株式会社Rebase
2026年7月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
「糸を編む」から「縁を紡ぐ」へ
飛躍への意思と新たな出会いを生み出すオフィス
レンタルスペースのマッチングプラットフォーム「instabase(インスタベース)」と、コミュニティイベントサービス「TOIRO」を展開する株式会社Rebase。同社は2026年4月、事業と組織の成長を見据え、表参道エリアへ本社を移転した。新オフィスは、前回の「糸を編む」を発展させた「縁を紡ぐ」をコンセプトに、社内外の出会いや対話から新たな挑戦が生まれる拠点を目指した。その移転の背景と、働き方・事業の両面を支える空間づくりに込めた想いを詳しく伺った。

株式会社Rebase
ピープル&カルチャー
竹山 枝理香 氏

株式会社Rebase
ピープル&カルチャー
鈴木 美千代 氏

三幸エステート株式会社
国際営業部
井ノ上 貴之
Contents
- 成長に伴い、旧オフィスの使い方にひずみが生じていた
- 移転ありきではなく、複数の選択肢から将来の働く場を検討
- 前回の「糸を編む」から、次の「縁を紡ぐ」へ
- 働く、集う、楽しむ。社内外の「縁」を紡ぐ空間
- 会社の個性と目指す未来を表現し、育て続けるオフィス

執務エリア
成長に伴い、旧オフィスの使い方にひずみが生じていた
同社の旧オフィスの面積は約160坪。2022年の移転当初は60席弱を設け、固定席を基本としながら、カフェエリアでも働ける環境を整えていた。しかし、事業と組織の成長に伴って在籍人数が増え、次第に座席が不足していった。
「執務エリアの一部を変更して席を増やしましたが、それでも足りなくなりました。私たちやインターン生の一部は固定席を持たず、空いている席やカフェエリアを使うなど、運用で対応していました」(竹山氏)
座席不足を運用で補ううちに、空間の使い方にもひずみが生じていった。本来は交流や気分転換のためのカフェエリアが日常的な執務場所となり、チームで議論する場所も確保しにくくなった。集中と会話の場が混ざるなど、各エリアに持たせていた役割が次第に曖昧になっていたという。
「物理的な距離が近いため、コミュニケーション自体は取れていました。ただ、ゾーニング上、奥の席には人が足を運びにくく、自然な交わりが生まれにくい部分もありました」(鈴木氏)
移転ありきではなく、複数の選択肢から将来の働く場を検討
移転の検討が本格化したのは2024年初頭。旧オフィスの仲介も担当した三幸エステートの井ノ上は、旧オフィスの中途解約が可能になる時期を見据え、正式募集前の物件情報も提供した。一方、同社内では移転以外の選択肢も検討していた。
「最初から移転ありきではありませんでした。働き方を変える、1人当たりの面積を見直す、同じ建物の別フロアが空くのを待つなど、さまざまな可能性を検討しました」(鈴木氏)
経営層へのヒアリングを重ねる中で、面積不足に加え、従業員同士のコミュニケーションを支える環境と、来訪者の増加に対応するセキュリティの確保が課題として明確になった。そこに、代表の佐藤氏が掲げる「飛躍」というキーワードが重なり、移転を決断した。
「代表は会社としてさらに飛躍すべき時期だと考えていました。事業だけでなく、組織も次の段階へ進むために、環境を変える必要がある。その考えが移転の決断につながりました」(竹山氏)
物件探しでは、表参道・原宿周辺を軸としながら、条件を広げて比較した。現在入居するビルでは、先に高層階を内覧したものの、一度は見送っている。その後、井ノ上が3階の募集情報を得て、改めて提案した。
「3階は周囲の緑を身近に感じられ、空間の形にも面白さがありました。私たちのスタイルに合うと直感し、代表にも急きょ見てもらったところ、同じように『ここだ』となりました」(鈴木氏)
「代表は以前から、『地に足をつけた会社でありたい』という想いから、低層階を好んでいました。前回のオフィスにも通じる日当たりの良さがあり、きっと気に入るだろうと感じました」(竹山氏)
「同じビルでも、フロアによって受ける印象は大きく変わります。このフロアを見たとき、Rebase様にふさわしい空間になると直感しました。以前のご移転から継続してご一緒してきたからこそ、好みや価値観を踏まえてご提案できたと思います」(井ノ上)
前回の「糸を編む」から、次の「縁を紡ぐ」へ
そうして契約した新オフィスは約500坪。取材時点では約70名が利用し、将来的には最大200名規模まで見据えた広さだ。現時点の人数だけで全体を使うのではなく、一部を自社サービスの実験的なスペースとして活用することも、契約時から計画に組み込んだ。
「新オフィスの一部を『インスタベース』に掲載し、実際にお客様を受け入れる実験的な場所にしようと考えました。将来の増員とR&Dの両方を見据えたゾーニングです」(鈴木氏)
社外利用を想定する以上、賃貸借契約の段階から用途について貸主側との合意が必要になる。井ノ上は同社の事業と将来の活用構想を事前に把握し、スペースの貸し出しを想定した条件を契約へ反映できるよう調整した。
「当社や代表の価値観だけでなく、サービスまで深く理解し、物件情報や必要な契約条件を先回りして考えていただきました。会社は違っても、同じチームのように進められたと感じています」(竹山氏)
内装設計会社の選定では、得意領域の異なる4社へ要件を提示。最終候補を2社に絞り、会社への理解とその表現、長いプロジェクトに伴走する熱量を重視して決定した。
内装設計会社から提案された新オフィスのコンセプトは、「縁を紡ぐ ― 関係や絆を育んでいく」。前回のオフィスで掲げた「糸を編む ― 個々の個性の結束」を継承しながら、これまで築いてきた関係を育み、新たな縁へつなげていく意思を表している。
「前回は、従業員一人ひとりを一本の糸に見立て、それらが編まれることで会社やサービスが広がっていく姿を表現しました。今回は、その先にある関係や絆をさらに紡いでいくという意味を込めています」(竹山氏)
このコンセプトを具体的な空間へ落とし込むにあたり、従業員へのアンケートも実施した。内装や家具の好みを尋ねるのではなく、出社・退社時間、デスクで行っている作業、会議室の利用状況など、日々の活動実態を把握することに重点を置いた。
「個人の好みではなく、実際の働き方をデータとして捉えました。例えば、オープンな場でもできる議論が会議室で行われている実態が分かり、内装設計に反映していきました」(鈴木氏)
こうした調査をもとに、働き方に即した機能と「縁を紡ぐ」というコンセプトを重ね合わせながら、新オフィスの設計を具体化していった。
働く、集う、楽しむ。社内外の「縁」を紡ぐ空間
完成した新オフィスでは、同社のコーポレートカラーを取り入れながら、「縁」を「円」で表現した意匠を随所に施した。ビルの楕円形状を活かした来客動線を緩やかな曲線で構成し、サインや照明、カーペット、什器にも共通するデザインを取り入れている。
まず、エントランスでは、職人が床のタイルを手作業で弧を描くように張り、円柱形の受付台と調和させた。その奥には来客用会議室が広がる。付近には、来訪者の待ち合いや会議後の短い会話に利用できるスペースも配置。各所には、脳波に着目した独自のサウンドマスキングと香りを取り入れ、聴覚や嗅覚の面からも、集中とリラックスを支える環境を整えている。

エントランス

会議エリア
「音は完成後の対策が難しいため、ゾーニングや施工方法を設計段階で詰めました。見た目や会議室の数だけでなく、実際に使ったときの快適さを大切にしています」(鈴木氏)
オフィスの中央には、ウェットキッチンと大きな円形テーブルを備えたカフェエリアを設置。一人での食事はもちろん、複数人でも自然に集まれる大きさとすることで、会話を強制せずに部署を越えた交流が可能だ。

カフェエリア
「会社の真ん中にあり、キッチンも近いため自然と利用率が高くなりました。部署を越えたコミュニティをうまく支えてくれている場所です」(鈴木氏)
執務エリアには、固定席の近くで気軽に集まれる「ホットスポット」を点在させた。可動式の家具とホワイトボードを組み合わせ、普段は開かれた打ち合わせ場所として、必要なときはプロジェクトスペースとして利用できる。

ホットスポット
新オフィスの一角には、全社集会や社内イベントに対応する広いイベントスペースを配置。軽量な箱型家具は、椅子やテーブルとして使えるほか、積み重ねたり並べ替えたりすることで、人数や用途に応じてレイアウトを変更できる。ステージにはプロジェクターやカメラを備え、ボタン一つで操作できるシステムも導入した。
「SIXINCHの家具はとても軽く、椅子として並べたり、積み重ねたりと、用途に合わせて自由に形を変えられます。以前勤めていた会社で使い勝手の良さを実感していたため、今回のオフィスにも取り入れました」(鈴木氏)

イベントスペース(SIXINCHの家具)
R&Dエリア「PARK」では、自社サービス「インスタベース」を通じて社外にも開放し、スペースの活用や運営を予定している。エリア内には、ラウンジに加えシアターとゴルフスペースも設けた。一見すると福利厚生のための設備にも映るが、いずれも会議室として予約でき、1on1やチーム定例会にも使われている。ゴルフスペースには右利き・左利きの双方に対応するシミュレーターを導入。シアターには大型スクリーンや音響、照明もプロ仕様で備えた。会議からスポーツ観戦、ゲーム、休息まで幅広い用途に対応する多目的空間だ。

シアター(会議室)

ゴルフスペース(会議室)
「会社は仕事をする場所であり、会議は事業に直結する大切な活動です。その前提は変えず、つくるからには、仕事にもリラックスや交流にも使いたくなる本格的な設備を採用しました。仕事で煮詰まったときに頭を切り替え、就業後は移動せず仲間と楽しむ。オンとオフの両方をオフィスのなかで実現できます」(鈴木氏)
会社の個性と目指す未来を表現し、育て続けるオフィス
移転後、新オフィスは従業員から高く評価されている。移転から数か月後に実施した社内調査で、オフィス環境の総合満足度を5段階で尋ねたところ、9割以上が「4」または「5」と回答。なかでも、半数以上が最高評価の「5」を選択した。
「広くなったことで、自分の好みに合わせて場所を選べます。会議室を予約しなくても、ホットスポットへ移動してすぐに話せるため、意思決定やコミュニケーションがスムーズになったという声を聞いています」(竹山氏)
また、周辺の飲食店の選択肢が増えたことで、メンバー同士で食事を買いに行き、カフェエリアで一緒に食べる光景も見られるようになった。立地を含めた環境の変化が自然な交流を後押ししている。さらに、同社は外部の清掃を取り入れながらも、従業員による週1回の清掃を実施。これは自社オフィスをもった2017年から継続して実施しており、自分たちで空間を整えることは、同社のサービスで利用者へお願いしている「使ったら元に戻す」という姿勢を、自ら実践することでもある。
「自分たちのオフィスもきれいに整える必要があります。この場所を大切に使う意識を、文化として根付かせたいと考えています」(竹山氏)
今後は、従業員による各エリアの活用を深めながら、社外との接点も広げていく。すでに月1~2回ほど外部イベントを開催しており、その様子に興味を持った従業員が交流に加わる場面も生まれているという。
「このオフィスはR&Dの場としても構築しています。今後はお客様を定期的にお招きできる運用を整え、将来的には対価をいただける活用へつなげていくことが課題です」(鈴木氏)
最後に、同社が考えるオフィスの必要性について伺った。
「オフィスは、会社を表現する場として必要だと思います。人が自分に合う洋服を選び、そこに個性を表すように、法人も自社に合うオフィスを選び、その場所で企業としての個性を表現する。その役割はこれからも変わらないと考えています」(鈴木氏)
「従業員にどのように動き、どのような意識で毎朝出社してほしいかまで考えて、この場所をつくりました。会社の戦略や、これから歩んでいく道筋を、オフィスを使って表現する。社外へのブランディングだけでなく、従業員へのメッセージを発信する場としても、オフィスは大切な位置づけだと感じています」(竹山氏)

「Where It Starts / ことのはじまり」をビジョンに、「Get Together / 和をひろげる」をミッションとして掲げる株式会社Rebase。レンタルスペースのマッチングプラットフォーム「instabase」と、コミュニティイベントサービス「TOIRO」を運営し、人が集い、出会い、交流することで新たな活動が生まれる社会を目指している。

