- 認証機関の役割は規格審査を行って適合の判を押すだけではない
- 製品の品質と安全性確保、及び自社の価値を高める企業の存続をも左右する生命線
- 数年先までの採用計画を見据えて十分に広い空間を確保した
- 常にコミュニケーションが図れるオフィス環境の整備を目指した
- 働く環境を向上させる。それが生産性の向上につながる
ICT業界をリードする両社が出資して誕生。
互いの特性を生かすことで業務領域が拡大
2010年7月、株式会社東邦ネットワークテクノロジーは、東邦電気工業株式会社と富士通ネットワークソリューションズ株式会社(以下FNETS)の出資により設立された。ネットワークの企画から設計・構築、施工、現地調整、運用・保守までの一連の流れをワンストップで提供。急激なネットワークインフラ需要に後押しされ、毎年130%以上の成長率で業務を拡大している。そんな同社も元々は一つの部署からのスタートだった。
「前身は東邦電気工業のネットワーク技術部となります。当時は所属メンバーが10数名しかおらず、折りたたみ机と作業場を兼ねたそれほど大きくはないオフィスで仕事をしていました」(菅原 満氏)
「2008年頃のことです。そこで経験を積みながら機をうかがっていました」(川辺 力氏)
「そして2年の準備期間を経て、両社の共同出資により会社を設立。東邦ネットワークテクノロジーとして誕生したのです」(山田 拡氏)
新たに川崎駅前のオフィスビルに移転。一つの部署から会社組織に変わる。総務管理部門も必要となり、社員数も24名になっていた。その後も着々と増えていく。
「そのビルでは今回移転するまで4年間入居していたのですが、入居時には24名だった社員も業務拡張により50名近くになり、あまりの手狭さに一度館内で増床をしています。それでも作業スペースが不足し、会議室を一つ取り壊すことなどで対応してしのぎましたが、一人あたり面積が狭いだけでなくミーティングスペースも足りない状況でした」(佐々木 亮氏)
そして社員からオフィスに対する不満が出始めてきたという。
「2012年にFNETSが横浜に移転をしてしまったことでパフォーマンスが悪くなっていました」(佐々木 邦男氏)
「オフィス自体の形状も横長で柱も多かったため、ワンフロアでありながら管理職が全体を見渡すことができない。使用していくうちにオープンなようで実は視野の悪いオフィスになっていました」(山田拡氏)
川崎から横浜へステップアップ。最高のロケーションへ移転
「そうした『手狭さ』『お客様との連携の悪さ』『非オープン性』など、多くの課題解決のために早い段階からオフィス移転は経営課題の一つとしてあがっていました」(菅原 満氏)
しかし、実際に動き出したのは2014年1月のことだった。
「そこでFNETSより紹介を受け、オフィス仲介の専門会社である三幸エステートさんに相談しました。当社の希望条件である『横浜駅周辺』と『150坪前後』を伝えたところ、すぐに条件にあったオフィスビル情報を迅速に持参してくれたのです。そこにはワンフロアで150坪の物件、大規模ビルを分割した150坪の物件、駅から近い物件、少し離れて割安な物件など、バリエーション豊かな資料が揃えられていました」(山田 拡氏)
「資料を眺めるだけではなく、気になったビルは全て見学しました。その中でこのビルが、築年数が浅かったこと、耐震設備もしっかりしていること、セキュリティ面でも安心だったことなど念頭にあった課題において全てクリア。メンバー全員が気に入り即決でした」(川辺 力氏)
「天井が高かったのも魅力でしたね。その他のビルは比較的天井が低く、圧迫感がありましたから」(佐々木 邦男氏)
「このような横浜を代表するオフィスビルにたまたま当社が求めていた広さの空室があり、それも使いやすい角部屋ときている。本当にタイミングが良かったですね」(佐々木 亮氏)
「常に採用計画は行っていますので、いずれはオフィス内のバッファがなくなってしまうかもしれません。しかしスペースのことは考えずに当面は継続して人材募集活動を行なっていきたいと思います」(山田 拡氏)
同社の採用基準は人物重視。専攻は問わない。面接に時間をかけてコミュニケーション能力の高い人材を集めている。
「その結果なのでしょうか。最近では女性の採用が多い傾向にありますね」(山田 拡氏)
「元々、ネットワークを専門課程にしている学校は多くありません。私どもとしても最初から採用の枠を狭めてしまうのは良くないことだと。門戸は広くしてたくさんの方と会う。その中で人を育てていくのが当社のスタンスです」(菅原 満氏)
「このやり方は設立以来ずっと変わっていません。もちろん理系の方も採用していますが、理系だからといってアドバンテージを持っているわけではありません」(川辺 力氏)
「積極的に女性を採用してきたことで横浜本店では25%が女性エンジニアとなっています。そういうこともあり若い方や女性にも抵抗のない働きやすいオフィスを提供していくことを考慮しました」(山田 拡氏)

横浜本店を支えている女性スタッフ
オフィスのコンセプトは「海」と「山」。コンセプト決定から5ヵ月で完成させた
2014年1月から移転プロジェクトが開始、同年3月に移転先ビルの契約が締結。8月までにオフィスの構築が決定した。移転先、移転時期を社員に報告。以降、意見を収集しながら進めていく。全体的なサポートはデザイン会社が行なう。
「コンセプトづくりからお手伝いをしていただきました。最初に行なったのは意見や要望を集めること。特にロッカーやリフレッシュルーム、検証ルームの設置など、設備的な要望が多かったです」(山田 拡氏)
なるべく多くの社員の声を聞くように努めた。突拍子もないと思われるアイデアでもなるべく叶えられるように検討を重ねた。それが社員の働きやすさに繋がるからだ。
「川崎オフィス時代から社員の働きやすい環境のためにはリフレッシュできる空間づくりが不可欠だといわれ続けてきました。それに『横浜らしさ』というキーワードを当てはめ、『海』と『山』にコンセプトが決まったのです」(川辺 力氏)
「そのほか心がけたのが『チームごとに仕事がしやすい環境を整備すること』です」(佐々木 邦男氏)
「チームごとに仕事がしやすい環境」。それを導き出すためにかなりの時間を掛けた。間違いなく今回のオフィスづくり成功の鍵となりえると感じたからだ。
「付き合いのあるIT企業にお願いをしてオフィスを見学。エンジニアが働きやすい環境についてヒアリングをさせていただきました。多くの海外企業のオフィス写真も集めました。その中で目に付いたのが今回採用した型の机です。これは外資系企業のオフィスで採用されていたもので、いろいろな形での組み合わせが可能となります。まさにチームごとでの一体感を考えたときに相応しい製品だと思いました」(佐々木 亮氏)
そうしてベースとなる個人席周りのデザインを決定させる。移転予定日まで残り5ヵ月。それからはゾーンごとに「デザイン案の提出→社内検討→改良案の提出→社内検討→デザインの制作」といった作業を繰り返す。
「全体の面積からワーキングスペースを割りあて、残りの面積で課題であった会議室とリフレッシュルーム、検証ルーム、エントランスというように一つずつ確定させていきました」(川辺 力氏)
「何回もの意見交換の中で、当初のデザイン案からはかなり変わりましたね」(山田 拡氏)
150坪の中に社員の思いを詰め込み それを多彩な形で反映させた
それでは新本店オフィスについて順に紹介していこう。
まずは来客者を最初にお出迎えするエントランスだ。
「角部屋の採光を活かした明るいエントランスです。ここから見おろす景色も最高で、お待ちいただいているお客様も眺望を楽しんでいます。」(佐々木 邦男氏)〈写真①〉
「ここのテーマは『海』です。壁には貝殻が散りばめてつくったオブジェになっています」(山田 拡氏)〈写真②〉
2組のミーティングテーブルを用意。その奥に会議室を配置している。
「今まで、1つの会議室に1つの検証ルームだけでした。社内で打ち合わせをするスペースもありません。新オフィスでは8人用と20人用の会議室を用意しました」(川辺 力氏)〈写真③〉
オフィスに入るとまるで蜂の巣のようにデザインされたワーキングエリアが中央に配置される。あえてフリーアドレスではなく固定席にこだわった。〈写真④〉