サン・エム・システム株式会社
2025年12月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
「自然と来たくなるオフィス」をつくりあげ
出社率の大幅な向上を実現した
幅広い業界のDXをトータルソリューションで支援するサン・エム・システム株式会社。同社は2025年9月に東京本社の移転を実施。旧オフィスでの課題は、出社率の低下とコミュニケーションの減少だった。それらを解消するためにどのように移転計画を策定し、オフィスづくりを行ったのか。その詳細を伺った。なお、本案件は三幸エステートが物件の仲介とコンサルティングを担当した事例となる。
サン・エム・システム株式会社

代表取締役社長
本庄 諭 氏

管理本部 経理部
部長
鈴木 さやか 氏

人事本部 人事部
課長
大口 道子 氏
三幸エステート株式会社

虎ノ門支店
前田 有泰

ワークプレイスコンサルティング室
中嶋 美穂

ワークプレイスコンサルティング室
稲川 あい
Contents
- ワンストップ体制のDX支援で社会に広く貢献
- 閉鎖的な空間とフロア分断がさまざまな問題を引き起こしていた
- 今だけでなく未来を見据えた移転計画を策定
- 全従業員の想いから新オフィスのコンセプトを定めた
- バーカウンターが生む偶発的な会話と新しい交流
- 従業員同士のコミュニケーションを第一に考えた場が、企業文化をさらに育む

リフレッシュエリア
ワンストップ体制のDX支援で社会に広く貢献
システムインテグレーション事業を主軸とするサン・エム・システム株式会社は、ITに関する企画・設計から、システム開発・インフラ構築・運用・保守までをワンストップで手がけている。同社は、業務システムやアプリケーション開発に加え、クラウドやセキュリティ対策など、企業のIT活用を幅広く支援しており、上流から下流まで一貫してサポートできる点が特徴だ。特に中小企業のDX支援において強みを発揮。金融・通信・製造・小売・サービス業・公共といった多岐にわたる業界の顧客に寄り添い、課題解決やイノベーションの実現に貢献している。
同社は東京本社に加えて大阪にも拠点を持ち、グループにWebディレクションやサイト構築に強い会社も有しており、事業領域を広げながら成長を続けている。
閉鎖的な空間とフロア分断がさまざまな問題を引き起こしていた
同社の旧オフィスは、中央区日本橋のビルに2005年から20年ほど入居。当初は1フロアでの運用だったが、従業員の増加に伴い2フロアに拡大した。しかし、もともとの壁が多く閉鎖的だったレイアウトにフロアの分断が加わり、部門間のコミュニケーションは大幅に減少。時間の経過とともに、老朽化による設備面の問題も浮き彫りになっていた。さらに、コロナ禍で定着したリモートワークの利用が加速度的に増加し、出社率は14%ほどまで低下していた。
「久しぶりに出社したエンジニアからは『雑談できる場所がなく、出社しづらい』。若手からは『知っている人がいるかわからないので不安』という声も上がっており、若手の孤立やメンタル面が懸念される状況でした。みんなで集まれる環境を早急に整える必要があると考えていました」(大口氏)
今だけでなく未来を見据えた移転計画を策定
そして、2023年秋頃から移転に向けて本格的に情報収集を開始。三幸エステート 虎ノ門支店の前田有泰にも声がかかった。
「以前に私がグループ会社のアイロベックス様の移転を仲介したご縁から、ご相談をいただきました」(前田)
「他社からも物件提案はありましたが、前田さんは『広さはどれくらい必要ですか』『新しいオフィスに何を求めますか』など、根本的な部分から一緒に考えようという姿勢でした。まだ具体的な移転時期も決まっておらず、何から検討すればよいかもわからない状況だったので、非常にありがたかったです」(鈴木氏)
コンサルティングフェーズでは、中嶋美穂と稲川あいが現状を踏まえて試算を行った。
「課題をお伺いし、現状のレイアウト分析から従業員の通勤時間のシミュレーションまで、さまざまな調査をいたしました。その結果をもとに、会議室の適正な数やサイズ、Webブースの必要設置数などをご提案いたしました」(稲川)
「会議室が足りないと感じていましたが、実際のデータを見ると必ずしもそうではないことがわかりました。気付いていなかったいろいろなことが可視化され、課題を整理することができました」(大口氏)
「若手の方たちにとっては、出社率の低下によってさらに会社に行きづらくなる、という負のスパイラルになっていたと思います。その状況を断ち切り、前向きな流れへ転換できたらと考えました」(中嶋)
物件選定では、当初は旧オフィスの周辺エリアを希望していたが、条件に合う物件は見つからなかった。徐々にエリアを広げて探し続けていく中で、前田がある物件に着目し、提案を行った。
「懇意にしているビルオーナーと移転先となるビルで打ち合わせをしていた際に、『このビルであればご希望に合うのではないか』と思い至りました。事前に条件交渉を行ったうえで、急いで皆さんにご提案しました」(前田)
そうして内覧したのは、広さ約265坪の1フロア。年末の仕事納めというタイミングだったが、その日のうちに申し込みを行った。
「立地が良く、ビル自体もリニューアルされており、共用部がとても綺麗でした。専有部も3面全て窓ガラスで光がたくさん入ること、柱が少なく使いやすい空間だったことも決め手です。それまで内覧した中で最も希望に近しい物件だったため、即決できました」(本庄氏)
全従業員の想いから新オフィスのコンセプトを定めた
オフィス構築のフェーズでは、まず内装会社の比較検討から始めた。
「三幸エステートさんから3社を紹介していただき、コンペ用のチェックシートを用いて検討しました。その中で、『従業員に戻ってきてほしい』『みんなで集まれる場所にしたい』という私たちの想いを最も理解してくれた会社を最終的に選びました」(大口氏)
その後は内装会社との週1回の定例会に加え、社内でも週1回のミーティングを実施。若手従業員を含む12名が参加した。
「オフィスに求めるデザインや雰囲気についてキーワードを洗い出したうえで、若手従業員に資料を見せて希望をヒアリングしました。家具選定にも参加してもらい、運用面での要望はアンケートで募りました」(大口氏)
新しいオフィスのコンセプトは「自然と来たくなるオフィス」に決定した。
「若手従業員からの意見も取り入れつつ、みんなの想いを反映したコンセプトです。最終的な決定は定例会メンバーで行いました」(本庄氏)
バーカウンターが生む偶発的な会話と新しい交流
それでは完成した新オフィスを紹介しよう。エントランスは、コーポレートカラーである深みのある赤色をメインに採用。受付は、企業ロゴを連想させるような形の、丸みを持たせた奥行きのあるデザインとなっている。扉の中へ入るとガラス張りで開放感のある会議室エリアが現れる。部屋数は旧オフィスと変わらないが、事前の調査結果を元にそれぞれを適正な面積へ変更した。

エントランス

会議室
その奥には3面ガラス張りの執務エリアがあり、こちらも明るくゆったりとした空間となっている。内装デザインの方向性は従業員アンケートの結果を反映した「Warm」。柱は木目のシート貼りにし、各所に観葉植物を配置するなど、温もりを感じられるつくりとなっている。エンジニアの部署は基本的にフリーアドレスだが、総務・人事・経理等のコーポレート部門はグループアドレスを採用。気軽な打ち合わせも可能なハイテーブルやファミレス席・一人席・カウンター席、昇降デスクなど多種多様な席を揃えたことで、フレキシブルな働き方が可能になった。

執務エリア

ハイテーブル

ファミレス席
また、旧オフィスでは少人数のオンライン会議を広い会議室で行うことも多かったが、Webブースの設置によりスペースを効率的に活用できるようになった。室内にはBGMが流れ、以前の静まり返ったオフィスとは異なり、リラックス感のある雰囲気が広がっている。
そして、このオフィス最大のこだわりがバーカウンターだ。
「コロナ禍の外食が難しい時期を経て、社内で親睦会を行う文化が生まれました。オープンな環境で、みんなが『いつでもふらりと集まれるスペース』をつくりたいと考えたのです」(本庄氏)
コーヒーや菓子類、さらにボードゲームやダーツボードまで取り揃え、勤務時間中は部署を超えた会話や気分転換の場、定時後にはより活発な交流の場として大いに活用されているという。ダーツボードは従業員が自主的に用意したもので、自由な発想を大切にする社風が伺える。
従業員同士のコミュニケーションを第一に考えた場が、企業文化をさらに育む
移転後は出社率が大幅に向上し、早くもコミュニケーションが活発になっているという。
「旧オフィスではエンジニアの出社が少なかったのですが、移転後は出社する人が増えました。金曜日は親睦会が多いので、社内のネット回線のスピードが遅くなるほどです」(本庄氏)
「1フロアになったことで、従業員の顔が見えるオープンな環境になりました。移転して早々に、今まで話さなかった部署の人と会話が生まれるようになったという声がたくさん聞こえて嬉しいです」(鈴木氏)
リフレッシュエリアの活用も高まっている。
「部門の決起会や、外部講師を招いての研修なども自主的に開催されています。特別な許可は必要なく、みんなで決めて自由に使っています。今後は入社時の研修も社内で行いますので、新卒の方にとっても他の従業員と触れ合える良いきっかけになると考えています」(大口氏)
今回の移転は、コミュニケーションの向上といった課題に真摯に向き合ったプロジェクトだった。
「システムやアプリケーションの開発は基本的にチームで進めますが、プログラミングなどでは個人作業になることも多くあります。作業そのものは自宅でも可能ですが、コミュニケーション不足による認識のずれは手戻りを招きやすい。そうした事態を防ぐためにも、コミュニケーションが取れる場所を用意することが肝要です」(本庄氏)
そして、最後にオフィスの必要性について伺った。
「移転前は、出社でもリモートワークでも働き方は変わらないと思っていました。しかし実際に移転してみると、これまであまり接点がなかった人から声をかけられたり、自分自身も話しかけやすくなったりと偶発的なコミュニケーションが増えました」(鈴木氏)
「従業員の中にはリモートワークを好む方もいましたが、新しいオフィスを見て『これなら出社したいです』と言ってくれたのが嬉しかったです。通勤というデメリットを上回る価値を提供する必要がありますが、新オフィスではそれが実現できていると感じています」(大口氏)
「当社では、対面コミュニケーションを重視する方針を掲げています。コロナ禍でリモートワークの便利さを感じた一方で、人と人との間に距離ができ、信頼関係の希薄化や、若手の孤立という課題もありました。オフィスは日々の会話や交流を生む重要な環境であり、第2の家のように安心できる場所であってほしいと考えています」(本庄氏)

経営理念として、かつての近江商人の経営哲学の一つである「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」を掲げているサン・エム・システム株式会社。同社は、従業員・顧客・社会の三者にとって価値ある事業を目指している。従業員を第一に考えた新しいオフィスとともに、顧客と社会に貢献するサービスをこれからも追求していく。



