- 小規模オフィスだからこそクローズからオープンヘ
パーテーションで個人の業務スペースを区切るオフィスレイアウトは集中作業にはいいものの、お互いが何をしているのかわからず、意志の疎通を欠いてしまう。少人数だからこそ全員が一つの大きなテーブルを囲むというレイアウトに注目。 - 情報交換のレイヤーを増やす
大テーブルは日常的に情報交換が可能でコミュニケーション効果が大きい。しかしその一方で、会議室でより密に意見交換をすることも重要。狭いスペースで独立性を保つには吸音板などを活用して音漏れを防ぐ方法が有効。
デスクワークと情報交換の打ち合わせが
同じ場所で行える理想の執務スペースヘ。
「従業員が十数名という会社であっても必ずしも情報が共有されているとは限りません」
こう語るのは、タウンハウス株式会社の代表取締役社長である高橋隆氏だ。
タウンハウスはオフィス環境の最適化支援を事業とする企業で、これまでにも多くの大手企業の事業所を手掛け、業界では知られた存在だ。
しかし振り返って自分たちのオフィスを見直したとき、いくつかの改善点が発見された。
それまでは、設計、制作、営業という部門ごとに分かれた島型対向レイアウトで、しかも各デスクは顔が見えない高いパーテーションで囲まれていたため、それぞれがどんな仕事をしているかが分かりにくかったのです」(高橋氏)
同じことは、代表取締役専務の坂口誠一氏も考えていたという。
「仕事はプロジェクト単位のチームで進めることが多いのに、このデスク配列では、会議室に集まらないとチーム内の情報交換ができず、効率が悪いと感じたのです。そこで、何か思い切った改革の方法はないかと考えていました」
そんなとき、普段から付き合いのある家具メーカーの担当者と話をしていて、オフィス用のテーブルにもずいぶん大きいものがあることを知る。
「それを区切ってみんなで共有するようにしたら、通常の個人業務と情報交換のための打ち合わせが同じ席でできる。これは面白いのではないかと思いましたね」(高橋氏)
ところが、3部門合わせて12人以上が使うとなると、長さが10メートル弱にもなってしまう。
「家具メーカーからは、『製造も輸送も大変だから、半分のサイズのものを2つつなげてはどうか?』といった提案を受けましたが、社員が一体となる象徴としてせっかく大きなテーブルを入れるのだから妥協はしたくなかった。あとで『工場で生産できる最大サイズのテーブルでした』といわれました」(坂口氏)
長さ9.6m、幅1.6mの大テーブルは約46坪のオフィスでは半分近くのスペースを占めるが、窓に面して設置されているため、明るく開放的なイメージを受ける。そして従業員も使い勝手には満足しているようだ。
「横に6人並ぶと一人当たりの幅は1,600mmとなり、以前は約1,000mm幅のデスクでしたから、かえって広くなったのです。このため、評判はいいですね」(坂口氏)
そして、期待したコミュニケーションへの効果は予想以上だったという。
「同じプロジェクトを担当している者同士が気軽に情報交換できるようになっただけでなく、その会話を耳にすることでほかの人の仕事にも興味を持つようになります。テーブルの上ではあらゆる情報が飛び交っているのですから、コミュニケーンョンの装置としてこれほど機能的なものはないでしょう」(高橋氏)

コミュニケーション効果を高めている大テーブル