株式会社カルテットコミュニケーションズ

株式会社カルテットコミュニケーションズ

2018年5月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

経営理念である「効率化」を追求しながら
オフィスの拡張移転を成功させた

リスティング広告の運用に特化したビジネス展開を行っている株式会社カルテットコミュニケーションズ。2011年8月の創業以来、顧客目線の広告運営で業務を拡張している。2018年3月、人員増によるオフィスの手狭という課題を解決するために名古屋市伏見から丸の内に拡張移転を実施。「効率化」をコンセプトとしたオフィスを構築した。今回は同社の新オフィスで新たに採用した特長的な機能を中心にお話をお聞きした。

*リスティング広告:ユーザーが検索したキーワードに応じて検索結果画面に表示される広告のこと

堤 大輔 氏

株式会社カルテットコミュニケーションズ
代表取締役

堤 大輔 氏

エントランス

エントランス

Contents

  1. 最短でお客様の喜びにつなげるためにあえてリスティング広告だけに特化させた
  2. 自宅、間借り。それから法人化を機にビジネス街にオフィスを借りる
  3. どこよりも早い空室情報を提案いただき希望条件通りの拡張移転ができた
  4. オフィスの課題を突き詰めていくと「効率化」というコンセプトに行きついた
  5. 使いやすいコミュニティスペースを考えた結果がアウトドア用品の採用となった
  6. オフィスは常に進化するもの。それに合わせて働き方も変えていく

最短でお客様の喜びにつなげるためにあえてリスティング広告だけに特化させた

中小企業の広告戦略を意識したWeb広告サービスを提供している株式会社カルテットコミュニケーションズ。多くのネット系広告代理店がリスティング広告をメニューの一つとして捉えているのに対し、同社はあえてリスティング広告に特化したスタイルを貫いている。その姿勢は代表である堤氏が前職で経験した想いからだという。

「独立前は広告代理店に勤務し、Web広告のコンサルティングを行っていました。内容によっては無理にWeb広告にこだわらないほうが効果を出せる場合もあります。しかし自社の限られたサービスメニューだけでは、最良の結果を出せないこともありました。それがお客様に対して心苦しく感じることがあったのです」

独立後は、集客や費用対効果に困っているお客様に最適な方法を提案していた。まだ法人化する前のことだった。

「当初は思い通りに進んでいました。しかし次第に社員が増えてくると日々進化しているWebに対する知識やスキル不足が不安材料になります。それで一番の武器だけに特化すべきと決断しました。僕らにとってそれがリスティング広告だったのです。メニューを絞ったことで多くの広告代理店ではできない広告効果を生み出すことができました」

「当社のお客様のほとんどが中小企業からの依頼となります。僕らは毎月決められた予算をお預かりして結果を出すことが求められています。ですから予算の無駄遣いや効果不明と思われるキーワードの追加などを一切行っていません。それはお客様にとっても当社にとっても効率的な運営といえます。僕らの会社は専門飲食店のようなものです。低予算、低人数でたくさんのお客様の要望にお応えするには、質の高い単品で勝負しなければなりません。色々なメニューを望む方はファミリーレストランの方が向いていると思いますし、合ったお店を選んでいただければと思っています」

自宅、間借り。それから法人化を機にビジネス街にオフィスを借りる

創業は2011年8月。わずか2名で立ち上げた。

「当時のオフィスはもう一人のメンバーの自宅でした。そのあと社員が4名になり、知り合いの司法書士の事務所に間借りしたんです。まだ法人化する前のことでした。そうしているうちに法人化をして社員も15名に増えました。そこで初めてオフィスを借りたんです。2014年のことですね。場所は名古屋市のビジネス街の一つである伏見駅の近くでした」

広さは90坪。入居当時は2室の応接・会議室もきちんと整備されていた。

「最初は50坪で探していました。想定していた賃料の目安は毎月50万円。坪単価1万円くらいですね。ところが探しているうちに想定していたよりもずいぶんと安い金額で入居できるビルが見つかりまして。特段、設備が古いわけではありませんでしたが坪単価はなんと6,000円。それならばと思い切って広い面積を借りたのです」

入居して4年、社員数も50人にまで増えた。会議室も打合せルームも不足しており、業務に支障が出始めていた。それで次のオフィス移転を検討し始めたのです。条件は、交通アクセスが良いエリアであること、適正な賃料条件であること、今後の採用計画も考えて150坪以上の面積であること、加えて1フロアに収まることだった。

どこよりも早い空室情報を提案いただき希望条件通りの拡張移転ができた

「もともと岐阜や三重といった県外エリアとのアクセスを考えて、名古屋駅からの利便性も重視しています。採用目的のために名古屋駅前にオフィスを構える企業も多いと思いますが、僕らの業種はそこまでの人気エリアである必要はありません。そこで各種条件を総合的に考えた結果、伏見エリアを第一希望としたのです」

気になっていたビルはあったが、条件の問題で契約を締結するまでには至らなかった。そんなとき、オフィス移転の専門家である三幸エステートを紹介されたという。担当の営業が推奨するビルは、フロアこそ違うが以前提案されたことがあるオフィスビルだった。11階の1フロアを使用していたテナントが内部縮小することになりフロアの半分が空室になるという。まだ空室情報が一般に公開される前。どこよりも早い情報だった。

「営業の方に以前提案を受けていることを理由にお断わりをしたのですが、『絶対に気に入りますから』と自信のある回答が返ってくる。そこで見るだけならばと出かけたんです。実際に11階に上がってみると周りを遮る建物が無く見晴らしがいい。フロアをまたがることなく希望通りの面積を確保できる。最寄駅は丸の内駅ではあるが、希望していた伏見駅までは歩ける距離でもある。そんなことでさほど時間をかけることもなく契約に向けて話が進みました。オフィスはきちんと見ないとわからないものですね。三幸エステートさんには、ここのオフィスに連れてきていただいて本当に感謝しています。他にもオフィス仲介の会社は来ていましたが、ここまで自信をもってご提案をいただける会社は無かったですね」

同社の使命は、常にお客様の喜びや笑顔を考えて提案すること。三幸エステートの行動も同じように感じたという。

オフィスの課題を突き詰めていくと「効率化」というコンセプトに行きついた

契約の締結は2017年12月。年明けすぐに内装デザイン会社を決めるコンペを実施、1月中旬にデザイン会社を確定させた。今回内装デザインを担当する会社は、同社にとって初めてタッグを組む会社であった。コンペで大体のデザイン案はできていたので、そこに細かい修正を加えながら工事を進める。とはいえ入居予定日まで1ヵ月半しかない。そこで納期まで時間のかかる調達品とすぐに届くものを調整しながらスケジュールを立てていった。

オフィスコンセプトは「効率化」。同社の経営ビジョンは「世界一効率的な代理店になる」ということもあり、「効率」というのは普段から意識している言葉だという。旧オフィスのスペース不足から生じる問題点に、効率化というエッセンスを加えてオフィスが構築された。

「会議室不足という課題に対応して会議室を4室、大会議室を1室設けました。当初の設計では、執務室の窓際に回廊をつくり会議室を散りばめていたのですが、それでは空いている部屋の確認に時間を要することになります。そこで1ヵ所に集中させることにしました。それによって執務スペースからの移動も、来客者対応も容易になります。いつしか会議自体も効率的に行われるようになりました」

新オフィスではセミナールームも新設した。

「セミナールームも会議室エリア内に組み入れました。外部の貸会議室を使った場合、会議に関わる人員の作業が発生します。その人件費を費用換算するととても高いコストとなります。今後は執務室内で行われるので、予約状況の確認も手軽になりました。今では、気軽にエンジニア向けのセミナーも開催していますし、採用面接を行った際にそのままオフィスで働いている姿を見ていただけるので採用までのプロセスも効率的になりました」

その他、スタンディングのミーティングスペースを2台用意した。本来の目的はミーティングではあるが、社員同士が気ままに集まれる場所となっている。

執務室

執務室

会議室通路

会議室通路

大会議室

大会議室

セミナールーム

セミナールーム

使いやすいコミュニティスペースを考えた結果がアウトドア用品の採用となった

同社の場合、営業チームと広告運用チーム、エンジニアチーム、管理チームで構成されている。その人員の割合は広告運用チームが一番多い。それは、いくら新規顧客を獲得してきても運用効率が悪ければ、お客様に対して満足な結果を提供できなくなってしまうからだ。今後も運用チームを中心に採用計画が立てられることが決定している。

「そういった僕らの業務ポリシーを考えるとフリーアドレスは合わないかなと。当社はもともと残業が少ない会社なのですが、それはチーム内で業務を振り分けているから。そのやり方は今後も変えるつもりはありませんので、チームごとにまとまっているワークスタイルが合っていると判断しました」

執務エリアの横に広く設けられているのが、新オフィスの最大の特長であるコミュニティスペースとなる。

「旧オフィスでは休憩スペースもランチを食べるスペースもありませんでした。各自自席でお弁当を食べていたため満足にコミュニケーションもとれない。部署関係なく集まれるコミュニティスペースが欲しかったのです」

どのようなコミュニティスペースがいいのか、デザイン会社含めて意見交換が行われた。カフェ風がいいのか、フリースペースとして設けるのがいいのか。

「そんなとき、子供のころよくキャンプ場で遊んでいたことを思い出しました。そこでは毎回知らない人たちと交流をしていました。キャンプにはそんな魅力があったのです」

ふとそんなことを思っているときに、キャンプ用品のSnow Peak社が愛知県岡崎市にあるハーティスシステムアンドコンサルティング社と会社をつくってアウトドアとビジネスを連携させた事業を展開していることを耳にする。ハーティスシステムアンドコンサルティング社とは元々お付き合いもあり話を聞いてみると、他のオフィスにはないワクワク感を感じ、すぐさまプロジェクトに参加してもらい、自社のオフィスに合った製品の提案を依頼した。

コミュニティスペースの新設は、社内の非喫煙者にも自由に休憩を取らせてあげたかったことも理由の一つだと語る。

「なぜか非喫煙者が気分転換に立ち話やスマホを操作しているとサボっているとみられがちです。ですから非喫煙者が堂々と休憩をとるためのスペースをつくってあげたかったのです。その課題もここにスペースをつくることで解決しました」

このコミュニティスペースは文字通り「キャンプ」と名付けられた。床には人工芝を敷き、中央にはラウンジシェル(6人用テント)、その奥にはアウトドアのテーブルとチェアが並べられている。

「ここは、ランチをして、寝転んで、スマホをいじる場所。完全な休憩スペースと定めました。したがって仕事の電話がかかってきてもよほど急ぎの要件でなければ取り次ぐことはありません。そんな働き方のルールに変えたんです。キャンプでランチをすることは社員同士のコミュニケーションにプラスの影響を与えます。例えば、元気のない社員がいれば、その場で相談にのることができます。もちろんそんなことで悩みを抱えた社員の問題自体が解決するわけではありません。しかしそんな些細なことからコミュニケーションが深まると信じています」

今後、歓迎会や社内イベントはキャンプを大いに活用したいと語る。

「大勢が入れるお店を探すのも大変ですし、急な仕事が入ってしまった社員でも部分的に参加することができます。お店を探す手間、移動する手間を考えると時間効率の向上に繋がります」

スタンディングデスク

スタンディングデスク

キャンプ1

キャンプ1

キャンプ2

キャンプ2

オフィスは常に進化するもの。それに合わせて働き方も変えていく

移転後、プロジェクタを見ながら行う会議の場合は、大会議室よりもセミナールームのほうが使い勝手がいいことに気づいた。

「会議参加者全員が同じ方向を見ることが重要なケースと、顔を突き合わして議論が必要なケースとでは会議室の使い分けが必要だとわかりました。これからも運用しながら気づくことがあるでしょう。それは適宜、変更していきたいと思います」

そしてオフィスをきっかけに働き方さえも変えていく。

「オフィスの使い方ルールに関しては移転初日に説明しました。いきなり大きく変えたのできちんと活用してくれるのかが心配でしたが初日から堂々と活用していましたね。キャンプでの休憩は特に時間制限を設けていません。何時間居座ろうが自由です。リフレッシュしたことで生産性が上がればいいのです。今後も効率化を追求しながら、さらに社員のために働き方を変えていければいいと思っています」

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