株式会社東邦ネットワークテクノロジー

株式会社東邦ネットワークテクノロジー

2015年1月取材

※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

仕事がしやすい環境を徹底的に追求した
クリエイティブでデザイン性に富んだオフィスが完成する

東邦電気工業株式会社と富士通ネットワークソリューションズ株式会社が出資。両社の特性を活かしたハイブリッド型企業として株式会社東邦ネットワークテクノロジーが誕生した。多種多様な課題を抱えるお客様のニーズに応えることで業務を拡張。それによる人員増加に伴い2014年に本店移転を実施した。今回はその移転プロジェクトメンバーの方々に、新オフィスのコンセプトや工夫についてお話を伺った。

プロジェクト担当

菅原 満氏

代表取締役社長

菅原 満氏

川辺 力氏

常務取締役

川辺 力氏

山田 拡氏

取締役

山田 拡氏

佐々木 亮氏

NS統括部 統括部長

佐々木 亮氏

佐々木 邦男氏

経営企画部 部長

佐々木 邦男氏

特長的なオフィス全景

特長的なオフィス全景

はやわかりメモ

  1. 認証機関の役割は規格審査を行って適合の判を押すだけではない
  2. 製品の品質と安全性確保、及び自社の価値を高める企業の存続をも左右する生命線
  3. 数年先までの採用計画を見据えて十分に広い空間を確保した
  4. 常にコミュニケーションが図れるオフィス環境の整備を目指した
  5. 働く環境を向上させる。それが生産性の向上につながる

ICT業界をリードする両社が出資して誕生。
互いの特性を生かすことで業務領域が拡大

2010年7月、株式会社東邦ネットワークテクノロジーは、東邦電気工業株式会社と富士通ネットワークソリューションズ株式会社(以下FNETS)の出資により設立された。ネットワークの企画から設計・構築、施工、現地調整、運用・保守までの一連の流れをワンストップで提供。急激なネットワークインフラ需要に後押しされ、毎年130%以上の成長率で業務を拡大している。そんな同社も元々は一つの部署からのスタートだった。

「前身は東邦電気工業のネットワーク技術部となります。当時は所属メンバーが10数名しかおらず、折りたたみ机と作業場を兼ねたそれほど大きくはないオフィスで仕事をしていました」(菅原 満氏)

「2008年頃のことです。そこで経験を積みながら機をうかがっていました」(川辺 力氏)

「そして2年の準備期間を経て、両社の共同出資により会社を設立。東邦ネットワークテクノロジーとして誕生したのです」(山田 拡氏)

新たに川崎駅前のオフィスビルに移転。一つの部署から会社組織に変わる。総務管理部門も必要となり、社員数も24名になっていた。その後も着々と増えていく。

「そのビルでは今回移転するまで4年間入居していたのですが、入居時には24名だった社員も業務拡張により50名近くになり、あまりの手狭さに一度館内で増床をしています。それでも作業スペースが不足し、会議室を一つ取り壊すことなどで対応してしのぎましたが、一人あたり面積が狭いだけでなくミーティングスペースも足りない状況でした」(佐々木 亮氏)

そして社員からオフィスに対する不満が出始めてきたという。

「2012年にFNETSが横浜に移転をしてしまったことでパフォーマンスが悪くなっていました」(佐々木 邦男氏)

「オフィス自体の形状も横長で柱も多かったため、ワンフロアでありながら管理職が全体を見渡すことができない。使用していくうちにオープンなようで実は視野の悪いオフィスになっていました」(山田拡氏)

川崎から横浜へステップアップ。最高のロケーションへ移転

「そうした『手狭さ』『お客様との連携の悪さ』『非オープン性』など、多くの課題解決のために早い段階からオフィス移転は経営課題の一つとしてあがっていました」(菅原 満氏)

しかし、実際に動き出したのは2014年1月のことだった。

「そこでFNETSより紹介を受け、オフィス仲介の専門会社である三幸エステートさんに相談しました。当社の希望条件である『横浜駅周辺』と『150坪前後』を伝えたところ、すぐに条件にあったオフィスビル情報を迅速に持参してくれたのです。そこにはワンフロアで150坪の物件、大規模ビルを分割した150坪の物件、駅から近い物件、少し離れて割安な物件など、バリエーション豊かな資料が揃えられていました」(山田 拡氏)

「資料を眺めるだけではなく、気になったビルは全て見学しました。その中でこのビルが、築年数が浅かったこと、耐震設備もしっかりしていること、セキュリティ面でも安心だったことなど念頭にあった課題において全てクリア。メンバー全員が気に入り即決でした」(川辺 力氏)

「天井が高かったのも魅力でしたね。その他のビルは比較的天井が低く、圧迫感がありましたから」(佐々木 邦男氏)

「このような横浜を代表するオフィスビルにたまたま当社が求めていた広さの空室があり、それも使いやすい角部屋ときている。本当にタイミングが良かったですね」(佐々木 亮氏)

「常に採用計画は行っていますので、いずれはオフィス内のバッファがなくなってしまうかもしれません。しかしスペースのことは考えずに当面は継続して人材募集活動を行なっていきたいと思います」(山田 拡氏)

同社の採用基準は人物重視。専攻は問わない。面接に時間をかけてコミュニケーション能力の高い人材を集めている。

「その結果なのでしょうか。最近では女性の採用が多い傾向にありますね」(山田 拡氏)

「元々、ネットワークを専門課程にしている学校は多くありません。私どもとしても最初から採用の枠を狭めてしまうのは良くないことだと。門戸は広くしてたくさんの方と会う。その中で人を育てていくのが当社のスタンスです」(菅原 満氏)

「このやり方は設立以来ずっと変わっていません。もちろん理系の方も採用していますが、理系だからといってアドバンテージを持っているわけではありません」(川辺 力氏)

「積極的に女性を採用してきたことで横浜本店では25%が女性エンジニアとなっています。そういうこともあり若い方や女性にも抵抗のない働きやすいオフィスを提供していくことを考慮しました」(山田 拡氏)

横浜本店を支えている女性スタッフ

横浜本店を支えている女性スタッフ

オフィスのコンセプトは「海」と「山」。コンセプト決定から5ヵ月で完成させた

2014年1月から移転プロジェクトが開始、同年3月に移転先ビルの契約が締結。8月までにオフィスの構築が決定した。移転先、移転時期を社員に報告。以降、意見を収集しながら進めていく。全体的なサポートはデザイン会社が行なう。

「コンセプトづくりからお手伝いをしていただきました。最初に行なったのは意見や要望を集めること。特にロッカーやリフレッシュルーム、検証ルームの設置など、設備的な要望が多かったです」(山田 拡氏)

なるべく多くの社員の声を聞くように努めた。突拍子もないと思われるアイデアでもなるべく叶えられるように検討を重ねた。それが社員の働きやすさに繋がるからだ。

「川崎オフィス時代から社員の働きやすい環境のためにはリフレッシュできる空間づくりが不可欠だといわれ続けてきました。それに『横浜らしさ』というキーワードを当てはめ、『海』と『山』にコンセプトが決まったのです」(川辺 力氏)

「そのほか心がけたのが『チームごとに仕事がしやすい環境を整備すること』です」(佐々木 邦男氏)

「チームごとに仕事がしやすい環境」。それを導き出すためにかなりの時間を掛けた。間違いなく今回のオフィスづくり成功の鍵となりえると感じたからだ。

「付き合いのあるIT企業にお願いをしてオフィスを見学。エンジニアが働きやすい環境についてヒアリングをさせていただきました。多くの海外企業のオフィス写真も集めました。その中で目に付いたのが今回採用した型の机です。これは外資系企業のオフィスで採用されていたもので、いろいろな形での組み合わせが可能となります。まさにチームごとでの一体感を考えたときに相応しい製品だと思いました」(佐々木 亮氏)

そうしてベースとなる個人席周りのデザインを決定させる。移転予定日まで残り5ヵ月。それからはゾーンごとに「デザイン案の提出→社内検討→改良案の提出→社内検討→デザインの制作」といった作業を繰り返す。

「全体の面積からワーキングスペースを割りあて、残りの面積で課題であった会議室とリフレッシュルーム、検証ルーム、エントランスというように一つずつ確定させていきました」(川辺 力氏)

「何回もの意見交換の中で、当初のデザイン案からはかなり変わりましたね」(山田 拡氏)

150坪の中に社員の思いを詰め込み それを多彩な形で反映させた

それでは新本店オフィスについて順に紹介していこう。
まずは来客者を最初にお出迎えするエントランスだ。

「角部屋の採光を活かした明るいエントランスです。ここから見おろす景色も最高で、お待ちいただいているお客様も眺望を楽しんでいます。(佐々木 邦男氏)〈写真①〉

「ここのテーマは『海』です。壁には貝殻が散りばめてつくったオブジェになっています」(山田 拡氏)〈写真②〉

2組のミーティングテーブルを用意。その奥に会議室を配置している。

「今まで、1つの会議室に1つの検証ルームだけでした。社内で打ち合わせをするスペースもありません。新オフィスでは8人用と20人用の会議室を用意しました」(川辺 力氏)〈写真③〉

オフィスに入るとまるで蜂の巣のようにデザインされたワーキングエリアが中央に配置される。あえてフリーアドレスではなく固定席にこだわった。〈写真④〉

来客者をお迎えするエントランス

①来客者をお迎えするエントランス

壁に散りばめられた貝殻

②壁に散りばめられた貝殻

海をテーマにした会議室

③海をテーマにした会議室

特長的なワーキングデスク

④特長的なワーキングデスク

「社員の希望で固定席を採用しています。社外に常駐している社員も多いのですが、戻ってきたときに自席があることがモチベーション向上に繋がるからです」(佐々木 邦男氏)

「この蜂の巣のような仕切りはチームごとに分けています。さらに後ろを振り返るだけでチームミーティングができる机を設けました。小さな円卓ですが使用しているシーンをよく見かけます」(佐々木 亮氏)

何かあった時にすぐに相談しあえる環境をつくったことで社内のコミュニケーションが格段に良くなったという。今までになかった機能はそのほかにもある。一つはワーキングエリア横に設けられた「サークル型ワークステーションスペース」だ。〈写真⑤〉

「普段、社員はノートPCを使用しているため細かい部分の確認が困難な場合があります。そこで設計図面の確認など細かいチェックを行なうために大画面ディスプレイを置いて社員で共用しています」(山田 拡氏)

さらにその奥には性能やネットワーク環境を検証する隔離された検証ルームがある。〈写真⑥〉

「一体感を出すためにあえて半透明なガラスを用いました。ガラス面には『山』をイメージして色々な動物のイラストが描かれています。セキュリティ面も万全で特定の人のみが入退室できるようになっています」(川辺 力氏)

サークル型ワークステーションスペース

⑤サークル型ワークステーションスペース

山をイメージした検証ルーム

⑥山をイメージした検証ルーム

部屋の奥にあるのが、今回のオフィスで初めて採用したリフレッシュエリアとなる。〈写真⑦⑧〉

リフレッシュエリア全景

⑦リフレッシュエリア全景

「ここは完全にリフレッシュすることが目的です。ゆったりとしたソファを用意し、雑談や気分転換のために使用しています」(佐々木亮氏)

「今まではこういった機能が無かったので休憩ごとに外に出ていたわけです。そこにリーズナブルなドリンクを用意して気軽に利用でき、他者の耳を気にせずに仕事の話もできる。まさにこんな環境を求めていました」(山田 拡氏)

特段、細かい使用ルールを定めているわけではないが、今のところ上手く使われており運用に関して全く問題はないという。

リフレッシュエリア全景

⑧リフレッシュエリア全景

オフィス移転を機に社員の考え方が変わった。目に見えてモチベーションが高まった

社員が初めてニューオフィスを見ての評価は上々でした。

「自席スペースが広くなっていることに感動していたみたいです。まさかここまで変わるとは想像もしていなかったらしくて。オフィスを変えたのですから、社員の行動もいい方向に変えなければいけませんね」(佐々木 亮氏)

「まだまだ成長途中の会社です。平均年齢も29歳と若い。これからもオフィスをうまく活用しながらクリエイティブ集団として盛り上げていきたいですね」(山田 拡氏)

「若い年齢の社員が多い会社ですから効果が表れるのも早い。これほどのステータスのあるビルに入居し、働く環境も改善したことで社員のモチベーションがアップしたように感じます。少なからずリクルーティングにも影響があることは間違いないでしょう。移転は大成功といえるのではないでしょうか」(川辺 力氏)

「旧オフィスと比較すると職場環境が大幅に変わっています。しかしこれで終わりではありません。今後さらに社員のやる気を誘引するためのオフィスになればいいですね。そして作業効率や生産性といった部分にも目を向けていきたいと思っています」(菅原 満氏)