vol.14 会議・相談・交渉......位置や距離を活用してもっと効率アップ!

vol.14 ~会議・相談・交渉......位置や距離を活用してもっと効率アップ!~

オフィスではガッツリと膝を突き合わせて話し合ったり、肩を並べて説明したりといった光景が日常的に見られますよね。

心理学ではこうした「人と人との距離や位置関係」についてさまざまな研究が行われています。上手に使えば仲良くなるのに効果的、でも距離感を誤ったら...!? 

今回は、会議や相談、交渉といった場で役立つ「座る位置」をご紹介します。

<今月の4コマ>
※このまんがはフィクションです。実際の人物や団体とは関係ありません。

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人によって異なる「パーソナルスペース」

「パーソナルスペース」という言葉を聞いたことがある方は多いことでしょう。人は誰でも自分を中心に他人との距離をはかっており、他人に侵入されると不快や不安になる空間が「パーソナルスペース」と定義されています。言ってみれば、心理的な縄張りのようなもの言えるでしょう。

パーソナルスペースの広さは性別や年齢、性格によって異なります。たとえば内気な人は、社交的な人よりもパーソナルスペースが広いと言われます。社交的な人が、自分と同じ感覚で内気な人に近づくと「!?」となってしまうわけですね。ほか、女性よりは男性のほうが、子どもより大人のほうがパーソナルスペースは大きいことがわかっています。暴力的な性格の人もパーソナルスペースが大きく、特に背中側のパーソナルスペースが大きい傾向があるようです。こうした人にはできるだけ近寄りたくないものですが、特に後ろからは避けたほうが良いのかもしれませんね。

このパーソナルスペースは相手との関係性によっても変わります。親しい人に対しては小さく、嫌いな人や知らない人に対しては大きくなります。つまり、無意識のうちに好き嫌いが出てしまうものでもあります。オフィスでも、話す相手が異性の場合は自分の感覚で近づいてしまうと不快に思われてしまうことも。ただ、あまりに遠すぎれば説得や交渉の効果も薄れてしまいます。説得が最も効果的なのは50cm程度の距離。離れすぎないことも大事なのです。

目的によって座る位置を変える

多くの人が集まる会議では、座る位置によってメンバーに与えられる影響が変わります。
たとえばこういった長テーブルで会議をする場合、

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もっともリーダーシップを発揮しやすいのは、お誕生日席と呼ばれるAもしくはB。入り口から遠いほうの席、つまり上座にいるならより効果的です。同じような立場の人が集まる場合でも、リーダー的存在の人は自然とAまたはBの位置に座る傾向もあります。

Cの席もリーダー向きですが、メンバー同士の対人関係を意識する人が選ぶ席と言えるでしょう。あなたがAまたはBに座る立場の人であるなら、ブレストや企画会議など自由な意見を交わしたいときには自分がCに、自分が主役として議論を引っ張っていきたいならAまたはBに座り、Cには自分の味方やよき参謀役を据えておきたいところです。

一方、DとEはあまり参加意欲が高くない人が選びがちな席。説得力や交渉力をフルに発揮したい場合は、選ばないほうが良いでしょう。

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参加者が意見をガンガン出しやすくするなら丸テーブル

長方形のテーブルではどうしても上座・下座が生まれます。それを利用してリーダーシップをとるのは上手いやり方ですが、メンバー全員がざっくばらんに意見を言い合うような場では、なかなか意見が出にくいこともあるでしょう。

こうしたときは、そもそも上座らしい上座を感じにくい円形のテーブルがおすすめです。リーダーシップは発揮しにくいものの、逆にいえば公平なリーダー像を発揮できるということ。活発な意見が期待できる一方で、打ち解けやすい人柄をアピールできるメリットもあります。

会議に来たアイツの思惑は......座る位置で意図はつかめる

定例会や部署ミーティングなどのように、毎回同じメンバーが集って会議をすることはよくあります。アメリカの心理学者・スティンザーの研究によれば、対立することが多い相手は向かい合わせに座る傾向が高いのだとか。もしも自分が先に入室しているとして、後から入ってきたメンバーが目の前に座るようなことがあれば、ちょっと言動を注意してみても良いかもしれません。

また、座る位置とは関係ありませんが、議長役の人のリーダーシップが強すぎると隣り合わせの席で私語が起こりやすくなり、逆に弱すぎると向かい合った人との私語が増えるのだとか。もちろん、他にも複合的な要素はあるかもしれませんが、リーダーの特性を踏まえながら私語が起こりにくいレイアウトの机を選ぶことで、会議がより円滑に進みやすくなるかもしれません。

*   *   *

今回は人との距離や座る位置についてのお話でした。ちなみに、会議室の広さは男性にとって重要なファクター。男性ばかりの会議のときは、狭いところにぎゅうぎゅう詰めになるよりも広めの部屋を選んだほうが和やかに会議が進行する傾向にあるのだとか。「今日はおじさんばっかりだ!」なんてときは、広い会議室を予約すると良さそうです。女性は特に関係がないそうです。

監修:赤木麻里

フリーライター。学習院大学文学部日本語日本文学科、東京福祉大学心理学部卒。
書籍やウェブサイトを中心に幅広く執筆を行う中で、特に思想、哲学、心理学の分野で多数の執筆協力、コンテンツ提供を行っている。

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