今日から使える!オフィス心理学

vol.15(最終回)~「使えんやつだ!」と思う前に……部下を叱る・育てる心理学的ポイント~

上司という立場であれば誰しも、部下の育成は重要なテーマ。今回は「仮に」すごくデキない部下がいるときに役立つ心理学的なアイデアをご紹介します。あくまで「仮に」ということで、本稿で出てくる“デキない部下”は想像上の生き物としてお考えいただきたいのですが、何かあったときはぜひご参考にしていただければと思います。

<今月の4コマ>

※このまんがはフィクションです。実際の人物や団体とは関係ありません。

部下がとったダメ行動。上手に注意するには?

顧客対応をさせれば怒らせる、電話対応をさせればザツすぎる、資料を作らせれば抜け漏れだらけ。こうしたデキない部下(想像上の生き物)がいる場合、その都度厳しく口出しをするという上司は多いものです。それで部下が心を入れ替えて頑張ってくれれば良いのですが、ここでの“デキない部下”はとことんデキない、しかも厳しく「ダメじゃないか!」となどと言われるとすぐに自信を失ってしまうという厄介な存在とします。こんなときはどうしたら……!?

有効なのは、やってほしくない行動と対立する行動、つまり望ましい行動を勧めること。「○○さんの仕事の進め方が君に合うんじゃないか。一度同じようにやってみよう」「いきなり資料を作り始めるより、まずは要素をリストアップしよう」とった、今までと違うやり方を提案します。最初はうまくいかなくても、コツコツと続けていれば望ましい行動も増えていくはず。禁止や叱責よりも、本人のやる気も伸ばしやすくなります。

ダラダラ部下に手抜きをさせないためには

やればもっとできるはずなのに、どうもダラダラとヌルい仕事しかしない部下がいるとしましょう。もちろんこの部下も想像上の産物であり、あくまで「仮に」です。「もっと頑張れ」と言ってものらりくらりとかわされる、こうした部下がいる場合は厳しく叱るよりも、「社会的手抜き」を解消すると改善する場合があります。

「社会的手抜き」とは、集団で作業をするときに、人数が増えるほどに1人あたりの仕事量が減るという現象を指す言葉です。「自分が多少手を抜いても目立ちはしない」「誰かがやるだろう」といった心理がはたらくことで、パフォーマンスが落ちてしまうことが原因とされています。つまり、1人1人がしっかり見られ、評価されることが分かっていれば手抜きは防げるというわけです。

たとえば部署を分割して少人数のチーム制にする一人ひとりの役割と責任を明確にする、といった方法が考えられるでしょう。オフィスのレイアウトを少し変えて、頑張っている姿が見えやすいものにしても良いかもしれません。

「私なんて」症候群の部下にどう接するか

ダメ部下というわけではないのですが、謙虚すぎる部下に嫌気がさしてしまう上司も少なくありません。褒めても「運が良かっただけです、本当はダメなんです」と言い張り、成果に見合う役職を与えようとしても「自信がないのでイヤです」と言われてしまう。これでは上司もがっかりしてしまいやすいでしょう。やる気がない人、困った人と扱われることも多いようです。

こうした、自分を過小評価してしまうクセというのは多くの場合、自己評価の低さが原因です。なかにはこれがいきすぎて、能力もないのに周囲をだましていると思い込む「インポスター症候群」に近い人もいます。実力を過小評価する傾向は、特に女性において顕著だとも言われています。

本人の問題でもありますので、上司の働きかけでどうこうできることばかりではありません。ただ「やる気がない」と決めつけてしまってはお互いに損。それよりも、成果を出すごとに「よくやったね」と褒める「ポジティブ・フィードバック」で強化し、役職を与えるなら意味と理由をしっかり説明するといった日々の働きかけをしていくと良いでしょう。「そういう傾向を持つ人がいる」と知っておくだけでも、上司としてのストレスは減らせるはずです。

*   *   *

この「オフィス心理学」シリーズは今回で終わりです。生産性の向上や残業の見直しといった働き方改革、人生100年時代と言われるなかでの仕事のあり方など、個々の働き方が大きく変わりつつある現代。今まで以上に個人のユニークさや、仕事で目指すものの多様性は増していくことでしょう。そんななか、いろいろな人を知り、お互いを尊重しながらうまくやっていくためにお役に立てていましたら幸いです。ここまでご覧いただきまして、ありがとうございました。


監修:赤木麻里

フリーライター。学習院大学文学部日本語日本文学科、東京福祉大学心理学部卒。
書籍やウェブサイトを中心に幅広く執筆を行う中で、特に思想、哲学、心理学の分野で多数の執筆協力、コンテンツ提供を行っている。

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