカウンター席

窓際のカウンター席

ファミレス席

ファミレス席

ボックス席

ボックス席

個人ブース

個人ブース

「旧オフィスでは場所がないという問題が頻繁に発生していましたが、移転後はスムーズに業務を進めています」(小野氏)

「ファミレス席は入社12年目の若手とその上司が軽い打ち合わせで頻繁に利用しています。お昼休みにはランチで利用するなど、想像していなかった良い場面が早々に生まれていて嬉しいです」(坪井氏)

コミュニケーションをさらに改善し、一人ひとりに最適な働き方へ

今回の移転では当初の目的だった「面積縮小」から「拡張」へと舵を切り、従業員がより働きやすい環境の構築に成功した。代表や支店長をはじめ、プロジェクトに携わった人々が社会の流れを敏感に察知し、より良い働き方を追求した結果と言える。

「関わった業者の皆様からも、プロの目線でさまざまなアドバイスをいただきました。特に三幸エステートさんには、いろいろと無理をお願いしましたが、迅速に対応いただきました」(和氣氏)

最後に、あらためて新オフィスについての感想を伺った。

「東京支店としてオフィスを持つことはとても大事だと感じています。社内コミュニケーションの場としてはもちろん、来客を迎える会社の顔としても大切な場所です」(坪井氏)

「今回、より良いオフィスを構築できたことは、上場企業として大きなプラスになっています。将来的な人員計画を見据え、増員にも対応できる環境を整備できました」(小野氏)

「扱う製品や取引先の特性上、顔を合わせて業務を行うことが当社にとっては理想的だと考えています。利便性の高いエリアにオフィスを移転できたことで、今後の相乗効果が楽しみです」(坂上氏)

「アクセスの改善によって商談の機会は大幅に増えました。『人が集まる場所』としてのオフィスは、営業活動においても非常に大きな意味を持ちます。これが本来のオフィスの価値なのかもしれませんね」(長渡氏)

「在宅勤務は介護や育児中の人にとって大きな拠り所となりますが、一方で、コミュニケーションへの不安を抱えやすいことも事実です。『会ったことがない』が起きないように、出社バランスも考えていきたいと思います」(中島氏)

「コロナ禍で、在宅勤務での業務が実現できてしまった以上、必ずしも大きなオフィスが必要というわけではないのかもしれません。それでも、人が集まりコミュニケーションを取れる場所は絶対に必要だと考えています」(芥氏)

「コロナ過に導入した在宅勤務は一旦解除しましたが、業務に支障がないのであれば継続しても良いかと思っています。その場合、懸念点はコミュニケーションの維持です。働き方の最適化とコミュニケーションの活性化。いかにしてこのバランスを保つかが、今後の議論になると思います」(和氣氏)

大倉工業株式会社

1947年の創業当初、戦後まもない状況下で「部下とその家族の生活を守りたい」「戦災で家を失った人々に必要な住宅を提供したい」という想いから住宅事業をスタートした大倉工業株式会社。「従業員を守り、社会に役立つ」という精神は今も同社の経営理念として受け継がれている。


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