株式会社店研創意
2026年5月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
店舗づくりのノウハウを活かして構築した
ショールーム機能を持つオフィス
店舗用什器・家具・備品の販売および、店舗設計・施工を主に手がける株式会社店研創意。2024年から本格的に参入したオフィス事業部の拡大や今後の採用計画を見据え、東京本社のオフィス移転を実施した。エントランスにはショールーム機能を持たせ、執務エリアにはコミュニケーションを向上させる多様な仕掛けを導入している。今回は、同社のノウハウを結集して構築した新オフィスの全容を紹介する。

株式会社店研創意
ストアエキスプレス事業部
東日本営業部
部長代理
栗﨑 恵里子 氏

株式会社店研創意
空間プロデュース事業部
住空間・オフィス営業部
部長代理
松井 宏行 氏

株式会社店研創意
空間プロデュース事業部
住空間・オフィス営業部
住空間・オフィス営業チーム
シニアスペシャリスト
山本 雄三 氏

株式会社店研創意
空間プロデュース事業部
設計部
Design Labチーム
デザイン ディレクター
木村 晴美 氏
Contents
- 店舗設計・施工とEC事業を強みに、オフィス領域へも事業を拡大
- 手狭なオフィス環境の改善が移転の大きな目的だった
- グループの知見と従業員の声を活かし、理想のオフィスづくりを進めた
- 働きやすさと発信力を両立した、店研創意らしいオフィスが完成
- コミュニケーションの活性化が採用や営業活動にも好影響

ショールーム
店舗設計・施工とEC事業を強みに、オフィス領域へも事業を拡大
株式会社店研創意の創業は1975年となる。そのきっかけは、大西グループの祖業であり、同社とともに中核事業である大西衣料株式会社の顧客から、店舗内装の提案を依頼されたことにあった。
「大西衣料は、幅広いサービスを提供する中で店舗展開のアドバイスなども行っていました。それらの経験が評価され、店舗内装の依頼をいただくようになったことが、店研創意設立のきっかけです」(木村氏)
設立後は設計・施工案件だけではなく、本格的なECサイト事業「ストア・エキスプレス」もスタートさせた。
「『ストア・エキスプレス』は、店舗用什器・家具、ディスプレイ用品、梱包資材、店内装飾、販促グッズ、備品装飾品といった業界最大級となる約30,000点もの商品を取り扱っています。当サイトの登録会員数は、法人のお客様を中心に約60万人。この数は業界トップクラスを誇っています」(栗﨑氏)
さらに同社は、長年にわたり培ってきた店舗づくりのノウハウを活かし、2024年にオフィス事業部を本格始動させた。
「店舗づくりで蓄積した什器をオフィス空間へ展開し、『短納期・低コスト』を実現できることが当社の強みです。空間プロデュース事業部では、店舗やオフィスを含め年間約2,000件を超えるほどの案件を手がけています」(木村氏)
手狭なオフィス環境の改善が移転の大きな目的だった
移転前は、新宿区東新宿に立地するオフィスビルの約110坪を使用していた。
「東京本社は、施工営業、物販営業、設計、クリエイティブデザイン、それにアシスタントを含めて50名弱が入居していました。オフィス事業部の立ち上げや既存事業の拡大に伴い、今後の増員は不可欠になっていったのです。また、会議室や打ち合わせスペースの不足も大きな課題となっていました」(松井氏)
「旧オフィスの会議室は3室だけ。それ以外に簡易的な打ち合わせスペースがあるのみでした。また、休憩エリアは廊下に机と椅子を並べただけの簡素なもので、スタッフがゆっくりと休憩できる環境とはいえなかったのです」(栗﨑氏)
営業部門は外出が多いためフリーアドレスを採用していたが、それでも増員を見据えるとスペース不足は明らかだった。
「オフィス改善の検討は2024年10月頃から始まっています。ただし、当初から移転を前提としていたわけではなく、まずは内装リニューアルによる課題解決を目指していました」(松井氏)
将来的な増員計画や必要なオフィス機能を整理していく中で、旧オフィスでの対応には限界があることが判明。そこで同社は拡張移転へと方針を転換した。
移転先の選定では、従業員の通勤環境を維持することを重視。10年以上にわたって同社を支えてきたスタッフが多く在籍していることから、候補物件は旧オフィスと同じ「新宿」駅周辺で探すこととした。
「面積は最低でも旧オフィスの1.5倍は必要だと考えていました。その一方で、築年数やビルグレードには特段こだわりませんでした。内装を自社のノウハウで構築することで、より良い環境を提供できるという自信があったからです」(栗﨑氏)
最終的に5棟の候補ビルを見学。ランニングコストと面積、周辺環境とのバランスを総合的に評価し、現在のオフィスへの移転を決定した。「新宿」駅から徒歩圏内という立地を維持しながら、旧オフィスの1.5倍となる約175坪の面積を確保することができた。
グループの知見と従業員の声を活かし、理想のオフィスづくりを進めた
「今回のオフィス構築プロジェクトは、グループ内のノウハウを結集して進めました。栗﨑を中心に、設計施工やデザインはオフィス事業部、IT・セキュリティ関連はグループ会社の『株式会社大西 情報システム部』、オフィス家具は当社子会社の家具ブランド『ENEN(エネン)』が担当しています。私たちはこれまで数多くの店舗づくりを手がけてきましたので、各フェーズで必要となる役割や進め方は十分に理解していました。不安はありませんでしたね」(木村氏)
「2025年1月には、外部スタッフを入れずにグループ内のメンバーだけで福岡営業所の移転プロジェクトを実施した経験があります。その際もIT関連は大西の情報システム部が担当したのですが、参画が後半になったことで想定していなかった調整が発生しました。そこで今回は、その経験を踏まえ、プロジェクトの初期段階から連携する体制を整えたのです」(山本氏)
「プロジェクトメンバーはそれぞれ本来の業務を抱えており、移転プロジェクトはそれと並行して進める必要がありました。そのため、認識のズレを防ぎながら円滑に進行できるよう、毎週定例会を開催しました。初回から役割分担を明確にし、従業員アンケートの分析や必要なオフィス機能の整理など、一つひとつの議論を活発に積み重ねていきました」(木村氏)
従業員アンケートやヒアリングの結果からは、目を引く仕掛けやデザイン性よりも、日々の業務を快適に行える環境が求められていることが見えてきた。同社はそうした声を反映しながら、レイアウトや空間づくりを進めていった。
働きやすさと発信力を両立した、店研創意らしいオフィスが完成
こうして完成した新オフィスには、同社ならではの工夫が随所に盛り込まれている。人と人とのつながりを大切にしながら、店研創意らしさを体感できる空間づくりを目指した。エントランスには自社商品を展示し、ショールームとしての機能を備えている。来訪者が同社の事業や強みを自然に理解できる空間となっており、大画面グラフィックでは「熱い想いでワクワクの未来を創る」「価値ある空間創りを通じて、感動を分かち合う」という企業ビジョンを視覚的に表現している。
「カッコいいだけのオフィスではなく、工夫次第で働きやすいオフィスをつくることができる。見学に来られたお客様に、そんなメッセージが伝わる空間を完成させたと思っています」(山本氏)

エントランス
会議室は5室用意し、それぞれ異なるコンセプトで設計した。各室には照明や素材、レイアウトに工夫を施しており、照明を斜めに配置して空間に奥行きを演出した部屋など、1室ごとに異なる表情を持たせている。
「会議室の名称には、当社が取り扱う什器の名前を採用しています。プロジェクトメンバーのアイデアなのですが、従業員からも好評です。新オフィスに愛着を持ってもらうための仕掛けの一つですね」(松井氏)

会議室

照明で奥行きを演出した会議室
執務エリアは、旧オフィスで感じていた課題を踏まえ、働きやすさと快適な動線を追求した。
「フリーアドレスと固定席を合わせて75席用意しました。ハイブリッド型のオフィスにすることでスペース効率も高めています。また、旧オフィスから約80%の家具を転用していますので、SDGsの観点からも十分に意義があるオフィスになりました」(木村氏)
全体のレイアウトは、ABW(Activity Based Working)を採用。個室ブースを2室、ファミレス席、オープンミーティングエリア、ソロカウンターなど、業務に応じて使用できる環境を整備している。

執務エリア

ファミレス席
新オフィスの大きな特長の一つがラウンジだ。執務エリア内でも最も眺望の良い場所に配置し、飲食や雑談、打ち合わせなど、多目的に利用可能な場所とした。
「木村が苦労をしながらレイアウトを組み立てました。ここは飲食や雑談、打ち合わせなどに利用できるエリアです。とはいえ、執務エリア内にあるため『匂い』や『声』による影響には配慮しなければなりませんでした。一方で、一体感も大切にしたい。そこで、ガラス壁による間仕切りを採用したのです」(栗﨑氏)

ラウンジ
コミュニケーションの活性化が採用や営業活動にも好影響
新オフィスへの移転により、社内コミュニケーションは大きく改善されたという。
「営業担当者と営業アシスタントは、ワンチームとして業務を進めることが少なくありません。旧オフィスでも席を近くに配置していましたが、気軽に打ち合わせができるスペースはありませんでした。新オフィスでは至るところで打ち合わせができますし、広々としているので、『どこでも立ち止まってコミュニケーションが取れるのが良い』という声が多いですね。結果として、従業員のモチベーション向上にもつながっているようです」(栗﨑氏)
採用や営業活動にも好影響がありそうだ。
「現在、事業拡大に伴い中途採用を積極的に行っています。一次面接を通過した方には新オフィスを見学していただいているのですが、オフィスを見たことで入社への意欲が高まったという声もいただいています。働きやすさを考慮してつくったオフィスは、リクルーティングの面でも効果を実感しています」(松井氏)
「私は大阪本社に在籍しているのですが、最近は東京本社を訪れる頻度が多くなりました。展示会に参加されたお客様をショールームにご案内する機会が増えたからです。まさにオフィスそのものが、営業ツールの一つになっています」(山本氏)
従業員の働きやすさを向上させるだけではなく、採用や営業活動にも効果を発揮している同社の新オフィス。最後に、オフィスの必要性について伺った。
「私は20年以上にわたってオフィス業界に携わってきました。対話を重ねながらオフィスをつくることも、完成後のオフィスで会話を楽しんでいる人を見ることも好きです。これからも活発なコミュニケーションが生まれるオフィスづくりに関わっていきたいと思っています」(山本氏)
「当社も在宅ワークを行っていた時期がありましたが、やはり直接会話をした方が物事は早く解決します。会話の中から新しい発想が生まれることも少なくありません。オフィスには、そうした相乗効果を生み出す不思議な魅力があると思います」(松井氏)
「喫茶店にノートPCを持ち込んで仕事をしている方をよく見かけるように、人の声や周囲の気配といったものも、実は仕事をするうえで心地良い刺激になっているのかもしれません。オフィスには、そうした何気ないプラスの価値もあると思います」(木村氏)
「オフィスに対するコストは、経費ではなく投資だと考えています。今後も、このオフィスが従業員や会社にどのような価値をもたらしてくれるのかを楽しみにしています」(栗﨑氏)

店舗づくりに必要な什器・備品の販売から、設計・施工をワンストップで提供する株式会社店研創意。同社を含む大西グループは1931年に創業し、1954年にはセルフサービス方式の現金卸事業を開始。1966年には流通業世界初のオンラインシステムを導入した。その後もPOSシステムやCADなども導入し、常に次代を先取りしながら事業を発展させてきた。その精神を受け継ぎ、新たな領域への挑戦を続ける同社の今後の展開にも注目だ。

