東京システムハウス株式会社

2021年2月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

コロナの収束に関係なくニューノーマルな働き方は継続していく

東京システムハウス株式会社は独立系のシステムハウスとして1976年に設立。以来、独自のさまざまなサービスや技術を通じてお客様の信頼を獲得してきた。数年前からコミュニケーションの活性化が課題となっており、その解消を図るために移転計画をスタートさせる。そして20209月、テレワークを推進しながらコミュニケーションを活性化させる仕組みをつくったという。今回の取材ではその概要をお聞きした。

鎌田佳宏 氏

東京システムハウス株式会社
ビジネスサポート部
部長

鎌田 佳宏氏

原口礼果 氏

東京システムハウス株式会社
ビジネスサポート部
広報担当

原口 礼果氏

Contents

  1. お客様の要望に応えていく中で業務メニューを増やしてきた
  2. 旧オフィスは社内コミュニケーションに大きな課題を抱えていた
  3. 感染予防対策を推し進める中でテレワークの導入率が上がった
  4. テレワークを推進しながらコミュニケーションを活性化させる
  5. 新オフィスのデザインコンセプトはカジュアル&ナチュラルとした
  6. オフィスは社員のよりどころ。新たな働き方を進化させていく

フリーアドレスフロア

フリーアドレスフロア

お客様の要望に応えていく中で業務メニューを増やしてきた

東京システムハウス株式会社は、「サービスを通じユーザーに愛され、信用・信頼を得ることが最大の目的である」を社是に業務を拡大してきた。同社の特長は幅広い業界にITソリューションを提供している点にある。

「当社は『付加価値の高いサービスをお客様に提供する』を起業理念としています。業種を絞ることなくさまざまなお客様のご要望に合わせたシステムづくりに応えていく中で次第に業務メニューが増えていました」(鎌田氏)

そうして変化の激しいIT時代の技術革新に対応しながら、「お客様のためのITサービスカンパニー」として実績を重ねている。

旧オフィスは社内コミュニケーションに大きな課題を抱えていた

旧本社は品川区西五反田に位置するオフィスビルに構えていた。1フロア面積は65坪。1989年に入居後、30年以上にわたって本社機能の立地は変わっていない。

「旧オフィスはJR五反田駅から徒歩10分圏内のオフィスビルでした。業務の拡張ごとに人材採用を行い、手狭になったらフロアの増床で対応していく。そうしているうちに移転直前には6フロア400坪弱を使用していました」(鎌田氏)

各事業部をフロアごとに分けていく。次第に他部署同士が顔を合わせる機会が減少していく。社内のコミュニケーションが低下するのはあきらかだった。それは早急に解決が必要な経営課題の一つとなっていた。

「単に会話が増えればいいということではありません。他部署の活動を目にし、理解することも重要だと考えていました。その課題解決のために当社が選択した方法は6フロアを少数フロアにまとめることだったのです」(鎌田氏)

そのためには、たとえ月々のランニングコストが増加したとしてもコミュニケーションの向上ができるオフィスであれば受け入れる準備はしていたという。

感染予防対策を推し進める中でテレワークの導入率が上がった

旧オフィスの使用面積は400坪弱であったが、重複する設備や機能部分の面積削減が可能になるため、そこまでの面積は必要ないと考える。そうして割り出した面積で移転先探しのフェーズに入った。

「移転先も旧オフィス同様に五反田エリアにこだわりました。30年以上にわたる生活のリズムを壊したくなかったのです。候補ビルの内見にはじっくりと時間をかけましたね。その甲斐あって20202月に理想的なオフィスを見つけることができました。そして賃貸借契約を締結し、内装工事をスタートさせたのです」(鎌田氏)

本プロジェクトには同社代表取締役社長である林知之氏のたくさんの想いが詰まっている。その想いを積み上げて形にしたのが各部門から集まった選抜チームである。

「部署横断のプロジェクトチームを発足させました。そこで具体的なレイアウトや必要な機能について打ち合わせを重ねていったのです」(原口氏)

当初の予定では2フロアを借りる予定だったという。レイアウトプランでは1フロアを執務スペース、もう1フロアをコワーキングスペースに分ける計画だった。しかし新型コロナの感染予防対策を推し進める中で、テレワーク継続に舵を切ることになる。結果として1フロアで収めるようにレイアウト計画の変更が行われた。

テレワークに関しては、一部の部署で実験的に行っていたこともありスムーズな導入が見込めた。また、緊急事態宣言下の中でお客様側からオンラインミーティングが求められることも増えており、リモート環境を全面的に導入するには良いタイミングだったという。

「本来の在席を考えたら100席以上は用意しなければならなかったのですが、現オフィスでは80席に収めています。一気にニューノーマルな働き方が加速しました」(鎌田氏)

テレワークを推進しながらコミュニケーションを活性化させる

オフィス移転を機にテレワーク中心の働き方に舵を切る。現在の出社率は20%程度。それでもコミュニケーションの活性化は同社の永続的なテーマとなっているという。

「旧オフィスでは明確な目的があるときのみ各事業部のフロアに出向いていました。当然、偶発的な出会いは無いに等しく、部署を越えた斬新なアイデアが生み出されることもありませんでした。当初の予定よりもフロア面積が削減されてしまったことで、リセットしてしまったアイデアもありますが、社員同士が自由にコミュニケーションのとれるスペースは必要という結論は変わりませんでした」(原口氏)

「それは単に自由なスペースをつくるということではありません。ワーカーの業務ごとに適した働く環境を提供するABWActivity Based Working)も導入しました」(鎌田氏)

新オフィスのデザインコンセプトはカジュアル&ナチュラルとした

新オフィスのコンセプトは「カジュアル&ナチュラル」とした。気楽に自然に働ける環境を目指す。その達成のために同社としては初めての試みであるフリーアドレスを採用した。

「旧オフィスはコミュニケーションの悪さに加えてスペース的に窮屈だったことを社員全員が感じていました。多くの社員がフリーアドレスに対して大きな期待をしていたため、社内からの反対意見はなかったですね」(鎌田氏)

「少し前からペーパーレス化を進めていました。さらに電子決済システムを採用する予定でしたので、フリーアドレスとなっても業務に支障はありませんでした」(原口氏)

そして20209月にオフィス移転を完了させる。社員に対する「新オフィスに関する途中経過報告」はチャットツールを使って順次開示していった。

「移転日にはちょっとした移転セレモニーを行いました。そこで新オフィスルールや注意事項、特長を説明しました。コロナ禍ということもあり出社していない社員のためにオフィス紹介動画を作成して情報共有も行いました」(原口氏)

それでは新オフィスの特長的な部分を紹介していこう。新オフィスは2つのエリアで構成されている。エレベータを降りて左側のエリアはバックオフィス部門やユーザーサポート部門が在席する。個人情報などを取り扱う部署もあるため固定席となっている。

右側がオープンなフリーアドレスエリアとなる。木目調でまとめられた落ち着いた質感が印象的だ。そこでは飲食を含めて使い方に制限は設けられていない。

「自分の荷物は個人ロッカーに入れるというルールだけは決めました。それだけで室内は綺麗な状態が保たれています」(原口氏)

会議室は全部で4室。それぞれ15席用、8席用、4席用、4席用で構成されている。

「旧オフィスでは1フロアに1室の会議室を配置していましたので、室数的には以前よりも少なくなっています。しかしオンラインでの会議に慣れてきたこともあって不便さは感じていません。4室の会議室ですが、どの部屋だけに集中するということもなくバランスよく稼働しています」(鎌田氏)

執務室中央の天井には、固定型のスクリーンとプロジェクタが設置されている。

「壁際ではなく、あえて中央に設置しました。スクリーンを下げることで室内を2分割することを可能にします。コロナの収束後にリアルな対面式のビジネスセミナーやイベントを復活させたいと思っているからです」(原口氏)

執務室中央のスクリーン

執務室中央のスクリーン

執務室全景

執務室全景

会議室エリア

会議室エリア

大会議室

大会議室

その他、3つの集中ブースと2つのファミレス席。窓際にはカウンター席を配した。

「窓際のカウンター席は大型モニタを備えていることもあって使用率は高いですね。全員ノートPCに切り替えたのですが、業務によっては小さい画面では支障が出るとの要望に応えたものです」(鎌田氏)

集中ブース

集中ブース

ファミレス席

ファミレス席

窓側のカウンター席

窓際のカウンター席

オフィスは社員のよりどころ。新たな働き方を進化させていく

新たな働き方の中でネットを使ったコミュニケーションツールに積極的に取り組む部署も増えているという。

「ビジネスチャットツールを活用しています。リアルではありませんが、むしろ以前よりもミーティングの回数自体は増えている部署もあるみたいですね」(原口氏)

「出社人数は大幅に減少しましたが、他部署の社員同士の偶発的な出会いや交流は確実に増えています。旧オフィスではありえなかったことです。今後も新型コロナウイルスの感染対策を踏まえながら新たな働き方にチャレンジしていきたいと思います」(鎌田氏)

「新オフィスは社員のよりどころになればいいと思っています。社員にとって働きやすい環境を用意することで会社に対する帰属意識も高まっているように感じます。リアルな場所だからこそ生まれるアイデアや感情って絶対にあると思うんです。ですから今後もテレワークの良さとリアルなオフィスの良さ、その両面で社員をサポートしていきたいと思います。オフィスを通してもっともっと社員の満足度を向上させていきたいですね」(原口氏)

「コロナが収束したとしてもテレワークの活用自体を変えるつもりはありません。むしろ収束後もテレワークは増えるかもしれません。その中で私がやるべきことはコロナ収束後の姿を想像して、さらに働きやすい環境をつくることだと思っています。これからも改善を重ねながらニューノーマルの働き方を進化させていきたいと思っています」(鎌田氏)

東京システムハウス
東京システムハウス株式会社は、創業以来、どの企業系列に属さない独立系企業としての最大のメリットを活かして顧客の事業発展に貢献してきた。また、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に2年連続で認定。社員とその家族の健康増進に関する取り組みを継続している。