先進オフィス事例

~オフィスを経営の力に~

PwC Japan グループ 前編

2018年4月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

世界最大級のコンサルティングファームが構築した
従業員ファーストの先進オフィス

過去、「先進オフィス事例」では、2009年のオフィス統合移転、2016年の拠点開設とPwC Japanグループが実施した移転プロジェクトを取り上げてきた。同社はその後もいくつものオフィス戦略プロジェクトを遂行させている。2018年1月、中長期プロジェクトの区切りとなる大阪オフィスが完成した。オフィス戦略がひと段落したこともあり、今回の取材では「PwC Japanグループのオフィスプロジェクト」として記事をまとめた。

 

杉山 優子氏

PwCあらた有限責任監査法人
総務部ディレクター

杉山 優子 氏

杉山 優子氏

ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド アソシエイト

加藤 公 氏

杉山 優子氏

ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド インテリアプランナー アソシエイト

黒川 梨江 氏

小澤 清彦氏

ドウマ株式会社
代表取締役

小澤 清彦 氏

小澤 清彦氏

ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド LEED AP アソシエイト

中村 美穂 氏

小澤 清彦氏

ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド 一級建築士、LEED AP ID+C、シニアアソシエイト、デザインディレクター
松下 千恵 氏

 
 
 
 
 

エントランス

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Contents

  1. この10年、働き方と空間づくりを進化させながら歩んできた
  2. 今回の中長期的なオフィスプロジェクトは名古屋オフィスから始まった
  3. 「よりお客様と近い距離」を意識して大規模オフィス移転を決めた
  4. イノベーションの創出を目的にエクスペリエンスセンターがつくられた
  5. 大阪オフィスでは監査法人として初めての試みを行った
  6. 働き方改革は質を高めながら継続する。過去の経験が良質なスペースを誕生させる

この10年、働き方と空間づくりを進化させながら歩んできた

PwC Japanグループは、ここ数年の間に名古屋オフィスのリニューアル、大手町への新オフィス移転とエクスペリエンスセンター新設、大阪オフィスの統合移転を完了させた。それらの中長期的なオフィスプロジェクトを紹介する前に、過去の移転事例を再度見直し、グループの考えを明確にしておく。

2009年、PwCの日本におけるメンバーファームや関連会社(現PwCあらた有限責任監査法人、PwCアドバイザリー合同会社、PwCコンサルティング合同会社を含む)が、6ヵ所に分散していたオフィスを中央区汐留の大規模ビルに統合する。

当時のオフィスコンセプトはワン・インテグレット・ファーム(一つに統合された組織)だった。

「複数の法人を1ヵ所に集めてシナジー効果を生み出すのが目的です。かなり高いハードルの中で計画は進められました」(杉山優子氏)

プロジェクト開始から入居までの期間はわずか半年。各法人と意見調整を重ね、専門家に協力を依頼した。そうして出来上がったオフィスのキーワードは「集まる・つながる・広がる」。コンセプトは「バーチャルキャンパス」とした。

「大学のキャンパスは大教室や小教室、ゼミ室など、目的に合わせて多様なスペースを用意しています。学生たちがそれらの目的に合わせて使い分けているのと同じように、オフィスでも適用できないかと。当時採用したオフィス家具はすべてキャスターを付けて、容易に移動できるようにしました。空間を自由に変えられるように壁も可動式に。働き方の変革を意識した最初のオフィスでした」(杉山氏)

その後、景気回復による業績の成長とそれに伴う人材の採用によって汐留オフィスが手狭に。そこで丸の内の新築大規模ビルに戦略から実行までのコンサルティングを専門とする前線基地を新設した。2016年3月のことである。

「丸の内という立地を選んだのは交通アクセスの改善を考えてのことです。さらにオフィス内における時間効率も考えて1フロアの環境にこだわりました」(杉山氏)

この数年間で、ビジネスに使用される各種デバイスが大きく変化している。オフィスに新しいテクノロジーを導入することは、多くの企業で日常的に行われていることだ。しかし、いかにビジネス環境を改善したとしても、社員がそれらを自発的に使いこなせなければ何の意味もない。同社の社員は効率的にIT環境を活用し、顧客への有用な提案に結びつけているという。

「当時、皆さんの働き方を調査させていただいたのですが、クライアントと向き合うための時間が50%増加し、社内の事務作業に費やす時間は50%減少していました。もともと進んでいる企業だとは思っていましたが、明らかに進化のスピードが加速しています。それこそがPwCカルチャーといえるでしょう」(小澤清彦氏)

丸の内オフィスでは、ITに精通したスタッフがサポートを行う「コンシュルジュデスク」を導入したのも特長の一つだった。

「PwC Japanグループのオフィスづくりに携わって10年以上になるのですが、プロジェクトごとにビジネス環境が進化していて。私たちはより進化した空間を提供していくのですが、いつの間にかお客様はその環境を当たり前のように使いこなしている。次のステップではさらに進化したオフィスを提案する。そのサイクルがずっと続いているような気がします」(松下千恵氏)

同社では、人事制度や評価制度など色々なものを組み合わせながら、新しいオフィス環境を用意してきた。この10年にわたるオフィスづくりの経験があったからこそ、今回のような中長期的なオフィスプロジェクトを遂行できたといえる。

それでは各プロジェクトについて順を追って説明していこう。なお今回の移転プロジェクトも前回同様に、PwCあらた有限責任監査法人 総務部ディレクター 杉山優子氏を中心に、ドウマ株式会社小澤清彦氏がコンサルティングを担当。ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッドがデザイン全体を担当した。

今回の中長期的なオフィスプロジェクトは名古屋オフィスから始まった

名古屋オフィスが、今回のオフィスプロジェクトのスタート地点になる。面積は350坪。移転ではなくオフィスのリニューアルプロジェクトだった。

「名古屋オフィスは、JR名古屋駅上に立地するシンボルビル内にあるにもかかわらず、グローバルブランドとは異なる印象を持つオフィスでした。そこで東京のオフィスみたいにリニューアルをしよう。それによって監査法人としての働き方を名古屋から変えよう。そんな声がかかりスタートしました」(杉山氏)

「名古屋のプロジェクトを進行している途中で、大手町の移転プロジェクトが正式に決定しました。そこで今後のグループ全体のオフィス戦略を考えるうえで、名古屋オフィスを『ステップ1』とすることにしたのです」(加藤 公氏)

2015年9月に第一回目の報告会が行われた。ヒアリング後の初めての報告会である。

「我々が打ち合わせに入る前に、名古屋オフィス内ですでにプロジェクトチームが立ち上がっていました。プロジェクトコンセプトが提示されたのですが、その内容が杉山さんと僕らとで作成したものと親和性が高くて。それもプロジェクトがスムーズに進んだ要因の一つですね」(小澤氏)

そして何度かの意見調整を行う。最終的にオフィスコンセプトを「Be Proud of PwC」とした。

「私たちのオフィスづくりのパターンの一つに一度実体以上のものをつくる。それをバネにさらに大きなプロジェクトに反映させる、というやり方があります。例をあげると2007年に構築した東京オフィス。あそこでの考えを一つ前の大阪オフィスで実験的につくっていて。それが経営層の評判を得て、大手町オフィスという大舞台で実践したのです。そのやり方は大きな失敗を防ぐためのリスク対策にもなっています」(杉山氏)

「僕らは東京に負けないオフィスをつくろうとは一言も発しませんでした。ただ快適なオフィスを名古屋で構築したいと話しただけ。そんな会話を続けていくうちに同じベクトルを向くようになり、気がついたら最高のオフィスができていたのです。このオフィスが今後、どこかの拠点のオフィスに影響を与えると思うととても楽しみですね」(小澤氏)

プロジェクトメンバーを選定するときに、保守的な人と革新的な人をバランスよく揃えるようにしているという。結果も大事だが、どのようにまとめていくかといったプロセスが重要と考えているからだ。人選を考えながら10名のプロジェクトチームを構成した。

保守的、革新的、その中間と、デザイン案を提案。一番革新的な案が採用された。

「ビル自体が特殊な形状で、その特性を活かして机を配置した案です」(加藤氏)

名古屋オフィスの一番の特長は、大人数で定期的に行っている会議の場所を確保するために可動式の間仕切りをパズルのように組み合わせたところだ。PwCのロゴマークにある四角形の重なりをブランディングとして意識した。まさにデザイン・ブランディング・目的が一つになった設計といえる。

「湾曲しているビルの形状を活かした素晴らしいデザインになっていると思います。もちろんデザインだけでなく可動式の間仕切りを有効に活用して。満足度の低かったエリアの機能改善も行えました」(杉山氏)

「『ブランディングを活かしたデザイン』という考え方は、東京の丸の内オフィスから本格的にスタートしています。ブランディングというのは社内と社外に訴求できる大切な要素になりますね」(松下氏)

「カッコいいオフィスの設計はある程度経験を積んだ会社でしたらできると思います。ただそこに私たちのブランドとか、働き方とか、歴史とかも設計の要素として加える。そこがなかなかできない部分だと思っています」(杉山氏)

「もちろんオフィスはデザインありきではありません。重要なのは働きやすさです。いつも設計に入る前には、時間をかけてヒアリングを行い色々な角度から情報を得る作業から行っています」(黒川 梨江氏)

「今回のプロジェクトは移転ではなくリニューアルです。居ながらの工事のため、オフィスを3ブロックに分けて移動しながら行いました。パントリーやレセプションの位置が3週間ごとに変わっていましたね。名古屋は専門ごとに仕事をするエリアが決まっていたのですが、工事中はどこでも座っていいことにしました。今思えばそれが名古屋オフィスを運営する上でいい準備期間になったのだと思います」(加藤氏)

そうして2016年6月に完成。名古屋オフィスは第30回日経ニューオフィス賞 中部ニューオフィス推進賞を受賞した。

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