- "口コミ" を評価してランキング。新機能を組み入れたニュース配信サービス
- 設立は2012年。新たなニュース配信の可能性を信じて2名からスタートした
- わずか3ヵ月で全ての移転作業が完了。ワーカーが働きやすい環境を意識
- ワーカーには二つの空間があるべき。気分転換できる場所をオフィス内に用意する
- オフィスはソフトの部分が重要。今後の課題は運営面への投資
"口コミ" を評価してランキング 新機能を組み入れたニュース配信サービス
インターネット上でのニュース配信サービス。従来のニュース配信というと、報道機関が自社のニュースを提供するやり方と、各社メディアのニュースを人が整理して配信するやり方が一般的だ。しかし、スマートニュースの配信サービスは、そのどちらにも属さない。
「当社はニュース配信を行う会社の中では、後発にあたるかもしれません。その中で差別化を図るために画期的な配信サービスを実現しました。一つはスマートフォン上で閲覧しやすい快適なインターフェイスをつくり込んだ点、もう一つがリアルタイムで話題のニュースをシステムが選んで配信する点です。つまり、今日はこんなニュースが面白そうなので配信する、と人が決めるのではなく、機械が自動的に配信するニュースを選んでいくのです」(藤村厚夫氏)
とはいえ、ニュースの面白さを機械に判定させるのは困難を極める。そこで同社は "口コミ" に注目した。
「最近は、面白いと感じたニュースがあればインターネット上の交流を通じて友達に紹介するといった行動が増えています。そこで私どもは、『紹介する記事 = 注目されている記事』という仮説を立てました。現在、1,000万件ほどの情報を収集。国内、政治、経済、エンタメ、スポーツなど、多彩なジャンルに分類して話題性の高いニュースを厳選して提供。その中には一般には広まっていない面白いニュースも含まれています」(藤村氏)
そうして、新しい機能を組み入れたスマートフォン向けニュース閲覧アプリケーション「SmartNews(スマートニュース)」は次第に広がりを見せる。
「グーグル社が運営している『Google play Best of 2013』に続き、アップル社が運営しているAppストア『App Store Best of 2013』でもベストアプリ賞に選出。両プラットフォームでの受賞ということもあり、そこからダウンロード件数が一気に伸びました。2014年2月時点で300万件を超えています」(藤村氏)
設立は2012年。新たなニュース配信の可能性を信じて2名からスタートした
会社を創業したのは2012年6月。当時はシェアードオフィスで業務を行っていた。
「創業当時はわずか2名。それから数名のメンバーが加わり、同年12月にアプリのリリースをし、ニュース配信を開始しました」(藤村氏)
その後、最初にリリースしたiPhone版に加えて、AndroidやiPadへの対応など、課題解決のためにエンジニアを中心に増員。シェアードオフィスでは窮屈なためオフィス移転を検討した。たまたま近くのビルに空室があり入居を決めたという。移転条件であった「渋谷区内」、「今後の増員計画を考えた面積」という2つの必須条件をクリアした最適の物件だった。
「現在、オフィスの広さは125坪。現在のスタッフは15名弱ですから随分と贅沢に使っていますが、今後は規模も業務内容もどんどん拡大していきます。そのために多くのエンジニアを採用していく予定です」(藤村氏)
わずか3ヵ月で全ての移転作業が完了 ワーカーが働きやすい環境を意識
そうして移転計画が開始されることになる。驚くべきことは、これだけのオフィスをわずか3ヵ月でつくり上げたことだ。
「2013年10月からの入居が決定していました。実際にビルが決まったのが7月ですから、全てそこからの作業でしたね」(藤村氏)
「私は7月中旬に入社をしまして、そこから移転プロジェクトを担当することになりました」(佐々木 真由美氏)
移転プロジェクトマネジメント、オフィスのデザイン設計および施工を担当したのは、株式会社ヴィス。加えて、スマートニュースのスタッフとコミュニケーションをして、目指すオフィス環境を念頭に、什器や植栽の選択や配置などデザイン全般のコーディネーションを担当したのはRE株式会社の代表を務める江原理恵氏だ。これまで植物を使ったデザインや企画制作、空間デザインを通じて企業のスタートアップを支援してきた。今回も所々に置かれた植物が目を引くオフィスとなっている。
「担当したのはオフィス全体のコーディネートです。オフィスはもしかしたら自宅よりも長く過ごす場所になりますので、"ワーカーが働きやすい環境" を意識しました」(江原理恵氏)
「移転プロジェクトをお願いしていた会社からデザインの提案がありました。我々はそれを受けてこの雰囲気でいいのかとか、こういう方法もあるよねといったことを江原さんに相談していきました。江原さんも色々なアイデアをお持ちで、我々とデザイナーさんとの間の通訳みたいなそんな役割をしていただきました」(藤村氏)
「オフィスをつくるにあたってエンジニアそれぞれにヒアリングをして。さまざまなニーズがあることが分かったので、こちらが多様な選択肢を用意したというよりは、統一感を持たせながらタイプが異なる人でも仕事がしやすい場所が見つけられるように家具をオリジナルに制作することも含めて選定しました。」(江原氏)
期間にしてたった3ヵ月であるが、その間には社内で色々な議論を重ねたという。
「『ワーカーが働きやすい』をテーマにしているため、エンジニアが落ち着いて仕事が出来なくなることは防ごうと。仕切りのない空間ですから遮音性を高める仕組みにこだわりました。二重ガラスの仕組みと可動式の間仕切りを取り入れようとしたのですが、どれだけ効果があるのかカタログだけでは分かりません。間仕切りの専門会社のショールームに出向き、一つ一つ時間をかけて検証しながら選びました」(藤村氏)
「天井の壁を外したときに床もコンクリートのままで、という案が出ました。色々と議論を重ねる中で、最終的には女性の目線で『冷える』『ヒールの音が響く』ことをお話し、全面的にカーペットを張り替えることで落ち着きました」(佐々木氏)