vol.3 初対面でも苦手な人でも!人と仲良くなる技術

vol.3 ~初対面でも苦手な人でも!人と仲良くなる技術~

友達やパートナーは選ぶことができますが、同僚や先輩・後輩など、オフィスで一緒に働く人は選ぶことができません。上司が苦手なタイプだったら大変です。仕事が途端にイヤになり、そうなると評価もされにくくなり、さらに憂鬱に......なんてことにもなりかねません。1日のうち大半の時間を過ごすオフィスでそうなったら辛いもの。

心理学を味方につけて、現状を改善していくといいでしょう。

<今月の4コマ>
※このまんがはフィクションです。実際の人物や団体とは関係ありません。

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嫌いだと思っていると嫌われる

心理学で「嫌悪の返報性」と言われる言葉があります。誰かに対して「嫌いだ」「苦手だ」と思っていると、言葉の端々やちょっとした態度から相手に嫌悪感が伝わり、相手も同様の感情を抱くようになるという法則を指します。「このタイプの人は苦手なんだ」と思っていると、向こうもイヤな態度で接してくるというのは誰でも思い当たる経験があるのではないでしょうか。

人に個性がある以上、苦手な人と一緒になる可能性はどこにでもあります。とはいえ、周囲の人を全員好きになる必要はないというもの。できる範囲で心の距離を縮め、上手に折り合いをつけていくことこそが大事なのです。

そのためには相手の容姿や性格、関係性、物理的な要素(オフィスで席が近い等)など、変えられないものは諦めてしまうのが先決。それらにイライラするのは時間のムダです。変えられることの代表格は、自分の考え方や態度。「自分が変わると相手も変わる」というのはよく言われることですが、心理学を活用して人と仲良くなるというのは「人を操る」というよりは「まず自分が行動や考え方を変える」ということと心得ましょう。

苦手な人とうまく付き合うには

①類似性の法則を利用する

人は自分と類似する点がある人に親近感を抱きます。苦手な相手と同じものを、会話の中に忍び込ませると相手の共感を呼び、心の距離を縮めることができます。

「部長、サッカー好きなんですか?僕もなんです」といったことでもいいですし「ご出身は静岡でしたよね。就職して1年目のときに住んでいました。いいところですよね」といった小さな共通点でも十分。まったく何もないなら、相手の意見に「ですよね」「わかります」と言うだけでも違います。言い過ぎればわざとらしくなりますが、次第に相手はあなたに仲間意識を見出すようになるでしょう。

②相手の自己承認欲求を満たす

人から認められたり、賞賛されたりすると好意を持つのはよくあることです。「さすがですね」といった物言いはやりすぎると嫌味につながりかねませんが、「勉強になりました」「コツを教わりたいです」等も自己承認欲求を満たすことにつながるでしょう。「そのペンかっこいいですね」「字がきれいですね」といったさりげない褒め言葉も効果があります。

③名前を呼ぶ

人は自分の名前に並々ならぬ思い入れがあります。そんなに親しくない相手から「山田さん!」と名前で呼びかけられると、覚えていてくれたのかと嬉しくなるでしょう。心理学でも、会話の最中に名前を呼ぶと心の距離が縮まることがわかっています。たとえ言わなくても通じる場面であっても「山田部長はどう思われますか?」などと名前を入れてみると良いでしょう。

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初対面で仲良くなるには

初対面の人と接するときは誰しも緊張するものです。天気やニュースなど無難な話題が終わってしまうと、ただただ気まずい時間だけが過ぎていく......という人も少なくないはず。そんなときは「自己開示」を実践してみるといいでしょう。

自己開示とは、自分のことを相手に見える状態にすることです。心の鎧を自分から脱ぐこと、それだけで相手は信頼感や共感を抱くようになるのです。たとえば趣味やプライベートのこと、最近ハマっていることなどはごくごく無難なラインです。コンプライアンスに引っかからない程度の"仕事あるある"ネタもいいでしょう。さらに、ネタがちょっとした失敗談や恥ずかしい話ならなおのこと、相手との距離を縮めやすくなります。相手が「実は私も......」と話に乗ってきたら、あとは順調に仲良くなれるはずです。

ただ、失敗談といっても信用に関わるような深刻な失敗、かえって気を遣わせるようなデリケートな話題は逆効果。「この人はムリ」となりかねないので、3つほど無難な"持ちネタ"を作っておくのが安全と言えるでしょう。

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ちなみに、相手がこだわっているものを見抜いて話を振るのは「自己承認欲求」を満たすのに良い方法です。こだわっているというのは、心理学的に「自我関与が強い」ということ。時計や靴、メガネ、ファッションなど、気がついたら「それ、ステキですね」「どこで買ったんですか?」などと聞いてみてもいいかもしれません。オフィスで使うグッズにこだわりを持つ人は多いものです。話が長くなったら大変ですが、それもまた仲良くなった証拠と思っておきましょう。

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監修:赤木麻里

フリーライター。学習院大学文学部日本語日本文学科、東京福祉大学心理学部卒。
書籍やウェブサイトを中心に幅広く執筆を行う中で、特に思想、哲学、心理学の分野で多数の執筆協力、コンテンツ提供を行っている。

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