ユニファースト株式会社

2026年3月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

さらなる成長と価値創出を目指し、自社ビルから本社移転を実施

オリジナルグッズやノベルティ、物販用アイテムの企画・生産を手がけるユニファースト株式会社。1981年の設立以来、アパレルや雑貨を中心に、企業の販促活動を支えるOEMSP事業を展開してきた。同社は事業拡大に伴い、20259月に自社ビルから賃貸オフィスビルに本社を移転。さらなる成長と新たな価値創出を見据えた今回のオフィス移転について、その背景や狙いを詳しくお聞きした。

橋本 敦 氏

ユニファースト株式会社
代表取締役社長

橋本 敦 氏

Contents
  1. Unique × Fast」を強みに、時代のニーズに合わせた"ものづくり"を提供
  2. 事業拡大を見据える中で面積とコミュニケーションの活性化が課題に
  3. 約100棟もの内覧から、最適な移転先を選定
  4. 将来の経営を担う若手を中心に、より良いオフィス構築を目指した
  5. ものづくりの想いを表現した空間と、交流を促す開放的なオフィスへ
  6. コミュニケーションを高め、成果につながる働く環境へ

エントランス

エントランス

「Unique × Fast」を強みに、時代のニーズに合わせた"ものづくり"を提供

ユニファースト株式会社は1981年の設立以来、Tシャツやバッグ、エプロンなどの繊維製品(アパレル)をはじめ、ステーショナリーや雑貨などの販促品・ノベルティ、SPグッズの企画・製作を手がけてきた。OEM(受託製造)を主軸に、ODM(デザイン開発)や自社ブランド商品の展開、さらに商社機能としての仕入・販売まで幅広く展開している。

同社は、生地や素材の選定、形状や仕様設計といった初期段階から商品企画できる提案力を強みとし、企画から生産、納品までを一貫して手がける体制を構築。国内外の生産ネットワークを活用し、多様なニーズに対応した商品づくりを行っている。また、「Unique × Fast」をコンセプトに掲げ、独自性のある商品開発とスピード感のある対応を両立してきた。近年では、環境配慮型素材を取り入れた商品や、SDGsの観点を取り入れた企画などにも積極的に取り組み、事業領域を拡大。オリジナルグッズの企画・生産を通じて顧客のブランド価値向上に寄与しながら、時代のニーズに合わせた商品開発とサービス提供を行っている。

事業拡大を見据える中で面積とコミュニケーションの活性化が課題に

同社は、JR・地下鉄「浅草橋」駅を最寄りとする自社ビルに長年入居。7階建ての各階約30坪の全フロアを60名ほどで使用し、部署ごとに使用フロアを分けていた。しかし、事業拡大を見据える中で、より広いオフィスへの移転と、社内コミュニケーションの活性化が課題となっていた。

「具体的に動き始めたのは2024年春です。まずは自社ビルの活用方法について検討を始め、建て替えや売却、賃貸など複数の選択肢を想定しながら情報収集を進めました。当初は築年数が古いこともあり、建て替えを中心に検討していました。しかし、想定以上に費用がかかることが判明し、最終的には売却して資金化する方向へ考え方が変わっていきました」

約100棟もの内覧から、最適な移転先を選定

本格的に物件探しを始めてからは月に510棟、最終的には100棟近くの物件を内覧したという。移転先の条件として重視したのは、1フロアまたは、連続階での2フロアが確保できること、そして移転に伴う従業員の通勤負担が抑えられることだった。

「当社のような中規模の会社の場合、従業員が一人、二人と抜けるだけでも事業への影響は小さくありません。移転を理由に退職につながる事態になることだけは避けたかったのです。ですから、自社ビルから23駅圏内で移転先を探すという条件は最初からありました」

物件選定にあたっては賃料相場の把握から始めたという。

「最初は相場感がわからなかったのですが、半年ほど物件を見ていくうちに、大体の価格帯が見えてきました。そうすると当社にとって『これは高い』『これは比較的安い』と判断できるようになり、物件の見方が変わっていきました」

搬入用エレベーターの有無も重要な条件だった。

「当社はものづくりを行う会社なので、サンプル品などの配送が毎日のようにあります。搬入動線を確保できる物件が重要でした」

そうして最終的に選んだのが、JR・地下鉄「両国」駅を最寄りとする大規模複合ビル。移転に伴う従業員の通勤負担を抑えつつ、立地や賃料、1フロアでの利用が可能な点などを総合的に評価した結果だ。加えて、複合施設ならではの利便性の高さも後押しとなり、エンゲージメントの向上にもつながる環境であることが決め手となったという。

将来の経営を担う若手を中心に、より良いオフィス構築を目指した

移転先が決まると、オフィス構築に向けたプロジェクトメンバーが組成された。将来の経営を担う3040代を中心に、各部署から代表メンバーを選出。その後は内装デザイン会社2社の比較検討を行い、最終的にメンバーとの相性を踏まえて1社に決定した。

「相性は非常に重要だと感じました。選定した会社は、当社のように古いビルから新しいビルへ移転した企業のオフィス構築実績があり、その経験から当社の課題への理解が期待できたことも信頼と安心感につながりました」

オフィスコンセプトは「従業員のモチベーションを最大限に高めるオフィス」。部門を越えた自然なコミュニケーションが生まれる開放的な空間づくりを意識した。高層階の眺望を活かしたリフレッシュスペースとして、「Sky Lounge」と回遊動線「Sky Street」も新たに設けている。さらに、旧オフィスの面積よりも約1.5倍の300坪へ拡張することで、将来的な人員増にも対応できるオフィスづくりを目指した。

ものづくりの想いを表現した空間と、交流を促す開放的なオフィスへ

完成した新オフィスについて紹介していく。エントランスはグレーを基調とした落ち着いた空間で、正面には企業ロゴマークを配置。その傍らにはロゴマークの赤いオブジェが設置されている。一見、社名の頭文字である「U」に見えるが、これは「つくる」の「つ」をかたどったもので、ちょっとした工夫やアイデアで物事をより面白くしていくという同社のものづくりへの想いを象徴している。そのまま右手方向に進むと、会議室エリアが現れる。用途に応じた大小4つの会議室を備え、最も大きい会議室は、あえてフロア中央に配置。ほぼ全面をガラス張りとすることで圧迫感を抑え、「Sky Street」や窓外の眺望へと視線が抜ける設計とした。来訪者も窓越しの景色を感じられる開放的な空間となっている。

フロア中央の会議室

フロア中央の会議室

 Sky Street

Sky Street

さらに奥へ進むと、「Sky Lounge」が広がる。ここでは心地よい音楽が流れ、業務利用のほか、休憩や軽いミーティング、社内イベントなどにも活用され、従業員同士のコミュニケーションを促す場として機能している。

「部署ミーティングや朝礼はもちろん、レクリエーションやパーティーなど、さまざまな用途で利用しています。大画面モニターを設置しているため、従業員が自ら企画したゲーム大会などを楽しむ様子も見られます。直近では、設立45周年記念イベントを開催し、寿司職人を招いたマグロの解体ショーで、イベントを演出しました」

Sky Lounge

Sky Lounge

パントリーには造作家具のカウンターを採用。ラウンジ空間の中で程よいアクセントとなるようデザインし、ネイビーの色が空間にメリハリを与えている。惣菜やパンの購入補助も行っており、日常的な利便性も確保した。さらに、自動販売機は障がいのある方々のアートを活用したデザインプロジェクト「シブヤフォント」を取り入れた。数あるデザインの中から同社のデザイナーが選定し、空間に彩りと同社らしさを添えるとともに、日常の飲料購入を通じて福祉施設支援にもつなげている。

Sky Lounge

造作家具のカウンター

「シブヤフォント」を採用した自動販売機

「シブヤフォント」を採用した自動販売機

「本当は食堂をつくりたかったのですが、それは難しかったので、お惣菜やパンを気軽に買える仕組みを用意しました。会社が一部費用を負担しており、従業員は100円ほどで購入できます」

ラウンジと執務エリアをつなぐ回遊動線「Sky Street」を通ると、執務エリアが広がる。大きな窓から自然光が差し込む、こちらも開放的な空間だ。将来の人員増も見据え、オフィスはゆとりを持ったレイアウトとした。

「今年は新卒が7名入社する予定です。毎年10%程度の増員を想定しており、57年ほどで100名規模まで成長させる計画になっています」

手前のオープンな執務エリアには営業部署を配置し、テレブースやファミレス席を設けた。さらに奥にはデザインチームとバックオフィス用の各個室を用意することで、部署ごとの業務特性に合わせた働きやすい環境を整えている。また、オンライン配信にも対応した会議室も用意した。

集中ブース

集中ブース

ファミレス席

ファミレス席

オンライン配信にも対応した会議室

オンライン配信にも対応した会議室

学生向け会社説明会実施のほか、社内会議や打ち合わせにも利用しており、窓際のソファは休養スペースとしても使用可能になっている。

「バーチャル背景では合成感が出てしまうため、実際の背景として使えるようロゴ入りの壁面を設けました。以前は社長室のみに設置していたため使用頻度が限られていましたが、新オフィスでは会議室に常設することで、従業員が誰でも気軽に利用できる環境を整えています」

また、商品のサンプルなどを保管する倉庫も用意。ものづくりを事業の核とする、同社ならではの業務にも対応したオフィスとなっている。

コミュニケーションを高め、成果につながる働く環境へ

移転後のオフィスについて、社内外からの反応も徐々に見えてきているという。来社した学生や取引先からは好意的な印象を持たれることが増えたようだ。

「オフィスがきっかけで応募したという声はまだ直接は聞いていません。ただ、面接などで来社したときに『こんなオフィスで働きたい』と思ってもらえる環境になったのではないでしょうか」

新しいオフィスの活用方法については、今後さらに検討を重ねていく考えだという。

「増員計画中ですので、今後は従業員数の変化に合わせてさまざまな施策が必要になると思います。現時点で具体的な取り組みが決まっているわけではありませんが、運用面はこれから整えていく段階ですね」

移転後は社内に「5S委員会」を設け、オフィス運用のルールづくりや環境改善を進めている。整理・整頓・清掃などの基本的な考え方をもとに、従業員主体でオフィスの使い方を見直していくという。

最後に、オフィスの必要性について伺った。

「当社はものづくりの会社なので、実際に手に取って確認する場面も多く、対面でのコミュニケーションは欠かせません。一方で、リモートには効率よく打ち合わせを進められる良さもあります。出社かリモートかではなく、仕事内容に応じて使い分けることが大切で、最終的に重要なのは『どこで働くか』ではなく『成果が出ているかどうか』。そのための環境を整えることが大事だと考えています。また、一部リモートの従業員がいる以上、マネジメントの在り方も変えていく必要があります。出社していれば何となく把握できていた状況も、リモートではそうはいきません。だからこそ、コミュニケーションの取り方や評価の方法など、マネジメントの質を高めていくことも重要だと感じています」

ユニファースト株式会社

設立以来、「アイデアの力で社会に貢献する」という想いを大切に、"つくりたい"を形にする喜び、幸せ、満足を提供しているユニファースト株式会社。現在は中国全土の工場に加えベトナムにも生産拠点を展開し、ホーチミンにも事務所を開設した。グローバルな視点でエリア拡大や生産技術の向上に取り組みながら、変化を恐れず進化を続ける企業を目指していく。


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