ウェストロック合同会社

2025年11月取材

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※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。

グローバルからのミッションに
付加価値を付けてオフィス移転を実施

梱包材の分野で世界をリードする「Smurfit Westrock(スマーフィット・ウェストロック)」。その日本法人であるウェストロック合同会社は、グローバルからの要請により、東京オフィスの移転を実施した。今回の取材ではグローバルからのミッションにどのように対応したのか、新たに採用した多様な機能を中心にお話を伺った。

橋本 ルミ 氏

ウェストロック合同会社
人事部長

橋本 ルミ 氏

嶋中 章 氏

ウェストロック合同会社
人事部 総務担当

嶋中 章 氏

久保田 英嗣

三幸エステート株式会社
法人一部

久保田 英嗣

小林 悦子

三幸エステート株式会社
ワークプレイスコンサルティング室

小林 悦子

Contents

  1. 世界最大の梱包資材メーカーとして最良なパッケージソリューションを提供
  2. コスト削減をミッションにオフィス移転計画がスタート
  3. 移転候補の承認を得るための資料はグローバル基準を確認しながら完成度を高めた
  4. 全員参加型のアプローチで納得感のあるプロジェクトへ
  5. スペースを有効活用しコミュニケーションを高める場を構築
  6. ワンチームで乗り越え完成させた従業員のための新オフィス

エントランス

エントランス

世界最大の梱包資材メーカーとして最良なパッケージソリューションを提供

ウェストロック合同会社は、板紙・紙箱・包装資材の紙製パッケージの印刷および製造・包装機械のリースなどを行う世界最大の梱包資材メーカー「Smurfit Westrock(スマーフィット・ウェストロック)」の日本法人となる。国内事業は1969年にマルチパックのパイオニアとしてスタート。それ以来、飲料用パッケージを中心にヘルスケアや美容品などの幅広い分野の包装資材の開発・製造を行い、最良なパッケージソリューションを提供している。

国内屈指の生産力を誇る静岡県の島田工場は、マルチパック専用工場として1981年から稼働。供給能力は年間3億枚を誇り、色彩や階調を忠実に再現できる国内屈指のグラビア印刷機を備えている。何よりも、港・空港・鉄道・高速道路などへの良好な交通アクセスは、最適なロジスティクスの実現を後押ししている。

コスト削減をミッションにオフィス移転計画がスタート

旧東京オフィスの使用面積は約161坪。2015年に入居し、関連会社含めセールスからデザイン・エンジニア・カスタマーサービスやサポート・ファイナンス・人事総務など、25名ほどで使用していた。出社率は部署によって異なるが全体では5070%程度。室内は広々としており、快適なビジネス環境だった。そうした中、20247月に当時のグローバルである米国のWestRockとアイルランドに拠点を置くSmurfit Kappasが合併し、Smurfit Westrockが誕生した。合併直後、グローバルから「現在のコストを50%に」との指示が伝えられた。折しも、契約更新の期日まで約3ヵ月という時期だった。

「出社率やスペース効率を考慮した結果、『こんなに広い必要はない』というのがグローバルの見解でした。スペースの圧縮は理解できますが、50%削減は厳しい数字です。限られた時間の中でミッションを達成するために、オフィス移転計画がスタートしました」(橋本氏)

その困難と思われる要求に応えるために、三幸エステートの久保田英嗣が同社に訪問した。

「久保田さんとは前職からのお付き合いです。定期的にオフィスマーケットの資料などをいただいていました。データの精度が非常に細かく、説明も丁寧でしたので信頼しています」(嶋中氏)

「難しい案件こそ成功させたい。そんな強い気持ちで臨みました。本案件では、グローバルとの意見交換や明瞭な分析資料が必要になります。コストや必要面積、レイアウト、スケジュールなどのシミュレーションが必要だと判断し、英語対応も可能なワークプレイスコンサルティング室の小林をチームメンバーに加えました」(久保田)

移転候補の承認を得るための資料は
グローバル基準を確認しながら完成度を高めた

移転先探しは急ピッチで進められた。とはいえ「50%のコスト削減」は非常にハードルが高い課題だった。立地変更も一つの案ではあったが、同社が重視したのは同エリアでの移転だった。

「従業員のために、現況の通勤時間やアクセス環境を崩したくありませんでした。仮にコスト削減を達成できたとしても、エンゲージメントが下がってしまうのは本末転倒です」(橋本氏)

立地を変えずにこの難題をクリアできるか。久保田はある解決策を提案した。

「面積と賃料単価を70%に削減すれば、ほぼ50%のコスト削減が図れると思ったのです」(久保田)

こうして解決の糸口が見え始め、同エリア内で40棟ほどの物件を提案書にまとめた。

「ある程度こちらで目星を付けてから私の上司であるAPACHR Directorに物件を提案し、内覧が決まりました」(橋本氏)

最終的に絞り込んだ候補先は5棟。2年以内のペイバックを目標とし、コスト・投資額・使い勝手などを総合的に比較した。承認を得るためには、グローバルが納得できるロジックとエビデンスが不可欠だと考え、提出資料をグローバル基準に沿って入念かつ迅速に確認することで完成度を高めていった。

「もともと、承認までに時間を要することは想定していました。ですから、なるべく承認までの時間を早められるように、何度も緻密な打ち合わせをすることで、満足のいく資料を作成しました」(小林)

「小林さんには、度重なる修正依頼にも迅速に対応していただきました。外資系企業のスピード感を理解されていたことや、難なく英語のフォーマットに対応していただいたことも、プロジェクトがスムーズに進行できた理由の一つです」(橋本氏)

何度かやり取りを経て、無事にグローバルの承認を得た。そうして決まった移転先は、通勤経路を変えずに面積と賃料の条件を満たし、そのうえ眺望にも優れた物件だった。

全員参加型のアプローチで納得感のあるプロジェクトへ

移転先の決定後はすぐに内装会社の選定に入る。嶋中氏は3社に提案を依頼した。

「グローバルへの報告や社内調整なども考慮すると、1週間程度で選定する必要がありました。各社様、素晴らしいご提案で非常に悩みましたが、最終的にはコストとアイデアのバランスで判断しました」(嶋中氏)

内装会社が決まり、オフィスづくりのフェーズへ入る。各部署から1名ずつを選抜し、計6名でプロジェクトチームを構成した。

「オフィス面積を現在から約70%へ縮小するため、全従業員を固定席とするのは困難でした。そのため何度も検討を重ねた結果、ABWの導入が決まりました。ただし、固定席が必要な部署もあるため、約半分はグループアドレスとし、残り半分はコミュニケーションスペースを含めたフリーアドレス席エリアにしました」(嶋中氏)

従業員からは「自席がなくなるのか?」「書類削減する必要があるのか?」「紙の資料は保管できなくなるのか?」という不安の声も挙がったという。

「初めてのABWでしたので戸惑われる方も多かったのです。そこで、レイアウト図面を早めに入手して共有し、全員分の席数があることを丁寧に説明することで理解を得ました。また社長には、従来の社長室を廃止し、社長が社員と同じスペースで共に働くことで垣根をなくす新しい働き方への提案を快諾いただきました」(橋本氏)

デザインの方向性については、異なるテイストの4案を作成してもらい、全員の意見を聞いていった。

「東京オフィスだけではなく、島田工場のメンバーを含めた全従業員にアンケートを実施しました。最終的には評価の高かった2案の中からプロジェクトチームで決定しました。全員参加型のアプローチを行ったことで、納得感のあるプロジェクトになったと感じています」(橋本氏)

スペースを有効活用しコミュニケーションを高める場を構築

それでは完成した新オフィスを紹介していこう。エントランスには紙製をイメージした質感の受付カウンターと、落ち着いた木目のショーケースが設置されている。どちらも角部分がカットされた、いわゆる「面取り」されたデザインとなっており、同社を象徴したデザインとなっている。

そのまま中へ進むと来客用の会議室エリアとなる。大人数に対応できる大会議室1部屋、6人用が2部屋設けられた。旧オフィスでも会議室は3部屋あったが全ての部屋が広かったという課題に対し、新オフィスでは中型の部屋も用意した。

「来訪された方には窓から見える東京湾の景観を楽しんでいただいています。会話も弾みますし、写真を撮って帰られる方もいます。採用の最終面接はここで行うのですが、今後はさらに当社のブランドイメージが高められると考えています」(嶋中氏)

大会議室

大会議室

東京湾の景観

東京湾の景観

その奥が執務エリアとなる。

「この景観の良さを最大限に活かせるレイアウトにこだわりました。そのため、高さのある什器は入れず、開放的な環境を維持しています」(嶋中氏)

執務エリア

執務エリア

窓際に配置したカウンター席のほか、カジュアルな打ち合わせができるカフェ席やファミレス席、しっかり話し込めるコラボレーション席、集中用の半個室など、さまざまな機能を取り入れた。急なビジターや出張者があっても問題のない席数を用意している。さらにオンライン会議や1on1などの使用を想定したテレブース3部屋、最奥には、3Dプリンターでサンプル品を作成するための部屋も備えている。また、心地良く働いてほしいという想いから無料のカップ式自動販売機を導入した。

「とても好評で、新たなコミュニケーションの場として自然と人が集まっています」(嶋中氏)

カウンター席

カウンター席

カフェ席

カフェ席

集中用の半個室

集中用の半個室

テレブース

テレブース

新オフィスの完成後は、オフィスルールブックを作成して積極的なABWの促進を行った。今では和やかな雰囲気の中で、部署を超えたコミュニケーションが活発となり、想定以上にオフィスが効率的に使われている印象だ。

「『書類を広げたいからファミレス席で』『リラックスしながら企画を考えたいから窓際のカウンター席で』など、目的に応じて仕事をする場所を選ばれています。業務効率は上がっていますし、オンオフの切り替えも上手くなっているようです」(橋本氏)

「グローバルからのビジターが来日したとき、オフィスからの景観の素晴らしさに感激していました。また、50%のコスト削減を達成したことは、アジア太平洋地域の月次ミーティングでも紹介され、ほかの国の方たちからの関心も集めています」(橋本氏)

ワンチームで乗り越え完成させた従業員のための新オフィス

オフィス移転が急務となりながらも、移転条件をクリアして従業員のモチベーションを向上させた同社。これは、関わったメンバー全員がワンチームとなってミッションに取り組んだ成果だと語る。

「三幸エステートさんにお声がけして正解でした。課題を達成するだけではなく、付加価値も出せたのですから」(嶋中氏)

「承認プロセスの段階でグローバルへ自信を持って主張できたのは、三幸エステートさんにデータに裏付けされた資料をご用意いただいたからです。結果的に、当社にとってベストなオフィスビルに移転できました」(橋本氏)

最後にオフィスの必要性についてお話を伺った。

「顔を見て会話をすることで、理解度は断然早まるものです。オフィスは会話を誘引する場所として必要な存在だと実感しています」(嶋中氏)

「新オフィスは景観が良く、それは、多少なりとも従業員の身体的、精神的な健康にプラスの影響を与えていると考えています。今後も、このリラックスして生き生きと働ける環境を維持していきたいと思います」(橋本氏)

ウェストロック合同会社

世界各地に500以上の工場や研究所、オフィスを展開しているSmurfit Westrock。同社の最大の特長は森林を管理し、そこで育てた木から紙を製造している点だ。そして、持続可能な体制を構築し、地球環境に配慮しながら最適なソリューションを提供している。


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